白き狼と白き狐と横島
一方雪之丞・愛子・ピート・タイガーの四人は、話の後いつもと同じく勉強会と夕食を済ませて帰っていた
「知らなかったわ。 横島君があんなに考える人だったなんて…… 雪之丞君は知ってたの?」
最近までクラスメートとして一緒に居る時間の多かった愛子達三人は、横島の意外な一面に驚きが隠せない
まあ一緒に居てもよく解らないと言われる横島だが、それでも愛子にはそれなりに横島を見てきた自信もあったのである
「俺も初耳だよ。 シロとタマモを除霊から遠ざけてたのはなんとなく気付いてたが、理由を聞いたのは初めてだ。 横島の奴は肝心な事は意外に人に言わないんだよ。 まあ散々馬鹿にされてきたトラウマだと思うけどな」
魔鈴以外で一番冷静だったのは間違いなく雪之丞だろう
基本的に自分からは何も聞かない雪之丞だが、横島の考えをなんとなく理解している
横島がタマモやシロを危険から遠ざけようとしていたのは、以前から気が付いていたのだ
この辺りの微妙な距離感が、最近の横島と雪之丞が気の合うところなのだろう
「そうなんだ~」
トラウマと言う言葉に愛子は、少し胸が痛む気がした
三年になって横島が毎日学校に来るようになっても、基本的に横島がいじられるのは変わらなかったのである
勉強について行けないと馬鹿だといじられるし、逆に勉強をしたらしたで天変地異が起こるなどといじられるのだ
まあイジメと言う感じではないし、横島本人も何かあるたびに笑いに持っていくので誰も気にもしてなかったのだが、結果として横島の本心を隠す一因になっていた事は明らかだった
「今日でわかったろ? あいつの根底には根深い人間不信がある。 笑って馬鹿続けてた理由も、結局は相手を信用してなかったからだろうな」
淡々と話す雪之丞だが、愛子達三人は横島へのクラスメートの態度は自分達にも責任があると思うと罪悪感を感じてしまう
「でもね。 実際には横島君って、クラスメートに嫌われてはなかったんだけどね。 好意を持ってる女の子も少しは居たし……」
横島にとっては遠い存在だったクラスメートだが、逆にクラスメート側から見れば人気がある方だと愛子は言う
明るく楽しい性格だし根に持つタイプじゃないため、あまり嫌われる事はないのだ
まあ一緒にいじられたり騒がれたくないので、好意を持つ女の子は誰ひとりとして横島に告白などしなかったのだが……
「すれ違いか…… 横島も鈍感なとこはとことん鈍感だからな」
横島の話でしかクラスメートを知らなかった雪之丞は、自分が考えてた以上に横島が嫌われてなかった事に少し驚きを感じていた
まあ雪之丞自身も学校にいい思い出がないため、勝手に悪い方に解釈していただけなのだが
横島本人がクラスメートに対して感じていた事も、決していい方ではない
「私は、もっと横島君に相談してもらえるようにならなきゃダメね」
クラスメートや他人から比べれば良好な関係だが、愛子としてはもっと相談してもらえるような友達になりたかった
横島が自分の事を考えてくれていた事は嬉しいが、同時に苦しみや悩みなど何一つ相談してくれなかった事は残念で仕方ない
そんな今後の事を少しずつ考え始めた愛子にとっては、この日が重要なターニングポイントになる事になるのだが……
本人がそれに気付くのはまだ先の事である
「知らなかったわ。 横島君があんなに考える人だったなんて…… 雪之丞君は知ってたの?」
最近までクラスメートとして一緒に居る時間の多かった愛子達三人は、横島の意外な一面に驚きが隠せない
まあ一緒に居てもよく解らないと言われる横島だが、それでも愛子にはそれなりに横島を見てきた自信もあったのである
「俺も初耳だよ。 シロとタマモを除霊から遠ざけてたのはなんとなく気付いてたが、理由を聞いたのは初めてだ。 横島の奴は肝心な事は意外に人に言わないんだよ。 まあ散々馬鹿にされてきたトラウマだと思うけどな」
魔鈴以外で一番冷静だったのは間違いなく雪之丞だろう
基本的に自分からは何も聞かない雪之丞だが、横島の考えをなんとなく理解している
横島がタマモやシロを危険から遠ざけようとしていたのは、以前から気が付いていたのだ
この辺りの微妙な距離感が、最近の横島と雪之丞が気の合うところなのだろう
「そうなんだ~」
トラウマと言う言葉に愛子は、少し胸が痛む気がした
三年になって横島が毎日学校に来るようになっても、基本的に横島がいじられるのは変わらなかったのである
勉強について行けないと馬鹿だといじられるし、逆に勉強をしたらしたで天変地異が起こるなどといじられるのだ
まあイジメと言う感じではないし、横島本人も何かあるたびに笑いに持っていくので誰も気にもしてなかったのだが、結果として横島の本心を隠す一因になっていた事は明らかだった
「今日でわかったろ? あいつの根底には根深い人間不信がある。 笑って馬鹿続けてた理由も、結局は相手を信用してなかったからだろうな」
淡々と話す雪之丞だが、愛子達三人は横島へのクラスメートの態度は自分達にも責任があると思うと罪悪感を感じてしまう
「でもね。 実際には横島君って、クラスメートに嫌われてはなかったんだけどね。 好意を持ってる女の子も少しは居たし……」
横島にとっては遠い存在だったクラスメートだが、逆にクラスメート側から見れば人気がある方だと愛子は言う
明るく楽しい性格だし根に持つタイプじゃないため、あまり嫌われる事はないのだ
まあ一緒にいじられたり騒がれたくないので、好意を持つ女の子は誰ひとりとして横島に告白などしなかったのだが……
「すれ違いか…… 横島も鈍感なとこはとことん鈍感だからな」
横島の話でしかクラスメートを知らなかった雪之丞は、自分が考えてた以上に横島が嫌われてなかった事に少し驚きを感じていた
まあ雪之丞自身も学校にいい思い出がないため、勝手に悪い方に解釈していただけなのだが
横島本人がクラスメートに対して感じていた事も、決していい方ではない
「私は、もっと横島君に相談してもらえるようにならなきゃダメね」
クラスメートや他人から比べれば良好な関係だが、愛子としてはもっと相談してもらえるような友達になりたかった
横島が自分の事を考えてくれていた事は嬉しいが、同時に苦しみや悩みなど何一つ相談してくれなかった事は残念で仕方ない
そんな今後の事を少しずつ考え始めた愛子にとっては、この日が重要なターニングポイントになる事になるのだが……
本人がそれに気付くのはまだ先の事である