白き狼と白き狐と横島
(昔を思い出すわね……)
自らの正義を信じて疑いもしない西条に、美智恵は昔の自分を重ね合わせていた
(私だって昔は正義が勝つなんて本気で思ってた。 でも結局、正義の反対は別の正義なのよね)
理想と正義感が溢れる西条の姿は、美智恵にとって懐かしくもありほろ苦くもある
幼い頃より魔族と戦って来た美智恵にとって、人が正義だと信じる事が唯一の希望であり生きがいだった
しかし結局は人や神族が正義でも無ければ、魔族が悪でもない
そんな非情な現実に打ちのめされただけである
(強すぎる正義が悪になる事を西条君は理解してない。 自分の正義が人によっては悪になると気付くには若すぎるか……)
人の本心は特別な能力が無ければわからないが、それでも西条は人の心や気持ちをわからな過ぎるのだ
恵まれた家庭に生まれ、容姿や才能など何不自由なく生きてきた西条では理解出来ない事が多い
「もっと苦労をさせるべきだったかしらね」
恵まれた才能を伸ばす事に重点を置いた師匠としての美智恵の教育だが、あまりに上手く行きすぎた
一度くらいは挫折させて、世界の不条理さを痛感させた方がよかったかと後悔する
その後美智恵は警察庁側と話し合い、今回の事件においての主導権を警視庁側に渡す事や、事件処理やマスコミ対策で協力する事で一致することになる
当初はオカルトGメンに責任や問題を押し付けるつもりだった警察庁側だが、想定以上の捜査の迷走に危機感を募らせていた
以前として政府や霞ヶ関関係者には美智恵を快く思ってない者も多いが、同時に美智恵の味方が居る事もまた事実である
世間的に注目を集めている事件なだけに、双方ともこれ以上の対立は避けたいとの思惑が働きはじめていたのだ
一方オカルトGメンの事務所を後にした西条だが、彼はまだ納得していかなった
「先生はわかってない!」
心霊捜査の必要性を良く理解してる西条は、ここで捜査を辞めては心霊捜査が否定されると危機感を抱いている
「社会の為にも弱者の為にも、心霊捜査は必要なのに……」
元々科学とオカルトを隔てる壁が不要だと考えていた西条は、もっと科学とオカルトを合理的に使う事を望んでいた
しかし科学を基本とした現代社会もオカルト業界も、あまりに互いを無視し過ぎだと西条は考えていたのだ
(どうすればいい……。 GS犬と降霊を一度に出来れば、犯人に辿り着けるはずなんだが……)
美智恵に止められた以上、オカルトGメンとしては心霊捜査を出来ない
しかしすぐに結果を出せば、美智恵も警視庁も納得させられるだろうと西条は思う
(令子ちゃんは無理か…… 最近先生と毎日顔を合わせてるからな)
すぐに結果を出すには、超一流の協力者が必要である
西条は必死になり考えを巡らせていくが……
「そうか。 魔鈴君なら協力してくれるかもしれない。 それに魔鈴君はシロ君とタマモ君を保護してる!」
西条が行き着いた先は魔鈴だった
共に社会や弱者への救済が必要だと言う共通の価値観を持っており、技術だけなら令子以上かもしれない
加えてシロとタマモの能力を使えれば、一気に犯人逮捕まで行けると確信していた
自らの正義を信じて疑いもしない西条に、美智恵は昔の自分を重ね合わせていた
(私だって昔は正義が勝つなんて本気で思ってた。 でも結局、正義の反対は別の正義なのよね)
理想と正義感が溢れる西条の姿は、美智恵にとって懐かしくもありほろ苦くもある
幼い頃より魔族と戦って来た美智恵にとって、人が正義だと信じる事が唯一の希望であり生きがいだった
しかし結局は人や神族が正義でも無ければ、魔族が悪でもない
そんな非情な現実に打ちのめされただけである
(強すぎる正義が悪になる事を西条君は理解してない。 自分の正義が人によっては悪になると気付くには若すぎるか……)
人の本心は特別な能力が無ければわからないが、それでも西条は人の心や気持ちをわからな過ぎるのだ
恵まれた家庭に生まれ、容姿や才能など何不自由なく生きてきた西条では理解出来ない事が多い
「もっと苦労をさせるべきだったかしらね」
恵まれた才能を伸ばす事に重点を置いた師匠としての美智恵の教育だが、あまりに上手く行きすぎた
一度くらいは挫折させて、世界の不条理さを痛感させた方がよかったかと後悔する
その後美智恵は警察庁側と話し合い、今回の事件においての主導権を警視庁側に渡す事や、事件処理やマスコミ対策で協力する事で一致することになる
当初はオカルトGメンに責任や問題を押し付けるつもりだった警察庁側だが、想定以上の捜査の迷走に危機感を募らせていた
以前として政府や霞ヶ関関係者には美智恵を快く思ってない者も多いが、同時に美智恵の味方が居る事もまた事実である
世間的に注目を集めている事件なだけに、双方ともこれ以上の対立は避けたいとの思惑が働きはじめていたのだ
一方オカルトGメンの事務所を後にした西条だが、彼はまだ納得していかなった
「先生はわかってない!」
心霊捜査の必要性を良く理解してる西条は、ここで捜査を辞めては心霊捜査が否定されると危機感を抱いている
「社会の為にも弱者の為にも、心霊捜査は必要なのに……」
元々科学とオカルトを隔てる壁が不要だと考えていた西条は、もっと科学とオカルトを合理的に使う事を望んでいた
しかし科学を基本とした現代社会もオカルト業界も、あまりに互いを無視し過ぎだと西条は考えていたのだ
(どうすればいい……。 GS犬と降霊を一度に出来れば、犯人に辿り着けるはずなんだが……)
美智恵に止められた以上、オカルトGメンとしては心霊捜査を出来ない
しかしすぐに結果を出せば、美智恵も警視庁も納得させられるだろうと西条は思う
(令子ちゃんは無理か…… 最近先生と毎日顔を合わせてるからな)
すぐに結果を出すには、超一流の協力者が必要である
西条は必死になり考えを巡らせていくが……
「そうか。 魔鈴君なら協力してくれるかもしれない。 それに魔鈴君はシロ君とタマモ君を保護してる!」
西条が行き着いた先は魔鈴だった
共に社会や弱者への救済が必要だと言う共通の価値観を持っており、技術だけなら令子以上かもしれない
加えてシロとタマモの能力を使えれば、一気に犯人逮捕まで行けると確信していた