白き狼と白き狐と横島
その頃、西条はオカルトGメンの事務所で朝を迎えていた
もう三日も自宅に帰ってない西条は、ヒゲものび放題で酷い容姿である
あれから一週間が過ぎているが、事件の捜査は全くと言っていいほど進んでない
いや、それどころか逆に捜査は混迷の度を深めていた
一週間前に心霊捜査の基本である霊視から始めた西条だが、自身の霊視では効果が出ずに民間の霊視専門のGSに個人的に謝礼を払って依頼していた
さすがに霊視を専門にするGSだけあって、彼らは様々な証拠になりそうな手がかりを導き出していく
しかし、それが捜査を余計に混乱させてしまうことになる
警視庁は連続殺人犯を同一人物と断定していたが、霊視の結果は全く違っているのだ
犯人の特徴や手がかりは現場や被害者で全く違う結果を導き出しており、霊視の結果を信じるならば連続殺人ではなく個別の殺人という事になる
科学捜査や状況証拠ではまず間違いないなく同一犯だが、心霊捜査の方向は複数の人による無差別のテロ殺人に向かってしまう
元々オカルトGメンの事件介入を快く思ってない警視庁側は心霊捜査を全く信用してなかったが、完全に無視する訳にもいかずに捜査を複数人によるテロ殺人にまで広げていた
その捜査方針の拡大の結果、捜査は迷走の一途をたどっている
(何故だ…… 確かに心霊捜査は科学じゃないが、こうも正反対の結果が出る事は珍しい)
タバコをくわえたまま事件の資料を読む西条だが、その表情は険しい
西条はイギリス時代に心霊捜査の経験があるが、それを考えても今回の事件は特殊だった
科学とオカルトという全く正反対にも思える捜査だが、犯人は同じでありそれほど正反対の方向に向かう事自体が珍しいのだ
犯人に繋がる手がかりが出ない事は多々あるが、今回は比較的手がかりが多い
科学捜査や心霊捜査を上手く活用して来た西条にとって、これほど難解な事件は初めてであった
「おはよう。 西条君、また徹夜したの? 捜査も大事だけど、もう少し体の事を考えなさい」
いつもと同じように出勤して来た美智恵だが、徹夜続きで疲れきった表情の西条に若干困ったような表情である
事件の重要性としては西条も美智恵も同じだが、あまり入れ込み過ぎる西条には困っているようだ
「おはようございます。 すみません、先生。 どうしても今回の事件で警視庁に心霊捜査を認めさせたくて……」
慌てて身なりを整え謝る西条だが、その表情は事件で頭がいっぱいという感じである
「西条君、私達の仕事は他にもたくさんあるのよ。 今回の殺人事件はチャンスだけど、他の通常業務もきちんと考えてちょうだい」
ここ数日殺人事件に掛かりっきりの西条を、美智恵は諭すように話し始めた
事件解決の為に力を尽くすのは構わないが、一つの事件だけに力を尽くされても困るのだ
オカルトGメンの通常業務は相変わらず人手不足だし、本来オカルトGメンの任務とは無関係の殺人事件にイレ込む余裕など全くないのである
(西条君の理想はわかるけど、問題はもっと複雑なのよね)
科学とオカルトの併用の難しさはもちろんだが、オカルトGメンと警察庁の権力争いも加わるこの問題の解決は簡単ではない
美智恵としてもこの事件が重要なのは変わらないが、この事件の解決に全てを賭けるつもりはないのだ
もう三日も自宅に帰ってない西条は、ヒゲものび放題で酷い容姿である
あれから一週間が過ぎているが、事件の捜査は全くと言っていいほど進んでない
いや、それどころか逆に捜査は混迷の度を深めていた
一週間前に心霊捜査の基本である霊視から始めた西条だが、自身の霊視では効果が出ずに民間の霊視専門のGSに個人的に謝礼を払って依頼していた
さすがに霊視を専門にするGSだけあって、彼らは様々な証拠になりそうな手がかりを導き出していく
しかし、それが捜査を余計に混乱させてしまうことになる
警視庁は連続殺人犯を同一人物と断定していたが、霊視の結果は全く違っているのだ
犯人の特徴や手がかりは現場や被害者で全く違う結果を導き出しており、霊視の結果を信じるならば連続殺人ではなく個別の殺人という事になる
科学捜査や状況証拠ではまず間違いないなく同一犯だが、心霊捜査の方向は複数の人による無差別のテロ殺人に向かってしまう
元々オカルトGメンの事件介入を快く思ってない警視庁側は心霊捜査を全く信用してなかったが、完全に無視する訳にもいかずに捜査を複数人によるテロ殺人にまで広げていた
その捜査方針の拡大の結果、捜査は迷走の一途をたどっている
(何故だ…… 確かに心霊捜査は科学じゃないが、こうも正反対の結果が出る事は珍しい)
タバコをくわえたまま事件の資料を読む西条だが、その表情は険しい
西条はイギリス時代に心霊捜査の経験があるが、それを考えても今回の事件は特殊だった
科学とオカルトという全く正反対にも思える捜査だが、犯人は同じでありそれほど正反対の方向に向かう事自体が珍しいのだ
犯人に繋がる手がかりが出ない事は多々あるが、今回は比較的手がかりが多い
科学捜査や心霊捜査を上手く活用して来た西条にとって、これほど難解な事件は初めてであった
「おはよう。 西条君、また徹夜したの? 捜査も大事だけど、もう少し体の事を考えなさい」
いつもと同じように出勤して来た美智恵だが、徹夜続きで疲れきった表情の西条に若干困ったような表情である
事件の重要性としては西条も美智恵も同じだが、あまり入れ込み過ぎる西条には困っているようだ
「おはようございます。 すみません、先生。 どうしても今回の事件で警視庁に心霊捜査を認めさせたくて……」
慌てて身なりを整え謝る西条だが、その表情は事件で頭がいっぱいという感じである
「西条君、私達の仕事は他にもたくさんあるのよ。 今回の殺人事件はチャンスだけど、他の通常業務もきちんと考えてちょうだい」
ここ数日殺人事件に掛かりっきりの西条を、美智恵は諭すように話し始めた
事件解決の為に力を尽くすのは構わないが、一つの事件だけに力を尽くされても困るのだ
オカルトGメンの通常業務は相変わらず人手不足だし、本来オカルトGメンの任務とは無関係の殺人事件にイレ込む余裕など全くないのである
(西条君の理想はわかるけど、問題はもっと複雑なのよね)
科学とオカルトの併用の難しさはもちろんだが、オカルトGメンと警察庁の権力争いも加わるこの問題の解決は簡単ではない
美智恵としてもこの事件が重要なのは変わらないが、この事件の解決に全てを賭けるつもりはないのだ