白き狼と白き狐と横島
魔鈴が横島をなだめている頃、裏に居た中で戸惑いを隠せなかったのはピート・愛子・タイガーの三人だった
「あれが横島君なの?」
憎しみや殺気など負の感情が溢れ出す横島の姿に、三人はなんと言っていいかわからないほど戸惑っている
横島がシロやタマモの将来を考えていた事も驚きだが、あんなに本気で憎しみに満ちた横島など見た事がない
「横島の過去は聞いたんでしょ? あれが今の横島なのよ。 恋人を犠牲にした心の傷が簡単に癒せる訳ないでしょ。 普段は落ち着いてるけど、何かきっかけがあると負の部分が出て来るの」
魔鈴が横島を落ち着かせた事にホッとした様子のタマモは、三人に事情を話し始めた
魔鈴やタマモ達はずっと気をつけていたが、横島は特定の地雷とも言えるタブーな事がある
一つは魔鈴やタマモ達などの身近な存在に対する危険には、神経質なほど敏感な事だ
かつて令子が魔鈴の店に怒鳴り込んで来た時に、横島が真っ先に令子を殴った事もそれが原因だった
大切な存在を失う事を極度に恐れてる横島は、危険を感じると豹変すると言っていいほど変わってしまう
「今回は私達の危険に加えて、アシュタロスって奴との戦いの発言が原因みたいだけど……」
最近安定し始めていた横島の逆鱗に触れたのは、逆天号の時の美智恵を庇った発言だとタマモは気付いていた
「俺も直接見てないが、あの時は本当にやばかったらしい。 一歩間違えれば、ルシオラ達と一緒に死んでたって言ってたよ」
タマモの言葉を肯定するように、雪之丞は以前横島が言っていた事を話し出す
あの作戦に関しては横島が別荘から逃げ出した後、美智恵から横島の潜入中の安全確保のための作戦だったと説明を受けている
当時アシュタロスを倒しルシオラを自由にする事で頭がいっぱいだった横島は、そんな美智恵の説明を少し疑問を感じつつ受け入れていた
しかし戦後に全てを考え直した横島は、あれが嘘だったと感じている
理由の一つにあの時の時間軸のズレを利用した攻撃は、美智恵がコントロールしてる物ではない
断末魔砲の威力や逆天号の防御力を詳しく知らない美智恵が、戦果を細かく予測する事は不可能なのだ
「許せなかったんでしょうね。 何も知らない人が勝手に都合よく解釈する事に……」
悲しそうに語るタマモの言葉に、愛子達は無言のまま涙を浮かべる
横島のルシオラへの熱い想いや深い後悔は、愛子達にも痛いほど伝わっていた
卒業パーティーの時に話としては聞いたが、やはり実際に間近で見るのは大違いである
苦しみ悩みながら必死に前を向き進もうとしている横島の姿に、三人は強いショックを受けてしまう
一方西条が帰った後の横島だが、しばし呆然と何もない場所を見つめていた
(わかっていた事なんだけどな……)
美智恵があの時の作戦を横島の安全のためだと言っていた事、横島はもちろん忘れていないし
西条や令子がそれを信じてるのも横島は知っている
横島自身あれが嘘だと気付いたのはアシュタロス戦後だし、あの時の逆天号の中の様子は美智恵達には話してない
西条があの時の作戦をあんな風に考えるのは当然なのだ
(わかってたけど、我慢できなかったんだよな)
横島自身、何故あんな事を西条に言ったのかわからなかった
今まで相手にしなかったし、これからもそのつもりだったのだ
「あれが横島君なの?」
憎しみや殺気など負の感情が溢れ出す横島の姿に、三人はなんと言っていいかわからないほど戸惑っている
横島がシロやタマモの将来を考えていた事も驚きだが、あんなに本気で憎しみに満ちた横島など見た事がない
「横島の過去は聞いたんでしょ? あれが今の横島なのよ。 恋人を犠牲にした心の傷が簡単に癒せる訳ないでしょ。 普段は落ち着いてるけど、何かきっかけがあると負の部分が出て来るの」
魔鈴が横島を落ち着かせた事にホッとした様子のタマモは、三人に事情を話し始めた
魔鈴やタマモ達はずっと気をつけていたが、横島は特定の地雷とも言えるタブーな事がある
一つは魔鈴やタマモ達などの身近な存在に対する危険には、神経質なほど敏感な事だ
かつて令子が魔鈴の店に怒鳴り込んで来た時に、横島が真っ先に令子を殴った事もそれが原因だった
大切な存在を失う事を極度に恐れてる横島は、危険を感じると豹変すると言っていいほど変わってしまう
「今回は私達の危険に加えて、アシュタロスって奴との戦いの発言が原因みたいだけど……」
最近安定し始めていた横島の逆鱗に触れたのは、逆天号の時の美智恵を庇った発言だとタマモは気付いていた
「俺も直接見てないが、あの時は本当にやばかったらしい。 一歩間違えれば、ルシオラ達と一緒に死んでたって言ってたよ」
タマモの言葉を肯定するように、雪之丞は以前横島が言っていた事を話し出す
あの作戦に関しては横島が別荘から逃げ出した後、美智恵から横島の潜入中の安全確保のための作戦だったと説明を受けている
当時アシュタロスを倒しルシオラを自由にする事で頭がいっぱいだった横島は、そんな美智恵の説明を少し疑問を感じつつ受け入れていた
しかし戦後に全てを考え直した横島は、あれが嘘だったと感じている
理由の一つにあの時の時間軸のズレを利用した攻撃は、美智恵がコントロールしてる物ではない
断末魔砲の威力や逆天号の防御力を詳しく知らない美智恵が、戦果を細かく予測する事は不可能なのだ
「許せなかったんでしょうね。 何も知らない人が勝手に都合よく解釈する事に……」
悲しそうに語るタマモの言葉に、愛子達は無言のまま涙を浮かべる
横島のルシオラへの熱い想いや深い後悔は、愛子達にも痛いほど伝わっていた
卒業パーティーの時に話としては聞いたが、やはり実際に間近で見るのは大違いである
苦しみ悩みながら必死に前を向き進もうとしている横島の姿に、三人は強いショックを受けてしまう
一方西条が帰った後の横島だが、しばし呆然と何もない場所を見つめていた
(わかっていた事なんだけどな……)
美智恵があの時の作戦を横島の安全のためだと言っていた事、横島はもちろん忘れていないし
西条や令子がそれを信じてるのも横島は知っている
横島自身あれが嘘だと気付いたのはアシュタロス戦後だし、あの時の逆天号の中の様子は美智恵達には話してない
西条があの時の作戦をあんな風に考えるのは当然なのだ
(わかってたけど、我慢できなかったんだよな)
横島自身、何故あんな事を西条に言ったのかわからなかった
今まで相手にしなかったし、これからもそのつもりだったのだ