白き狼と白き狐と横島
「そうなのか?」
「横島だって美神やおキヌちゃんに本心隠したでしょ? 同じようなものよ。 嫌いな事を相手に悟られていい事ないもの」
自分も似たような行動をしていたはずの横島だが、他人の事になるとイマイチ鈍感な事にタマモは微妙に苦笑いを浮かべた
「いや、まあな……」
改めて説明されると、信用出来ない相手に本心を明かせない事は横島にも理解できる
ルシオラの犠牲でハッピーエンドとした令子やおキヌに、横島自身幻滅したのは確かなのだ
「しかしお前、俺の事はわかるように嫌ってなかったか?」
「横島の場合は本当に嫌いだった訳じゃないわよ。 馬鹿でどうしようもない人間かとは思っていたけど、基本的にお人よしでいい人だしね」
ずっと自分は嫌われてると思い込んでいた横島は、タマモの思わぬ本心に驚きを隠せない
(私は横島をずっと観察してただけよ。 まあ解りやすく嫌ってるふりをして、周りを騙してたのはあるけど……)
タマモにとって、かつての横島はまるでわからない人間だった
金毛白面九尾の妖狐の正体を知って助ける人間など、前世でも数えるほどしかいない
ただの馬鹿やお人よしでは、正体を知って助ける事などないのだ
それに一度は幻術で騙したにも関わらず、再会した時には文句を言わないばかりか笑顔で再会している
タマモは人間社会を学ぶために美神事務所に来たが、そんなおかしな人間に興味を持っていた事も理由にあった
横島に対して嫌ってるそぶりを僅かに見せていた理由としては、横島本人と言うよりは周りを騙す意図が強い
令子は悪い人間ではないが信用出来る人間ではないし、美智恵や西条は警戒すべき人間なのだ
そんな周りを油断させて自分を守るために、嫌ってるふりをしても害のない横島を利用していただけなのであった
「そっか……」
馬鹿でどうしてもない姿の横島しか知らないタマモが、本心ではあまり嫌ってなかった現実に横島はなんとも不思議な気分である
かつてはどうやってタマモの信用を得ればいいか散々悩んだだけに、その真実にはなんとも言えない気持ちになったようだ
「騙してたのはお互い様でしょ? お互いに周りを騙す必要はあったんだし、結果的に見ると似たような事してただけなのよ」運命の皮肉と言うべきかただの偶然と言うべきかわからないが、横島とタマモは互いに似たような形で周りを騙していたのだ
そのやり方や考え方はまるで違うが、令子や美智恵や西条が信用出来ない事は当時から一致していたのである
表向きはともかく横島とタマモがお互いに相手をある程度信用していたのだから、なんとも奇妙な関係とは言えるだろう
「あんた達、思い出話は後にしてちょうだい。 今は美神美智恵が何をしようとしてるかが問題なんだよ」
話が脱線気味の横島とタマモを百合子は軽く睨みつける
かつての二人の関係に百合子も興味はあるが、昔話で和んでる時間などないのだ
「心霊捜査って名目で来たんだから、そっちから調べたらどうかしら? 美神美智恵は難しいけど、西条なら簡単でしょ」
「そうね。 まずは裏を取るしかないわね……」
話を戻したタマモの意見を聞いた百合子は、西条が昨日話した連続殺人事件とオカルトGメンの事を調べるために一旦帰って行く
「横島だって美神やおキヌちゃんに本心隠したでしょ? 同じようなものよ。 嫌いな事を相手に悟られていい事ないもの」
自分も似たような行動をしていたはずの横島だが、他人の事になるとイマイチ鈍感な事にタマモは微妙に苦笑いを浮かべた
「いや、まあな……」
改めて説明されると、信用出来ない相手に本心を明かせない事は横島にも理解できる
ルシオラの犠牲でハッピーエンドとした令子やおキヌに、横島自身幻滅したのは確かなのだ
「しかしお前、俺の事はわかるように嫌ってなかったか?」
「横島の場合は本当に嫌いだった訳じゃないわよ。 馬鹿でどうしようもない人間かとは思っていたけど、基本的にお人よしでいい人だしね」
ずっと自分は嫌われてると思い込んでいた横島は、タマモの思わぬ本心に驚きを隠せない
(私は横島をずっと観察してただけよ。 まあ解りやすく嫌ってるふりをして、周りを騙してたのはあるけど……)
タマモにとって、かつての横島はまるでわからない人間だった
金毛白面九尾の妖狐の正体を知って助ける人間など、前世でも数えるほどしかいない
ただの馬鹿やお人よしでは、正体を知って助ける事などないのだ
それに一度は幻術で騙したにも関わらず、再会した時には文句を言わないばかりか笑顔で再会している
タマモは人間社会を学ぶために美神事務所に来たが、そんなおかしな人間に興味を持っていた事も理由にあった
横島に対して嫌ってるそぶりを僅かに見せていた理由としては、横島本人と言うよりは周りを騙す意図が強い
令子は悪い人間ではないが信用出来る人間ではないし、美智恵や西条は警戒すべき人間なのだ
そんな周りを油断させて自分を守るために、嫌ってるふりをしても害のない横島を利用していただけなのであった
「そっか……」
馬鹿でどうしてもない姿の横島しか知らないタマモが、本心ではあまり嫌ってなかった現実に横島はなんとも不思議な気分である
かつてはどうやってタマモの信用を得ればいいか散々悩んだだけに、その真実にはなんとも言えない気持ちになったようだ
「騙してたのはお互い様でしょ? お互いに周りを騙す必要はあったんだし、結果的に見ると似たような事してただけなのよ」運命の皮肉と言うべきかただの偶然と言うべきかわからないが、横島とタマモは互いに似たような形で周りを騙していたのだ
そのやり方や考え方はまるで違うが、令子や美智恵や西条が信用出来ない事は当時から一致していたのである
表向きはともかく横島とタマモがお互いに相手をある程度信用していたのだから、なんとも奇妙な関係とは言えるだろう
「あんた達、思い出話は後にしてちょうだい。 今は美神美智恵が何をしようとしてるかが問題なんだよ」
話が脱線気味の横島とタマモを百合子は軽く睨みつける
かつての二人の関係に百合子も興味はあるが、昔話で和んでる時間などないのだ
「心霊捜査って名目で来たんだから、そっちから調べたらどうかしら? 美神美智恵は難しいけど、西条なら簡単でしょ」
「そうね。 まずは裏を取るしかないわね……」
話を戻したタマモの意見を聞いた百合子は、西条が昨日話した連続殺人事件とオカルトGメンの事を調べるために一旦帰って行く