白き狼と白き狐と横島
「いや、ダメって事はないっすけど……」
穏やかな笑顔で京子にかわされたが、横島は正直複雑な気分だった
(俺が他人に興味を持たれるとロクな事がないんだよな~)
ただ友人の息子に会いに来ただけならいいが、何か裏がありそうで怖い
かつての横島は他人から注目を集めるとロクな結果にならない事が多いのだ
主に令子絡みではあるが、厄介事が増えそうな予感が消えないのである
「忠夫君、将来の夢はあるの?」
横島の心配をよそに、京子はマイペースなまま語りかけていた
さすがに百合子と友人だっただけに、見た目とは裏腹に結構マイペースな人間のようだ
まあそのくらいじゃなければ、基本自己中心的な百合子と友人としてやっていけないのかもしれないが……
「夢っすか?」
夢と言う言葉に横島の表情が一瞬曇るのを京子は見逃さなかった
「いや~、俺は普通に生きて行ければそれでいいっすよ」
何かをごまかすように笑って話す横島を、京子は静かに見つめている
(思ってたのと違ったわね)
百合子と大樹の息子という視線で見ると、横島の印象は意外なものだった
百合子や大樹は根本的な我の強さと言うか個性が強い部分があるが、横島にはそれがあまりない気がする
一見してみると似てる感じはするが、根本的な部分は強さより弱さが見えていた
(百合子、あなた失敗したわね)
元々確固たる強さを持つ百合子は、自分が強くできる人間ゆえに他人にも厳しい一面を持つ
人間誰でもそうだが、基本的には自分を基準に考えるのだ
百合子は自分のようになって欲しいと思い強く厳しく育てていたが、それが逆に横島の本来の個性を封じてる原因になっていた事に京子は気付く
(育てるのが苦手なのも相変わらずか…… 昔っから後輩にも厳しかったものね)
大学時代やOL時代も、百合子はたくさんの後輩を面倒見たり育てたりして来ている
しかし百合子の優秀さから比べると、育った後輩は意外なほど少ない
基本的に出来ない人間の苦労を知らないため、百合子に着いて行けるのは限られた精神的に強い人間のみなのだ
「失礼します。 お茶のお代わりいかがですか?」
少し会話が途切れた時、ちょうど魔鈴が紅茶のお代わりを持って来る
魔鈴は京子のカップに紅茶を注ぎ、飲み物がなかった横島にも紅茶を入れていく
「一度しか来た事なかったけど、以前より腕を上げたわね。 店の感じもだいぶ良くなかったと思うわよ」
紅茶を出す魔鈴に京子は笑顔で語りかけ始める
実は先程から京子は魔鈴にも会ってみたかったのであった
(忠夫君の彼女って言ってたけど、随分百合子と上手くやってるわね)
先程の百合子の説明でも、魔鈴は最近の横島を支えてる人物として評価が高い
まあ百合子のキツイ性格を知るだけに、京子は横島と魔鈴の関係や百合子と魔鈴の関係が気になっている
「ありがとうございます。 横島さん達が来てくれてから、少しやり方を変えたんです」
百合子の友人に褒められた魔鈴は嬉しそうに微笑む
まあお世辞かもしれないが、基本的に魔鈴はお客に褒められたら喜ぶようにしているのだ
穏やかな笑顔で京子にかわされたが、横島は正直複雑な気分だった
(俺が他人に興味を持たれるとロクな事がないんだよな~)
ただ友人の息子に会いに来ただけならいいが、何か裏がありそうで怖い
かつての横島は他人から注目を集めるとロクな結果にならない事が多いのだ
主に令子絡みではあるが、厄介事が増えそうな予感が消えないのである
「忠夫君、将来の夢はあるの?」
横島の心配をよそに、京子はマイペースなまま語りかけていた
さすがに百合子と友人だっただけに、見た目とは裏腹に結構マイペースな人間のようだ
まあそのくらいじゃなければ、基本自己中心的な百合子と友人としてやっていけないのかもしれないが……
「夢っすか?」
夢と言う言葉に横島の表情が一瞬曇るのを京子は見逃さなかった
「いや~、俺は普通に生きて行ければそれでいいっすよ」
何かをごまかすように笑って話す横島を、京子は静かに見つめている
(思ってたのと違ったわね)
百合子と大樹の息子という視線で見ると、横島の印象は意外なものだった
百合子や大樹は根本的な我の強さと言うか個性が強い部分があるが、横島にはそれがあまりない気がする
一見してみると似てる感じはするが、根本的な部分は強さより弱さが見えていた
(百合子、あなた失敗したわね)
元々確固たる強さを持つ百合子は、自分が強くできる人間ゆえに他人にも厳しい一面を持つ
人間誰でもそうだが、基本的には自分を基準に考えるのだ
百合子は自分のようになって欲しいと思い強く厳しく育てていたが、それが逆に横島の本来の個性を封じてる原因になっていた事に京子は気付く
(育てるのが苦手なのも相変わらずか…… 昔っから後輩にも厳しかったものね)
大学時代やOL時代も、百合子はたくさんの後輩を面倒見たり育てたりして来ている
しかし百合子の優秀さから比べると、育った後輩は意外なほど少ない
基本的に出来ない人間の苦労を知らないため、百合子に着いて行けるのは限られた精神的に強い人間のみなのだ
「失礼します。 お茶のお代わりいかがですか?」
少し会話が途切れた時、ちょうど魔鈴が紅茶のお代わりを持って来る
魔鈴は京子のカップに紅茶を注ぎ、飲み物がなかった横島にも紅茶を入れていく
「一度しか来た事なかったけど、以前より腕を上げたわね。 店の感じもだいぶ良くなかったと思うわよ」
紅茶を出す魔鈴に京子は笑顔で語りかけ始める
実は先程から京子は魔鈴にも会ってみたかったのであった
(忠夫君の彼女って言ってたけど、随分百合子と上手くやってるわね)
先程の百合子の説明でも、魔鈴は最近の横島を支えてる人物として評価が高い
まあ百合子のキツイ性格を知るだけに、京子は横島と魔鈴の関係や百合子と魔鈴の関係が気になっている
「ありがとうございます。 横島さん達が来てくれてから、少しやり方を変えたんです」
百合子の友人に褒められた魔鈴は嬉しそうに微笑む
まあお世辞かもしれないが、基本的に魔鈴はお客に褒められたら喜ぶようにしているのだ