ただ今修行中!?
「タマモやシロを見ても思うんだが、妖怪っていい奴が多いんだな」
熱心に勉強を教える愛子に、雪之丞は改めて妖怪の存在について考える
横島と関わるようになるまでは、雪之丞にとって妖怪はどうでもいい存在だった
同じ人間ですら好きになれなかった雪之丞が妖怪を好きになれるはずもなく、敵か敵じゃないかだけの存在だったのだ
しかし、今は違っている
幼い頃に母親を亡くしてから人間の嫌な部分を多く見てきた雪之丞にとって、人間よりも好感が持てる存在になりつつあった
今まではそれがタマモとシロだけだったが、愛子を見ていると案外妖怪の方がいい奴が多いのではとも思えてくる
「うふふ。 褒めても何も出ないわよ。 さあ、勉強の方に集中しましょう」
雪之丞の素直な呟きに、愛子は嬉しそうな笑顔を見せていた
やはり自分を理解してくれる友達が増えた事は嬉しいようだった
それから更にやる気を出した愛子の授業は、より一層熱心に続いて行くことになる
同じ頃、横島・タマモ・シロの三人は店の厨房で包丁の練習をしていた
現在は厨房の助手がタマモで、シロが接客で横島が接客兼出前をしている
この担当は当分変わる予定など無いのだが、三人の勉強の為に料理も基礎から教えていた
内容は横島とシロが野菜の皮剥きをしており、タマモは一足先に魚の捌きに入っている
まあそれほど厳しい訳でもなく和やかな雰囲気の中での練習は、どこかのお料理教室みたいな感じだった
「基本をしっかり覚えて下さいね。 こういうのは慣れが一番ですから」
一人一人に包丁の握り方から力の入れ具合まで丁寧に教えていく魔鈴は、どこか楽しそうである
元々一人で生きてきた魔鈴にとっては、賑やかな厨房も人に教えるのも新鮮で楽しいようだ
「同じ刃物でも霊波刀とは違うでござるな」
一方魔鈴に教えられた通り練習するシロだが、元々子供なだけあって料理の経験など無い
木刀や霊波刀の修行は幼い頃からして来たのだが、同じ刃物でも全く違う包丁に少し慣れないようだった
「人狼は刀で料理するのか?」
「先生、それはあんまりな言い方でござる! 人狼の里にも包丁はあるでござるよ!! 拙者は幼かったゆえ料理の経験は無いでござるが……」
半分冗談で尋ねる横島に、シロは涙目で抗議する
横島が冗談半分で言ってるのに気付かない辺りは、やはり体は成長しても内面は子供のままのようである
「冗談だって、そんなに涙目で見るなよ」
ムキになるシロの予想通りの子供っぽい返しに、横島は思わず笑ってしまう
別に悪気は無いのだが、ついからかってしまったようだ
「あんたが子供なのよ」
「ムッ……、身長はタマモも同じではござらんか!」
「私はうっすらと前世の記憶もあるから、見た目とは違うのよ」
ムキになるシロに、チャンスとばかりにタマモが横から口を出していた
まあ二人は一日に何度も同じような感じで言い争いをしている
ケンカと言うよりは一種のコミュニケーションになっているのは本人同士も理解しているので、最近は魔鈴もほとんど止めない
シロの場合はわかっていてもついムキになるようだが、やはり精神年齢はタマモが上のようである
「包丁を持ってるのを忘れてはダメですよ?」
そんな二人の言い争いを止めたのは魔鈴だった
理由は止めると言うよりは、包丁を持ったままだと危ないからだが……
「さあ、今日はピートさん達も居ますから昼食を早めに作りましょうね」
その後は再び和やかな感じに戻り、横島達は包丁の練習をしていく
熱心に勉強を教える愛子に、雪之丞は改めて妖怪の存在について考える
横島と関わるようになるまでは、雪之丞にとって妖怪はどうでもいい存在だった
同じ人間ですら好きになれなかった雪之丞が妖怪を好きになれるはずもなく、敵か敵じゃないかだけの存在だったのだ
しかし、今は違っている
幼い頃に母親を亡くしてから人間の嫌な部分を多く見てきた雪之丞にとって、人間よりも好感が持てる存在になりつつあった
今まではそれがタマモとシロだけだったが、愛子を見ていると案外妖怪の方がいい奴が多いのではとも思えてくる
「うふふ。 褒めても何も出ないわよ。 さあ、勉強の方に集中しましょう」
雪之丞の素直な呟きに、愛子は嬉しそうな笑顔を見せていた
やはり自分を理解してくれる友達が増えた事は嬉しいようだった
それから更にやる気を出した愛子の授業は、より一層熱心に続いて行くことになる
同じ頃、横島・タマモ・シロの三人は店の厨房で包丁の練習をしていた
現在は厨房の助手がタマモで、シロが接客で横島が接客兼出前をしている
この担当は当分変わる予定など無いのだが、三人の勉強の為に料理も基礎から教えていた
内容は横島とシロが野菜の皮剥きをしており、タマモは一足先に魚の捌きに入っている
まあそれほど厳しい訳でもなく和やかな雰囲気の中での練習は、どこかのお料理教室みたいな感じだった
「基本をしっかり覚えて下さいね。 こういうのは慣れが一番ですから」
一人一人に包丁の握り方から力の入れ具合まで丁寧に教えていく魔鈴は、どこか楽しそうである
元々一人で生きてきた魔鈴にとっては、賑やかな厨房も人に教えるのも新鮮で楽しいようだ
「同じ刃物でも霊波刀とは違うでござるな」
一方魔鈴に教えられた通り練習するシロだが、元々子供なだけあって料理の経験など無い
木刀や霊波刀の修行は幼い頃からして来たのだが、同じ刃物でも全く違う包丁に少し慣れないようだった
「人狼は刀で料理するのか?」
「先生、それはあんまりな言い方でござる! 人狼の里にも包丁はあるでござるよ!! 拙者は幼かったゆえ料理の経験は無いでござるが……」
半分冗談で尋ねる横島に、シロは涙目で抗議する
横島が冗談半分で言ってるのに気付かない辺りは、やはり体は成長しても内面は子供のままのようである
「冗談だって、そんなに涙目で見るなよ」
ムキになるシロの予想通りの子供っぽい返しに、横島は思わず笑ってしまう
別に悪気は無いのだが、ついからかってしまったようだ
「あんたが子供なのよ」
「ムッ……、身長はタマモも同じではござらんか!」
「私はうっすらと前世の記憶もあるから、見た目とは違うのよ」
ムキになるシロに、チャンスとばかりにタマモが横から口を出していた
まあ二人は一日に何度も同じような感じで言い争いをしている
ケンカと言うよりは一種のコミュニケーションになっているのは本人同士も理解しているので、最近は魔鈴もほとんど止めない
シロの場合はわかっていてもついムキになるようだが、やはり精神年齢はタマモが上のようである
「包丁を持ってるのを忘れてはダメですよ?」
そんな二人の言い争いを止めたのは魔鈴だった
理由は止めると言うよりは、包丁を持ったままだと危ないからだが……
「さあ、今日はピートさん達も居ますから昼食を早めに作りましょうね」
その後は再び和やかな感じに戻り、横島達は包丁の練習をしていく