白き狼と白き狐と横島
その日の昼頃、美智恵は昼食を食べるために令子の事務所に来ていた
「いつも悪いわね令子」
「別にいいわよ」
預けていたひのめを抱き抱えた美智恵は、昼食の準備にかかる令子に視線を向ける
令子はあまり気にしてないようだが、最近の日中はひのめを見てる時間が令子の方が増えていたのだ
その理由としては、やはりひのめの能力にある
強力なパイロキネシストであるひのめは、その能力ゆえに保育園やベビーシッターなどに預けられなかった
美智恵としては設立したばかりのオカルトGメンから離れる事など出来るはずもなく、結果的に美智恵と令子が交互に面倒を見ていたのである
(変わったわね、令子……)
以前なら愚痴の一つもこぼしていたはずの令子だが、最近はひのめに関してはほとんど言わない
いやそれどころか、逆にひのめを求めてる様子も見え隠れしていた
本人に自覚は無いようだが一人になるのが嫌なようで、ひのめの面倒を見てる方が楽なようである
その証拠に元々日中は仕事が少ないGSだが、令子は意図的に日中受ける仕事を減らしていた
まあ稼ぎのいい仕事だけを夜に集中させてるという現状ではあるが、明らかアシュタロス戦以前とは変わっている
(横島君の穴なんて簡単に埋まるはずがないわよね。 そんな令子にとって、未来あるひのめは希望なのかも……)
無邪気なひのめは渇いた令子の数少ない癒しになっている現状に、美智恵は複雑な気持ちになってしまう
父親の能力や令子の運命など仕方ない理由はあったとはいえ、令子には普通の家族の幸せがほとんどなかった
そんな令子は父親や母親には甘えられないが、新しく出来た妹は別なようである
(ひのめ……、あなたが私達を家族にしてくれるのかもね)
現状で令子が一番心を開いている相手は、おキヌとひのめだった
父親とは相変わらず絶縁の一歩手間だし、母親である美智恵でさえも微妙な隙間がある
そんな家族を、ひのめが本当の家族にしてくれるかもしれない
美智恵もまた幼い我が子に期待せずにはいられなかった
「今日は西条さんは来ないの?」
考え込んでいた美智恵を現実に戻したのは、令子の言葉である
西条もまた仕事で来れない時以外は、令子の事務所で昼食を食べる機会が多いのだ
「今日は来ないわよ。 例の心霊捜査にのめり込んでたから、休ませたわ」
「まだやってたの? 無理に心霊捜査しても誰も喜ばないのに……」
美智恵の答えに令子は、呆れた様子で昼食の準備をしていく
西条は心霊捜査を日本に定着させたいと熱心に頑張っているが、令子から見れば余計なお世話に思えた
現代の科学捜査で解決出来ない難事件を簡単に解決出来るほど、心霊捜査は有効ではないのだ
それに事件捜査を出来るような霊視やサイコメトラーの能力者は、ごく限られている
オカルト絡みの事件でさえ貴重な能力者は人手不足なのに、何故お金にならない一般事件にまで捜査を広めるのか理解に苦しむ
「西条君には西条君なりの理想があるのよ」
「理想より現実でしょ? 普通の霊障ですら人手が足りないのに、わざわざ一般事件まで首を突っ込むなんてナンセンスよ」
美智恵は西条の理想に理解を示すが、令子は無駄だと一蹴してしまう
本業の除霊すら満足に出来ないオカルトGメンが、わざわざ成果が出るかわからない一般事件に関わる必要は無いと令子は考えていた
「いつも悪いわね令子」
「別にいいわよ」
預けていたひのめを抱き抱えた美智恵は、昼食の準備にかかる令子に視線を向ける
令子はあまり気にしてないようだが、最近の日中はひのめを見てる時間が令子の方が増えていたのだ
その理由としては、やはりひのめの能力にある
強力なパイロキネシストであるひのめは、その能力ゆえに保育園やベビーシッターなどに預けられなかった
美智恵としては設立したばかりのオカルトGメンから離れる事など出来るはずもなく、結果的に美智恵と令子が交互に面倒を見ていたのである
(変わったわね、令子……)
以前なら愚痴の一つもこぼしていたはずの令子だが、最近はひのめに関してはほとんど言わない
いやそれどころか、逆にひのめを求めてる様子も見え隠れしていた
本人に自覚は無いようだが一人になるのが嫌なようで、ひのめの面倒を見てる方が楽なようである
その証拠に元々日中は仕事が少ないGSだが、令子は意図的に日中受ける仕事を減らしていた
まあ稼ぎのいい仕事だけを夜に集中させてるという現状ではあるが、明らかアシュタロス戦以前とは変わっている
(横島君の穴なんて簡単に埋まるはずがないわよね。 そんな令子にとって、未来あるひのめは希望なのかも……)
無邪気なひのめは渇いた令子の数少ない癒しになっている現状に、美智恵は複雑な気持ちになってしまう
父親の能力や令子の運命など仕方ない理由はあったとはいえ、令子には普通の家族の幸せがほとんどなかった
そんな令子は父親や母親には甘えられないが、新しく出来た妹は別なようである
(ひのめ……、あなたが私達を家族にしてくれるのかもね)
現状で令子が一番心を開いている相手は、おキヌとひのめだった
父親とは相変わらず絶縁の一歩手間だし、母親である美智恵でさえも微妙な隙間がある
そんな家族を、ひのめが本当の家族にしてくれるかもしれない
美智恵もまた幼い我が子に期待せずにはいられなかった
「今日は西条さんは来ないの?」
考え込んでいた美智恵を現実に戻したのは、令子の言葉である
西条もまた仕事で来れない時以外は、令子の事務所で昼食を食べる機会が多いのだ
「今日は来ないわよ。 例の心霊捜査にのめり込んでたから、休ませたわ」
「まだやってたの? 無理に心霊捜査しても誰も喜ばないのに……」
美智恵の答えに令子は、呆れた様子で昼食の準備をしていく
西条は心霊捜査を日本に定着させたいと熱心に頑張っているが、令子から見れば余計なお世話に思えた
現代の科学捜査で解決出来ない難事件を簡単に解決出来るほど、心霊捜査は有効ではないのだ
それに事件捜査を出来るような霊視やサイコメトラーの能力者は、ごく限られている
オカルト絡みの事件でさえ貴重な能力者は人手不足なのに、何故お金にならない一般事件にまで捜査を広めるのか理解に苦しむ
「西条君には西条君なりの理想があるのよ」
「理想より現実でしょ? 普通の霊障ですら人手が足りないのに、わざわざ一般事件まで首を突っ込むなんてナンセンスよ」
美智恵は西条の理想に理解を示すが、令子は無駄だと一蹴してしまう
本業の除霊すら満足に出来ないオカルトGメンが、わざわざ成果が出るかわからない一般事件に関わる必要は無いと令子は考えていた