GS試験再び……
(どいつもこいつも勝手だな)
一方観客席の横島は、会場内の微妙な空気に不快感を露にしている
何も知らないのにも関わらず、簡単に他人を非難する勝手な連中には嫌悪感すら感じていた
かつてアシュタロス戦の時に横島を人類の裏切り者と呼び、好き勝手に非難した連中とダブって見える
自分達は何も行動しない癖に、人一倍勝手な正義感やら倫理感を言う連中が横島は今だに好きではない
「ここが正念場ですね」
「実際どうなの?」
「今の雪之丞さんなら大丈夫です」
そして魔鈴とエミは、雪之丞のGS試験はここが一番の試練だと理解していた
勝つだけなら何の問題も無い雪之丞の一番の試練は、やはり過去にある
雪之丞が今後GSとして生きていくには今のような厳しい状況に耐えて、逆に今の自分をアピールするくらいでなくてはならない
そう言う意味で考えると魔鈴は、雪之丞の師匠としてはピッタリだった
戦いに関しては全く教える事が出来ないのだが、霊能の知識や技術は魔鈴が圧倒的に上である
しかも若くして店を切り盛りするだけあって社会経験もそれなりにあるため、雪之丞に欠けている部分を教えるには最適な存在なのだ
雪之丞とは形は違うが、魔鈴もまた若くして魔法を復活させて有名になった
その名声の裏には様々な嫉みや嫌がらせなど、苦労も耐えなかったのが現実である
魔族と契約したなどと陰口を叩かれる事などよくある事だった魔鈴ゆえに、雪之丞の立場を理解してアドバイスもしていた
魔鈴自身に師匠のつもりなど無いのだが、過去の苦労や経験を生かしたアドバイスは雪之丞に最も必要なものだった
そしていよいよ会場では試合が開始される
相手は神通棍を持った20代後半の男性で、雪之丞を見ても怯まないところを見るとそれなりに経験を積んで来たようだ
「試合開始!」
審判の声で場内は静まり返り、試合に注目が集まる
雪之丞は中央から動かぬままで構えもとらない、対して相手は距離を開けて雪之丞の出方を伺う
(さて、どうする)
明らかに格上の雪之丞に気付いた相手は攻略の糸口さえ掴めないが、雪之丞が動かない以上は自分から攻めるしかない
(速攻で決めるしかない!)
実力差がある雪之丞を相手に長期戦は不利だと考えた相手は、一気に距離を詰めて神通棍で勝負を決めようとする
相手の神通棍の突きが胸に迫ろうとした時、雪之丞はようやく動きを見せた
僅か半歩ばかり横に動いたかと思うと、左手で神通棍を受けて払ってしまう
相手は雪之丞が武器を持たないためにかわす以外では防ぐ事が出来ないと思っており、驚きの表情を浮かべる
「続けるか?」
相手の神通棍を払った瞬間、雪之丞は相手の腹部に拳を寸止めしていた
「いや、降参する」
あまりの格の違いに愕然とした相手は、そのまま戦意を喪失して一回戦が終わった
「左手に何か仕込んでるのか?」
「ああ、対霊力用のプロテクターを付けてる。 武器を使えるほど器用じゃないからな」
試合後、神通棍を払った左手の疑問を尋ねてきた相手に、雪之丞は左手に付けた鉄甲のようなプロテクターを見せた
「なるほどな、いい勉強になったよ」
雪之丞が武器も持たないと思った時点で負けていたと理解した相手は、ため息をついてその場を後にしていく
一方観客席の横島は、会場内の微妙な空気に不快感を露にしている
何も知らないのにも関わらず、簡単に他人を非難する勝手な連中には嫌悪感すら感じていた
かつてアシュタロス戦の時に横島を人類の裏切り者と呼び、好き勝手に非難した連中とダブって見える
自分達は何も行動しない癖に、人一倍勝手な正義感やら倫理感を言う連中が横島は今だに好きではない
「ここが正念場ですね」
「実際どうなの?」
「今の雪之丞さんなら大丈夫です」
そして魔鈴とエミは、雪之丞のGS試験はここが一番の試練だと理解していた
勝つだけなら何の問題も無い雪之丞の一番の試練は、やはり過去にある
雪之丞が今後GSとして生きていくには今のような厳しい状況に耐えて、逆に今の自分をアピールするくらいでなくてはならない
そう言う意味で考えると魔鈴は、雪之丞の師匠としてはピッタリだった
戦いに関しては全く教える事が出来ないのだが、霊能の知識や技術は魔鈴が圧倒的に上である
しかも若くして店を切り盛りするだけあって社会経験もそれなりにあるため、雪之丞に欠けている部分を教えるには最適な存在なのだ
雪之丞とは形は違うが、魔鈴もまた若くして魔法を復活させて有名になった
その名声の裏には様々な嫉みや嫌がらせなど、苦労も耐えなかったのが現実である
魔族と契約したなどと陰口を叩かれる事などよくある事だった魔鈴ゆえに、雪之丞の立場を理解してアドバイスもしていた
魔鈴自身に師匠のつもりなど無いのだが、過去の苦労や経験を生かしたアドバイスは雪之丞に最も必要なものだった
そしていよいよ会場では試合が開始される
相手は神通棍を持った20代後半の男性で、雪之丞を見ても怯まないところを見るとそれなりに経験を積んで来たようだ
「試合開始!」
審判の声で場内は静まり返り、試合に注目が集まる
雪之丞は中央から動かぬままで構えもとらない、対して相手は距離を開けて雪之丞の出方を伺う
(さて、どうする)
明らかに格上の雪之丞に気付いた相手は攻略の糸口さえ掴めないが、雪之丞が動かない以上は自分から攻めるしかない
(速攻で決めるしかない!)
実力差がある雪之丞を相手に長期戦は不利だと考えた相手は、一気に距離を詰めて神通棍で勝負を決めようとする
相手の神通棍の突きが胸に迫ろうとした時、雪之丞はようやく動きを見せた
僅か半歩ばかり横に動いたかと思うと、左手で神通棍を受けて払ってしまう
相手は雪之丞が武器を持たないためにかわす以外では防ぐ事が出来ないと思っており、驚きの表情を浮かべる
「続けるか?」
相手の神通棍を払った瞬間、雪之丞は相手の腹部に拳を寸止めしていた
「いや、降参する」
あまりの格の違いに愕然とした相手は、そのまま戦意を喪失して一回戦が終わった
「左手に何か仕込んでるのか?」
「ああ、対霊力用のプロテクターを付けてる。 武器を使えるほど器用じゃないからな」
試合後、神通棍を払った左手の疑問を尋ねてきた相手に、雪之丞は左手に付けた鉄甲のようなプロテクターを見せた
「なるほどな、いい勉強になったよ」
雪之丞が武器も持たないと思った時点で負けていたと理解した相手は、ため息をついてその場を後にしていく