白き狼と白き狐と横島
「ある意味知らない方が幸せな真実よ」
一言呟いた百合子は、複雑な表情でアシュタロス戦に関する極秘資料を京子に見せていた
そのまま資料に目を通す京子だが、その穏やかな表情から次第に笑みが消えていく
「何これ? 本当なの?」
オカルト絡みの裁判や弁護の経験もある京子は、一般人にしてはオカルトに詳しかった
しかしそんな京子ですら、資料の内容は信じられないものである
「本当みたいなのよ。 正直、神族と魔族の関係やら争いに関しては理解出来ないけど、原因は美神親子なのは確かよ」
極秘資料にはアシュタロスの反乱理由や神魔の関係など、二人には理解出来ない事も多く書かれていた
そんな資料で二人が注目したのは、やはり令子とアシュタロスの関係と美智恵の行動である
「個人の私闘で世界を巻き込んだの? そんな馬鹿なこと……」
極秘資料には別に令子や美智恵が悪いとは書かれてないが、アシュタロスの反乱の原因が令子である事や、被害を拡大させた一因が美智恵の行動にある可能性が高いと結論付けていた
最も美智恵の行動は、アシュタロスを倒した功績もまた高く評価されている
実質アシュタロスを倒したのは横島やルシオラや令子なのだが、その結果に導いた指揮管理能力はかなり評価が高い
仮にアシュタロスの反乱が避けられない歴史的事実だとすれば、結果的に美智恵の功績が大きいということだった
この辺りは判断が難しく今回の事件は令子が原因だが、一方ではアシュタロスが反乱を考えていたのは遥かに過去からだという事実もある
いずれ戦う運命だとすれば、今回の戦いは仕方なかったとも考えられていた
この返の情報元は神族関係なのだろうが、美智恵や令子への評価の難しさを象徴するような資料である
「世界がどうのこうのはどうでもいいわ。 私にとって許せないのは、忠夫とルシオラが美神美智恵に利用されたって事よ」
資料を一通り読み終えた京子に、百合子はアシュタロス戦後の話を始めていく
弁護士という職業から意外な秘密やら真実には慣れている京子だが、それでも百合子の話は驚きの連続である
「なるほど、それでターゲットは美神美智恵の子飼の西条輝彦な訳ね」
「ええ。 忠夫のこと随分酷い扱いにしてたみたいだし、妙なちょっかいを出して来たから何とかしないとね」
話が先日の事に及ぶと、京子は百合子の意図をようやく理解したようだ
そんな食事と事情の説明が終わったのは、店に入って1時間30分ほど過ぎた頃だった
昼時で忙しい横島が来る前に、簡単な説明を終えてしまっている
「後は忠夫君に会ってからね。 彼から直接話を聞かないとなんとも言えないわ」
西条や美智恵への法的措置を視野に入れつつ考え込む京子だが、一番の問題は横島が依頼を引き受けたくなる人物かどうかどうかだった
この辺りは穏やかな見た目に反して実は人に対する好き嫌いが激しく、気に入らない人間とは仕事をしたくないと言うワガママとも言える一面を持っている事が原因である
まあ信用出来ない人間の弁護など出来ないという考えからではあるが、人一倍正義感もあり筋が通らない事は嫌いだという熱い心意気を持った人物でもあった
一言呟いた百合子は、複雑な表情でアシュタロス戦に関する極秘資料を京子に見せていた
そのまま資料に目を通す京子だが、その穏やかな表情から次第に笑みが消えていく
「何これ? 本当なの?」
オカルト絡みの裁判や弁護の経験もある京子は、一般人にしてはオカルトに詳しかった
しかしそんな京子ですら、資料の内容は信じられないものである
「本当みたいなのよ。 正直、神族と魔族の関係やら争いに関しては理解出来ないけど、原因は美神親子なのは確かよ」
極秘資料にはアシュタロスの反乱理由や神魔の関係など、二人には理解出来ない事も多く書かれていた
そんな資料で二人が注目したのは、やはり令子とアシュタロスの関係と美智恵の行動である
「個人の私闘で世界を巻き込んだの? そんな馬鹿なこと……」
極秘資料には別に令子や美智恵が悪いとは書かれてないが、アシュタロスの反乱の原因が令子である事や、被害を拡大させた一因が美智恵の行動にある可能性が高いと結論付けていた
最も美智恵の行動は、アシュタロスを倒した功績もまた高く評価されている
実質アシュタロスを倒したのは横島やルシオラや令子なのだが、その結果に導いた指揮管理能力はかなり評価が高い
仮にアシュタロスの反乱が避けられない歴史的事実だとすれば、結果的に美智恵の功績が大きいということだった
この辺りは判断が難しく今回の事件は令子が原因だが、一方ではアシュタロスが反乱を考えていたのは遥かに過去からだという事実もある
いずれ戦う運命だとすれば、今回の戦いは仕方なかったとも考えられていた
この返の情報元は神族関係なのだろうが、美智恵や令子への評価の難しさを象徴するような資料である
「世界がどうのこうのはどうでもいいわ。 私にとって許せないのは、忠夫とルシオラが美神美智恵に利用されたって事よ」
資料を一通り読み終えた京子に、百合子はアシュタロス戦後の話を始めていく
弁護士という職業から意外な秘密やら真実には慣れている京子だが、それでも百合子の話は驚きの連続である
「なるほど、それでターゲットは美神美智恵の子飼の西条輝彦な訳ね」
「ええ。 忠夫のこと随分酷い扱いにしてたみたいだし、妙なちょっかいを出して来たから何とかしないとね」
話が先日の事に及ぶと、京子は百合子の意図をようやく理解したようだ
そんな食事と事情の説明が終わったのは、店に入って1時間30分ほど過ぎた頃だった
昼時で忙しい横島が来る前に、簡単な説明を終えてしまっている
「後は忠夫君に会ってからね。 彼から直接話を聞かないとなんとも言えないわ」
西条や美智恵への法的措置を視野に入れつつ考え込む京子だが、一番の問題は横島が依頼を引き受けたくなる人物かどうかどうかだった
この辺りは穏やかな見た目に反して実は人に対する好き嫌いが激しく、気に入らない人間とは仕事をしたくないと言うワガママとも言える一面を持っている事が原因である
まあ信用出来ない人間の弁護など出来ないという考えからではあるが、人一倍正義感もあり筋が通らない事は嫌いだという熱い心意気を持った人物でもあった