ただ今修行中!?

一方GS試験を見学した六道女学院の三年生達は、その後も通常の授業を続けていた

六道女学院霊能科は三年に進級する時に、GS専攻と大学進学と就職する者にクラス分けされている

基本的には霊能科はGSを養成する為のクラスなのだが、いかに霊能のエリートの集まりの六道女学院とはいえ三年になる頃には実力差がかなり開いてしまう

それに加え霊能を勉強していくうちにGSを諦めて進学や就職を望む者も多く、三年はそれぞれに分けて授業を進めていた


おキヌやかおり達はもちろんGS専攻クラスであり、今までより実戦的な授業も増えている

そんなある日のこと、おキヌは担任である鬼道に呼ばれていた


「氷室、相変わらず悩んでるみたいやな」

鬼道がおキヌを呼んだ理由は、成績がかなり下がっていたためである


「すいません……」

鬼道は責めてる訳ではないのだが、成績の話をされるとおキヌは謝ってしまう

おキヌ自身も成績が下がっているのは気が付いており、頑張ろうとはしてるのだがなかなか成果は出てなかったのだ


「事情はある程度知っとるからそっちは何とも言えんけど、GSから離れた人生もアリやで。 正直、今の氷室がGSになるのは危険やと思うわ」

落ち込むおキヌに鬼道は、言いにくそうに言葉を選びながら話をしていく

どうやら令子と横島の問題でおキヌが悩んでるのを、鬼道は知っているようである

まあ六道家には入っている情報ではあるし、おキヌの様子に注意するように指示でもあったのだろう


「私にはGSになる資格がないのでしょうか?」

「資格って言うか、才能ならあるやろ。 氷室ほど強力な本格的なネクロマンサーのGSは、世界に数人やからな。 ただ精神的にちょっとな……」

ずっと悩んでいたおキヌは、自分がGSになる資格があるのかわからないと言う

そんなおキヌに鬼道は言葉を慎重に選びながら語っていく


才能という点ではおキヌほどGSに向いてる霊能者は少ないのだが、問題はおキヌの精神的弱さであった

特にネクロマンサーの笛は術者の精神を音と霊波に変換するため、精神の影響がモロに出るのだ

今のところおキヌのネクロマンサーの笛は昔と変わりなく音と霊波が出てるが、これ以上精神的に乱れると使えなくなる可能性もある


それに多くの悲しみに触れる仕事がGSであり、時には悪魔との心理的対決もある

GSになる上で才能と同じか、それ以上に重要なのが精神的強さであった

まあ六道冥子を見てもわかるように、霊能の才能イコールGSが向く訳ではないのだ


「ちょっと厳しい事言うと、GSになるなら今の精神状態を克服しなあかんで。 まあ美神さんもおるし僕が言う事じゃないんやろうけど、氷室の場合中途半端なままでもGSに成れてしまうからな。 心配なんや」

少し言い過ぎかと悩む鬼道だが、おキヌが気にしてる部分を的確に突いている

横島と向き合う勇気もないまま、時間だけが過ぎている現状を何より嫌で悩んでるのはおキヌ自身なのだ

しかもおキヌの中では霊能と横島は切り離して考える事が出来ずに、結果的に霊能がおざなりになっている

本人は以前と変わらぬつもりで授業を受けているが、どうしても身が入ってないのだ


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