梅雨の終わり
「それでは修行の基礎を始めますが……、そこの二人出てきなさい」
魔鈴の実力もわかり基礎的な修行に入ろうとした時、小竜姫は突然修行場の入口に視線を向け誰かに呼び掛けていた
魔鈴が驚く中で現れたのは、苦笑いを浮かべたシロと少し眠そうなタマモである
「二人とも、なんで……?」
「朝から二人の雰囲気がおかしかったので、気になったんでござる」
驚き事情を尋ねる魔鈴に答えたのはシロだった
人狼のシロは相変わらず朝が早く、いつも誰よりも先に起きてる
この日も早起きしたシロが少し体を動かそうと外に出た時、たまたま修行場に入っていく魔鈴と小竜姫を見ていたのだ
いつもと違う雰囲気の二人に少し心配になったシロがタマモを起こして、二人揃って覗いていたのである
「なら入って来ればいいでしょうに…… まあいいです。 ちょうどいいので協力して下さい」
気になるなら入って来ればよかったと言う小竜姫だが、こんな早朝に修行場に来れば不思議に思っても仕方ない
小竜姫としては隠すつもりはないのだが、出来るだけ横島達に心配をかけたくないと言う魔鈴の気持ちを考慮して早朝の修行になっていたのだ
「わかったでござる!」
協力出来る事がよほど嬉しいらしく、シロはしっぽを振って喜ぶ
卒業パーティー以来ずっと悩み続けていたのは、シロも同じである
シロが得意な除霊に横島が参加させなかった事もあり、シロはずっと横島や魔鈴の力になりたいと常々思っていたのだ
「とりあえず毎日出来る基礎的修行を教えますので、二人とも覚えて下さい」
喜ぶシロと一見普通のタマモに、小竜姫は魔鈴の修行相手をさせるつもりらしい
(基礎的な修行は成果が見えにくいですからね。 共に修行する相手が居た方がいいです。 魔鈴さんの場合、一人だと無理をしそうですし……)
元気のいいシロと冷静なタマモを見ていた小竜姫は、魔鈴の修行相手には二人が最適だと考える
魔鈴の近くには同じように修行している横島や雪之丞も居るのだが、二人と魔鈴ではレベルもタイプも全く違う
突然魔鈴に二人のような厳しい修行をさせても、あまり魔鈴のためにはならない
それと比べるとタマモとシロの二人は、合わせて考えると本当にバランスがいいのだ
真面目で根を詰め過ぎる魔鈴には、集中出来る相手とブレーキをかける相手が必要なのである
それから小竜姫は、魔鈴に合わせた基礎的な修行を三人に教えていく
それは本当に基礎中の基礎だがこの修行が根幹となり、魔鈴は後に横島のパートナーとして実力を開花させる事になるのだが……
それはまだまだ先の事である
そしてたくさんの難題を抱えた魔鈴だが、小竜姫やタマモやシロの協力により戦いに関しては一定の道筋が見える事になった
暗中模索と言うか手探りでやらねばならない事が多い魔鈴なだけに、戦いに一定の道筋が見えた事がどれだけ彼女の負担を軽くしたかは言うまでもないだろう
そしてこの小竜姫の計らいが、密かに自分の無力さを歎いていたシロの心を軽くした事は小竜姫とタマモしか知らない秘密である
平和に生活して欲しい横島や魔鈴の想いは理解してるシロだが、彼女はやはり共に戦い力になる関係をずっと望んでいたのだった
魔鈴の実力もわかり基礎的な修行に入ろうとした時、小竜姫は突然修行場の入口に視線を向け誰かに呼び掛けていた
魔鈴が驚く中で現れたのは、苦笑いを浮かべたシロと少し眠そうなタマモである
「二人とも、なんで……?」
「朝から二人の雰囲気がおかしかったので、気になったんでござる」
驚き事情を尋ねる魔鈴に答えたのはシロだった
人狼のシロは相変わらず朝が早く、いつも誰よりも先に起きてる
この日も早起きしたシロが少し体を動かそうと外に出た時、たまたま修行場に入っていく魔鈴と小竜姫を見ていたのだ
いつもと違う雰囲気の二人に少し心配になったシロがタマモを起こして、二人揃って覗いていたのである
「なら入って来ればいいでしょうに…… まあいいです。 ちょうどいいので協力して下さい」
気になるなら入って来ればよかったと言う小竜姫だが、こんな早朝に修行場に来れば不思議に思っても仕方ない
小竜姫としては隠すつもりはないのだが、出来るだけ横島達に心配をかけたくないと言う魔鈴の気持ちを考慮して早朝の修行になっていたのだ
「わかったでござる!」
協力出来る事がよほど嬉しいらしく、シロはしっぽを振って喜ぶ
卒業パーティー以来ずっと悩み続けていたのは、シロも同じである
シロが得意な除霊に横島が参加させなかった事もあり、シロはずっと横島や魔鈴の力になりたいと常々思っていたのだ
「とりあえず毎日出来る基礎的修行を教えますので、二人とも覚えて下さい」
喜ぶシロと一見普通のタマモに、小竜姫は魔鈴の修行相手をさせるつもりらしい
(基礎的な修行は成果が見えにくいですからね。 共に修行する相手が居た方がいいです。 魔鈴さんの場合、一人だと無理をしそうですし……)
元気のいいシロと冷静なタマモを見ていた小竜姫は、魔鈴の修行相手には二人が最適だと考える
魔鈴の近くには同じように修行している横島や雪之丞も居るのだが、二人と魔鈴ではレベルもタイプも全く違う
突然魔鈴に二人のような厳しい修行をさせても、あまり魔鈴のためにはならない
それと比べるとタマモとシロの二人は、合わせて考えると本当にバランスがいいのだ
真面目で根を詰め過ぎる魔鈴には、集中出来る相手とブレーキをかける相手が必要なのである
それから小竜姫は、魔鈴に合わせた基礎的な修行を三人に教えていく
それは本当に基礎中の基礎だがこの修行が根幹となり、魔鈴は後に横島のパートナーとして実力を開花させる事になるのだが……
それはまだまだ先の事である
そしてたくさんの難題を抱えた魔鈴だが、小竜姫やタマモやシロの協力により戦いに関しては一定の道筋が見える事になった
暗中模索と言うか手探りでやらねばならない事が多い魔鈴なだけに、戦いに一定の道筋が見えた事がどれだけ彼女の負担を軽くしたかは言うまでもないだろう
そしてこの小竜姫の計らいが、密かに自分の無力さを歎いていたシロの心を軽くした事は小竜姫とタマモしか知らない秘密である
平和に生活して欲しい横島や魔鈴の想いは理解してるシロだが、彼女はやはり共に戦い力になる関係をずっと望んでいたのだった