白き狼と白き狐と横島
同じ日の午前、魔鈴の自宅に百合子が来ていた
昨夜の西条の問題の裏にあるかもしれない美智恵の思惑と対処のために、魔鈴が早朝に連絡していたのである
「西条輝彦ねぇ……」
昨夜の説明を聞く百合子だが、特に何を言う訳でもなく聞いているだけだった
(忠夫や私の出方を伺うには最適な人物ではあるのよね)
魔鈴と西条の関係を考えれば、今回の一件が横島達の様子を伺うための行動である可能性が高いと考えているが、百合子にもその先が見えないのだ
(いったい何がしたいの? まさか、まだ忠夫を手元に置けるとでも思ってるのかしら? それとも私達と徹底的に戦うつもり?)
美智恵の賢さを理解してるがゆえに、百合子は今回の行動の意味がわからない
あの時最後通告として、横島とその周囲に関わるなと確かな一線を引いたのだ
まさか美智恵ほどの人物が、出方を確かめるためだけに動くとは思えない
「それであなた達はどう思うの?」
珍しく先が読めない百合子は、その場に居た魔鈴達に意見を聞く
仮にこれが美智恵の策略ならば、すでに確かな目的があって動いてるはずである
この辺りの目的が読めない原因としては、百合子がオカルト関係に弱いという理由があった
権力や利権争いならば強い百合子だが、超常現象が相手のオカルトゆえにわからない
「私には美神美智恵さんの思惑はわかりませんが、西条先輩も知らないと思います。 私が今後オカルトGメンに協力しないと言った時、本当に驚いてましたから……」
百合子の問い掛けに半信半疑で答える魔鈴は、自信は無いが西条は何も知らないで利用されたのではと感じていた
見送りに出た時、西条は本当に驚き困惑していたように魔鈴には見えていたのだ
「拙者は聞いていただけなのでわからないでござるが、西条殿はそれほど嘘が上手くないでござるよ」
魔鈴に続き口を開いたシロだが、西条がそれほど嘘が上手くないのは知っている
無論西条がよく嘘をつくのは美神事務所の時に見ていたので理解しているが、実際は人狼のシロの超感覚では嘘がだいたい見抜けていた
さすがに今回は離れた場所で声を聞いていただけなので、わからないようだが……
「私あの人嫌いだし、あんまり知らないのよね」
魔鈴やシロの話を聞きながら考えていたタマモだが、こちらも百合子と同様でイマイチしっくり来てないようだった
元々タマモは人間を信用しないし、自分を狩る側に回りそうな人間には常に警戒している
令子やおキヌは基本的に悪い人間ではないのは理解しているからよかったが、西条と美智恵には気を許した事はない
美神事務所の時は、あえて無警戒を装い波風を立てないようにしていたため表面上は問題なかったが、一定以上関わる事はなかったのだ
したがってタマモは、シロほど西条と関わった事がないし知らない
「お前、西条の事そんなに嫌いだったか? お前が嫌ってたのは俺だけだと思ってたが……」
タマモの嫌いという言葉に、横島は少し不思議そうな表情を浮かべる
横島自身は以前嫌われていた記憶があるが、西条に関して言えばそれほど嫌っているようには見えなかったのだ
「本当に嫌いな人間に、嫌いな事を悟られる真似はしないわよ」
少し呆れた表情を浮かべたタマモの言葉に、横島は驚き目を見開いていた
昨夜の西条の問題の裏にあるかもしれない美智恵の思惑と対処のために、魔鈴が早朝に連絡していたのである
「西条輝彦ねぇ……」
昨夜の説明を聞く百合子だが、特に何を言う訳でもなく聞いているだけだった
(忠夫や私の出方を伺うには最適な人物ではあるのよね)
魔鈴と西条の関係を考えれば、今回の一件が横島達の様子を伺うための行動である可能性が高いと考えているが、百合子にもその先が見えないのだ
(いったい何がしたいの? まさか、まだ忠夫を手元に置けるとでも思ってるのかしら? それとも私達と徹底的に戦うつもり?)
美智恵の賢さを理解してるがゆえに、百合子は今回の行動の意味がわからない
あの時最後通告として、横島とその周囲に関わるなと確かな一線を引いたのだ
まさか美智恵ほどの人物が、出方を確かめるためだけに動くとは思えない
「それであなた達はどう思うの?」
珍しく先が読めない百合子は、その場に居た魔鈴達に意見を聞く
仮にこれが美智恵の策略ならば、すでに確かな目的があって動いてるはずである
この辺りの目的が読めない原因としては、百合子がオカルト関係に弱いという理由があった
権力や利権争いならば強い百合子だが、超常現象が相手のオカルトゆえにわからない
「私には美神美智恵さんの思惑はわかりませんが、西条先輩も知らないと思います。 私が今後オカルトGメンに協力しないと言った時、本当に驚いてましたから……」
百合子の問い掛けに半信半疑で答える魔鈴は、自信は無いが西条は何も知らないで利用されたのではと感じていた
見送りに出た時、西条は本当に驚き困惑していたように魔鈴には見えていたのだ
「拙者は聞いていただけなのでわからないでござるが、西条殿はそれほど嘘が上手くないでござるよ」
魔鈴に続き口を開いたシロだが、西条がそれほど嘘が上手くないのは知っている
無論西条がよく嘘をつくのは美神事務所の時に見ていたので理解しているが、実際は人狼のシロの超感覚では嘘がだいたい見抜けていた
さすがに今回は離れた場所で声を聞いていただけなので、わからないようだが……
「私あの人嫌いだし、あんまり知らないのよね」
魔鈴やシロの話を聞きながら考えていたタマモだが、こちらも百合子と同様でイマイチしっくり来てないようだった
元々タマモは人間を信用しないし、自分を狩る側に回りそうな人間には常に警戒している
令子やおキヌは基本的に悪い人間ではないのは理解しているからよかったが、西条と美智恵には気を許した事はない
美神事務所の時は、あえて無警戒を装い波風を立てないようにしていたため表面上は問題なかったが、一定以上関わる事はなかったのだ
したがってタマモは、シロほど西条と関わった事がないし知らない
「お前、西条の事そんなに嫌いだったか? お前が嫌ってたのは俺だけだと思ってたが……」
タマモの嫌いという言葉に、横島は少し不思議そうな表情を浮かべる
横島自身は以前嫌われていた記憶があるが、西条に関して言えばそれほど嫌っているようには見えなかったのだ
「本当に嫌いな人間に、嫌いな事を悟られる真似はしないわよ」
少し呆れた表情を浮かべたタマモの言葉に、横島は驚き目を見開いていた