GS試験再び……

さて雪之丞とタイガーと合流した横島達は、試験会場を後にしてエミの誘いで外食に行っていた

二人の合格祝いと今回の試験では魔鈴や雪之丞に世話になった事から、エミとしてはお礼の意味もあるようだ


さすがにエミが誘っただけあって一流の高級中華の店に来たのだが、いつものように横島・雪之丞・タイガー・シロの四人は品性のカケラも無いような食事をしている


「あんた達、正式なGSになるならこれからが大変なのよ。 独立目指すなら、経理から客への対応まで除霊外の仕事も多い……」

「うおー! 美味い美味い!!」

「タイガー! それは俺のエビチリだぞ!」

食事が一段落したところで、少し浮かれ気味の雪之丞とタイガーに今後の事を話すエミだが全く聞いてない


「……ちょっとは話を聞くワケ!!」

エミの怒鳴り声に雪之丞とタイガーと横島はビクッとして驚いてしまう

いつもながら本人達に悪気は無いのだ


「俺は関係無いよな……」

自分は無関係だと思い再び食べようとする横島だが、エミが鋭い視線を向けると静かに箸をおく


「ついでだからおたくも一緒に聞きなさい。 GSは除霊以外も大変なワケ。 経理から接客まで全て自分で覚える事が最低限必要よ」

免許取得に少し浮かれ過ぎだと思うエミは、GSの地味な仕事を説明しはじめた


その内容はGSと言うよりは、社会人として必要な事に近いものである

基本的に個人経営がほとんどなGS事務所では、全てGS本人がやる事が多い

もちろん経理関係は人を雇う者も多いが、基本的に経営者本人が自分で出来ないと話にならない

扱う金額の多さとオカルト知識が無いと理解出来ない霊具の値段や除霊料金から、普通の事務員ではなかなか難しいのだ

それに加え個人経営だとどうしても、お金にルーズになりがちである

お金に疎いGSが事務員にお金を持ち逃げされたなどと言う話も、たまに聞く話なのだ


「おたく達に足りないのは知識と常識なワケ。 二人共その返をしっかりしないと、後で困るのは自分なのよ」

食事を止められて最初は少し不満そうに聞いていた雪之丞も、話の内容がGSの事だと知ると真剣に聞いていた

最近は魔鈴から少しずつ教えられてはいたが、想像以上に大変な事にその表情が険しい

結局、エミはこの後もGSになる上での常識を細かく語っていく

自分の弟子であるタイガーには当然教えるべき事なのだが、予想以上に将来を真剣に考えていた雪之丞にも教えるつもりだった

試験対策でタイガーが世話になった事もあり、多少厳しい言葉だが積極的に教えている

魔鈴も一応基本は理解しているが、GSを本業にする大変さや事務所の経営の難しさはエミの方が詳しかった


「それとこれだけは覚えておきなさい。 仕事はあくまでも仕事で、人助けじゃないわ。 中途半端な気持ちなら今からでも辞めなさい」

その言葉には横島達の表情が固まり、大人しく聞いていたタマモやシロの表情まで複雑そうになっていた


(これは私にも言える言葉かもしれませんね)

エミの言葉に、魔鈴は自分の甘さを痛感する

昔のように除霊が魔法技術の片手間で出来るとは思ってないが、つい同情や押されてしまう事は今でもあるのだ

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