GS試験再び……

その後二人は三回戦も順調に勝ち上がり、いよいよ準々決勝に突入しようとしていた

最初の試合であるタイガーは、ようやく少しは落ち着いて試合が出来るようになっている


「マズいわね」

そんな時試合場に入り開始の合図を待つタイガーと対戦相手を見て、エミの表情が微妙に変わる

タイガーの対戦相手が、不気味な仮面のような顔を半分覆うサングラスをかけているのだ


「何がマズいんすか?」

「あれは霊視ゴーグルの一種です。 一般的に霊視ゴーグルは手で持つ型のと、顔に装着するタイプがあるんです」

不思議そうな横島達にエミに代わり、魔鈴が説明をしていく

霊視ゴーグルは本来は複数タイプの型があり、あれもよくある型の一つだと言う


何故横島達が知らないのかといえば、令子があの型を嫌いだからである

本来は手持ち型よりも装着型の方が両手を使えるため実用的なのだが、問題は見た目だった

怪しいコスプレ仮面を付けてるようなその見た目から、令子はあの型の霊視ゴーグルを使った経験がない

一見ワガママに見えるが令子の場合は見た目の美しさも売りの一つなため、見た目の悪い武器やアイテムは使わない主義だった

実際に令子以外でもエミや魔鈴も使用経験は無く、実用性が高い割には不人気なアイテムの一つとして有名である



「厄珍さん、あれは……?」

「あ~、霊視ゴーグルを用意して来たアルナ。 アイツの精神感応対策アルヨ。 あれには視覚に幻を見せる技は通用しないネ」

魔鈴と同じタイミングで説明をする厄珍の話に、会場内はざわつく


「決勝までの相手は昨日のうちにわかってたんだから、当然対策もされるアルヨ」

厄珍の話に会場内は、タイガーの試合がどうなるのか興味津々だった

タイガーの試合は全てテレパスを利用して勝っただけに、それを封じられてどうなるのか注目を集めているのだ



「タイガー……」

そして昨日に引き続き二次試験に見学に来ている六道女学院の席では、厄珍の解説を聞いた魔理が心配そうに見つめている

タイガーの不器用さを誰よりも知るだけに、テレパスを防がれたらマズいのは魔理も理解しているようだった



「試合開始!」

審判の声と共にテレパスで相手に幻を見せるタイガー
 
その幻は会場に居る人間全てに見えるのだが……


バキッ!!


やはり霊視ゴーグルには通用せずに、タイガーは相手の攻撃を受けてしまう


「なっ……」

テレパスを使っているにも関わらず攻撃を受けた事に、タイガーは驚きを隠せない

どうやらまた厄珍の解説を聞いて無かったようである


「お前の精神感応が強力なのは昨日見たのだから、当然対策考えてきた。 一流を目指す者に何度も同じ技が通用すると思うなよ!!」

相手はタイガーの動揺を見逃さずに精神的に追い込むように怒鳴り、そのまま攻撃を続けていく

攻撃力自体は並の見習いレベルより少し強いだけであり、雪之丞どころかシロにも遠く及ばないだろう

しかし事前に霊視ゴーグルを用意した事や駆け引きから言っても、受験者の中ではかなりの実力者である


「やっぱり対策をされたか…」

自分の出番を待つ雪之丞は険しい表情て、タイガーの試合を見ていた

短い期間だがタイガーを指導していた雪之丞は、勝ち進むとこんな展開になる事をある程度予想していたらしい


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