GS試験再び……

一方六道女学院の席では、相変わらず生徒達が賑やかにおしゃべりをしていた

会話の多くは霊能関係で、観客席に座る一流GSを見つけては騒いでる


「あっちに小笠原エミさんと、魔鈴めぐみさんが居るわよ!」

そんな中生徒の一人が魔鈴とエミを見つけると、騒ぎが大きくなっていく

扱いとしては美神親子ほど英雄化はされてないが、その道のスペシャリストとして六道女学院の生徒達の知名度は高い

アシュタロス戦の戦ったメンバーにも名前を残すだけに当然ではあるのだが


「えっ!? 魔鈴めぐみって確か弟子はとらないはずじゃ……」

「そうなの!? でも二次試験のメンバーに弟子みたいな人の名前あったわよ。 所属が魔法料理魔鈴だから間違い無いはず……」

生徒達が魔鈴の話題で盛り上がっている頃、おキヌは魔鈴達の方を見ないように視線を外していた

いや、正確には見れないと言った方が正しいかもしれない

そこに居るかもしれない横島を見れないのだ


(横島さん……)

こんな時に限って、おキヌは楽しかった頃を思い出してしまう

あの頃のように笑って欲しいと、幻想を抱いてしまう自分を抑えるのが精一杯だった

いつか横島に自分の全てを話そうと思ってはいるが、今は心の準備が出来てない

あの日のように魔鈴に微笑む横島を、おキヌは冷静に受け止める自信がないままだった

結局おキヌは横島を見る事すら出来ないまま、二次試験が始まってしまう



そして二次試験の一回戦が進んでいく中、雪之丞の一回戦も始まろうとしていた


「アイヤー! 魔鈴ちゃんの弟子ってあのボウズあるか!?」

雪之丞の所属と名前が呼ばれた時、会場には一瞬どよめきが起こる

今回も解説に来ていた厄珍は、雪之丞と魔鈴の予想外の組み合わせに驚きの声を上げていた


「伊達選手は確か、数年前の事件の時の当事者だったはずですが……」

「あの事件の後で伊達雪之丞は妙神山に行って、小竜姫様の元で更正したような話を聞いたアル」

実況のアナウンサーが驚き雪之丞の経歴を話す中、厄珍はどこから聞いたのか不明な情報を語っている

微妙に真実と違う情報ではあるが、GS協会のブラックリストから外したのが小竜姫なのでそんな噂が広まったようだ


「その伊達選手が、なぜ現代の魔女と言われる魔鈴めぐみさんの元に?」

「それはわからないアルヨ~ と言うか魔鈴ちゃんが弟子をとる事自体今までなかった事アルネ」

実況は何かと業界内に詳しい厄珍に魔鈴と雪之丞の関係を聞くが、さすがの厄珍もこの事には首を傾げるばかりだった

そしてこの疑問は会場内のオカルト関係者が、一応に感じてる事である

現代の魔女として有名な魔鈴が始めて弟子をとったのが、前科持ちの雪之丞だったのだから余計にわからないのだろう


(やっぱ、こんな扱いだよな……)

実況と厄珍の話を聞いた会場内の注目が集まる中、雪之丞は決して好意的でないその視線に複雑な気分になっていた

過激派魔族と手を組んだ雪之丞は、生涯裏切り者として見られる

雪之丞自身覚悟していた事だが、それでも嬉しいものではない

厳しい人生を送って来た雪之丞なだけに表面上は冷静だが、それでもまだ10代の若者なのだ

そんな扱いをされて心が傷付かないはずがなかった

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