終わりと始まり

GS協会の会議が始まろうとしている頃

六道家にもいち早く横島がGSを辞めた事が伝わっていた


「本当に令子ちゃんと縁を切りたいのね~」

クスクスと笑みを漏らす冥菜は、横島の意図をある程度推測出来ていた

現行のGS免許だと、師匠となるGSとはずっと縁が切れない

後見人や保障人の意味合いを持つのだから…


正規のGS免許を与えた後も、師匠たる監督GSが問題があると判断すればGS免許の停止などを協会に申請出来る

すなわち、GSで有る限り永久に影響力を持ち続けるのだ

それがGS業界の一門や派閥を形成する原動力であり、常識である


しかし、冥菜の元にはもう一つ情報が入っていた

それはタマモが魔鈴の保護下に移動した件である

冥菜は横島がGSを辞めることは予想しており、魔鈴のゆくえを見守っていたのだ


「彼女は、GSを続けるみたいね~」

冥菜はホッとしたような笑みを浮かべ考える


(横島君が辞めるのは、構わないけど~ 問題は彼を利用して六道に盾突こうとする馬鹿者が現れたら困るのよね~)

冥菜にとって横島が辞めること自体は問題無い

オカルト業界を考えれば損失なんだろうが、六道家には損失では無いのだから


欲を出せば手元に欲しいとこではあるが、百合子が居ると逆にこちらの弱みを握られかねない

それより問題は、あの戦いの真実を知る者が横島を利用して現GS協会

そして六道家を倒そうと考える馬鹿者が現れる可能性である


「当分は様子を見ね~」

少しため息をはき冥菜はつぶやいた

美智恵や令子の出方もまだわからない現状では、事態が落ち着くまでは静観するつもりである


(それに…、美智恵ちゃんと令子ちゃんに水を差した横島君には感謝しなきゃね~)

冥菜は内心ほくそ笑む

横島の霊能力、それに人を引き付ける人望は認めるが、彼には金銭欲や出世欲が無い

そんな横島よりも、冥菜にとっては美神親子の方が危険である

特にアシュタロス戦後の美神親子の英雄化は凄まじいものであった

一般人からの高い人気に支えられた美神親子は、オカルト業界で存在感と発言権が急速に高まっていた

その急激な英雄化の裏には美智恵の影がちらついている


そう、美神美智恵は六道家の手から離れようとしていたのだ


そんな折、あの戦いで活躍したと噂のある文珠使いとして有名な横島が辞めた事実は、美神親子の暗躍に水を差すいいタイミングであった

(これで美智恵ちゃんの勢いを止めれたわ~ 後は簡単ね~)


この日、冥菜は終始機嫌が良かった

自分は静観するだけで、増長する美神家を抑えるきっかけを掴んだのだから…


そして横島に関しては第三者が接触しないか警戒しつつ、様子を見ることになる



10/12ページ
スキ