GS試験再び……

同じ頃、横島達も雪之丞とタイガーと合流して昼食にしていた

相変わらず受験者や観客で混み合っていたが、こちらはどうにか座るテーブルを確保して魔鈴の作った弁当を食べているところである


「悪いわね、私までご馳走になって」

その場の流れで一緒に居たエミも、横島達に混じって魔鈴の弁当を食べていた

エミ自身は外食にするつもりだったようだが、魔鈴が誘うと普通に一緒に来ている

やはり令子が居ないと、エミは妙な意地を張ることがないようだった


「せっかくですから気にしないで下さい。 たくさんありますから遠慮しないでどうぞ」

魔鈴に進められるまま弁当を食べるエミだったが、ふと横島達を見ると凄まじい勢いで弁当を平らげている


「いつもこんな感じなワケ?」

「ええ、たくさん食べてくれるのは嬉しいんですが……」

微妙に呆れ気味のエミの問い掛けに、魔鈴は少し困ったような表情であった

美味しそうにたくさん食べる横島達を見るのが魔鈴は好きなのだが、あまりにもマナーと言うか落ち着きがない食事には少し困っていたようである

これが自宅ならば構わないのだが、多くの人が居る場所ではさすがに少し恥ずかしいようだ


「お互い苦労するわね」

エミは魔鈴に同情するような視線を向けるが、横島達に混じっているタイガーもまた落ち着きがない食べ方であった

人間として最低限欲しいマナーがない横島やタイガーに、エミも魔鈴と似たような悩みを抱えてるらしい


「やあ、魔鈴君に小笠原さんじゃないか。 久しぶりだね」

そんな感じでなんだかんだと言いつつも楽しげに食事をする一同に、突然声をかけたのは西条だった


「お久しぶりです。 西条先輩」

突然背後から声をかけられた魔鈴は少し驚くが、美智恵が居る以上西条が居ても不思議ではない

魔鈴はいつもと同じような笑顔で西条に答えていた


「二次試験に魔鈴君の店の名前があったから驚いたよ。 まさか弟子を取るとは思わなくてね」

「弟子と言うか、雪之丞さんの保障人になっただけですよ。 最近は忙しくて雪之丞さんに手伝って貰ってましたから」

イヤミなほどにこやかな笑顔で話す西条だが、横島や雪之丞の事は見向きもしない

相変わらず男女に対しての対応がわかりやすい男だった


(なんのつもりかしら?)

そんな中で幸せそうに油揚げ料理を頬張っていたタマモは、密かに西条を警戒していた

タマモの西条の評価は、可も無く不可も無くという感じである

優秀で頭もキレるのは理解してるが、常識的な性格もあって非常にわかりやすい


美智恵や令子のように広い意味で常識にとらわれない訳でも無く、かと言って横島のように感性で動くタイプでもない

ある意味一番タマモにとって楽な相手だった


「彼は確かに戦闘の実力はあるからね」

一方魔鈴の言葉にチラリと雪之丞を見る西条だが、あまり興味は無いようだ

無論雪之丞の実力は知ってはいるが、霊能者としての総合力は自分が上だというプライドが見え隠れしている


「雪之丞さんは今が成長期ですから、いずれ私や西条さんも越えるGSになりますよ」

相変わらず上から目線の西条に、魔鈴ははっきりと言い切っていた


13/38ページ
スキ