IF・弓かおり
「はぁ……はぁ……はぁ……」
謎のサンタと出会った横島達であったが、やはり襲われてしまい文珠を使うことでなんとか逃げ出していた。
ただ史実と違うのは、やはり横島とかおりが一緒にいることだろうか。横島も流石にかおりを置いて逃げるほど薄情ではない。
「あの二人がいませんわ」
「あー、もう。あいつ協調性ゼロっすから」
「でしょうね。魔理さんも同じですわ」
とはいえ横島もかおりも雪之丞と魔理まで気にしている余裕もなく、はぐれてしまう。
ひとまず隠れようと言い出した横島のアイデアで、二人は森の中にかくれることにしたが、静かな空間に二人きりになると会話が途切れ途切れになってしまう。
「横島さん、霊能者でしたのね。……私、知りませんでしたわ」
雪のような白いなにかを掘ってなるべくみつからないように、森の中の木の根元で体を寄せ合い助けを待つ。
オキヌが魔鈴に知らせて助けがくると横島は考えていた。
ただ、そんな何もすることがない時間がかおりにいといろと考えさせる時間となっている。実は、横島は自身がGS見習いであることも含めて教えていなかった。
とはいえ隠していたということではなく、ただ単に教えるほどのことではなかっただけなのだが。
かおりは自分が横島のことを何も知らないこと。おキヌの方が知っていることに軽いショックを受けていた。
「霊能者っていうか。荷物持ちのアルバイトをしてるだけっすから。霊能力はなんとなく身に付いちゃって」
怒るでもなく、寂しそうに語るかおりに横島は罪悪感が込み上げて来る。非難されたり怒られるのは慣れているが、悲しまれるのは慣れていない。
ちなみに令子との関係は可もなく不可もなく。ただし、おキヌが居ない頃にかおりと会うようになってからは微妙な距離も生まれていた。
嫌いになったとか、イヤになったというような明確な理由はない。
かおりに比重が移り、時給稼ぎに事務所にいる時間が減ると自然と距離が生まれてしまい落ち着いたというべきか。
「なんとなくでそんな霊能は身に付きませんわ」
「うーん。いろいろあったんすよ。聞きたいっすか?」
「……ええ」
見上げると星空が見えていた。実は横島自身はかおりに対してはなるべく紳士的に振舞おうと努力している。
純粋に仲良くなり会えるようになると、嫌われたくないと考えるようになったためだ。横島とてそこまで愚かではない。本音と建前が必要なことは理解している。
今までは出来なかったそんな当たり前のことが。何故かかおりに対しては出来るようになった。それがいいのか悪いのかは横島もわからないが。
上着を貸しているせいか少し寒そうにしている横島に気付いたかおりは、寄り添うように密着すると横島に自分の知らないことを過去の話を求めた。
単純に悔しかった。
自分の知らないことを知り、当然のように自分よりも踏み込んだ場所にいるおキヌに負けたようで悔しかったのだ。
「おキヌちゃんは友達というか、仲間というか……」
軽く美神事務所のことを教えると、かおりはあまりの非常識に自身の令子の理想像がガラガラと崩れてしまい表情を引きつらせてしまう。
そんな中、横島がおキヌのことに言及すると、胸の奥がざわざわと乱れる。
「ああいう家庭的で優しい女性が男性は理想なのでしょう?」
言わなきゃいいのにと理解しつつ、余計なことを口にするとかおりは自身の胸の奥が更に乱れる。
聞きたくない。嬉しそうに優しそうにおキヌのことを語る横島など見たくない。
そう思うが、口に出してしまうのが彼女の性分なんだろう。
「どうなんでしょうね」
横島はかおりをちらちと見ると言葉を濁した。
一般論で言えばいいのか、それとも本音を言えばいいのかと頭の中でせめぎ合い、曖昧な答えを口にしてしまった。
「私なんか可愛げのない女なんでしょうね」
求めていた答えとは違う。それがショックで自身で更に心の傷を広げてしまうのを実感したかおりは、嫌な女だなと後悔してしまい、余計にテンションが落ちていく。
謎のサンタと出会った横島達であったが、やはり襲われてしまい文珠を使うことでなんとか逃げ出していた。
ただ史実と違うのは、やはり横島とかおりが一緒にいることだろうか。横島も流石にかおりを置いて逃げるほど薄情ではない。
「あの二人がいませんわ」
「あー、もう。あいつ協調性ゼロっすから」
「でしょうね。魔理さんも同じですわ」
とはいえ横島もかおりも雪之丞と魔理まで気にしている余裕もなく、はぐれてしまう。
ひとまず隠れようと言い出した横島のアイデアで、二人は森の中にかくれることにしたが、静かな空間に二人きりになると会話が途切れ途切れになってしまう。
「横島さん、霊能者でしたのね。……私、知りませんでしたわ」
雪のような白いなにかを掘ってなるべくみつからないように、森の中の木の根元で体を寄せ合い助けを待つ。
オキヌが魔鈴に知らせて助けがくると横島は考えていた。
ただ、そんな何もすることがない時間がかおりにいといろと考えさせる時間となっている。実は、横島は自身がGS見習いであることも含めて教えていなかった。
とはいえ隠していたということではなく、ただ単に教えるほどのことではなかっただけなのだが。
かおりは自分が横島のことを何も知らないこと。おキヌの方が知っていることに軽いショックを受けていた。
「霊能者っていうか。荷物持ちのアルバイトをしてるだけっすから。霊能力はなんとなく身に付いちゃって」
怒るでもなく、寂しそうに語るかおりに横島は罪悪感が込み上げて来る。非難されたり怒られるのは慣れているが、悲しまれるのは慣れていない。
ちなみに令子との関係は可もなく不可もなく。ただし、おキヌが居ない頃にかおりと会うようになってからは微妙な距離も生まれていた。
嫌いになったとか、イヤになったというような明確な理由はない。
かおりに比重が移り、時給稼ぎに事務所にいる時間が減ると自然と距離が生まれてしまい落ち着いたというべきか。
「なんとなくでそんな霊能は身に付きませんわ」
「うーん。いろいろあったんすよ。聞きたいっすか?」
「……ええ」
見上げると星空が見えていた。実は横島自身はかおりに対してはなるべく紳士的に振舞おうと努力している。
純粋に仲良くなり会えるようになると、嫌われたくないと考えるようになったためだ。横島とてそこまで愚かではない。本音と建前が必要なことは理解している。
今までは出来なかったそんな当たり前のことが。何故かかおりに対しては出来るようになった。それがいいのか悪いのかは横島もわからないが。
上着を貸しているせいか少し寒そうにしている横島に気付いたかおりは、寄り添うように密着すると横島に自分の知らないことを過去の話を求めた。
単純に悔しかった。
自分の知らないことを知り、当然のように自分よりも踏み込んだ場所にいるおキヌに負けたようで悔しかったのだ。
「おキヌちゃんは友達というか、仲間というか……」
軽く美神事務所のことを教えると、かおりはあまりの非常識に自身の令子の理想像がガラガラと崩れてしまい表情を引きつらせてしまう。
そんな中、横島がおキヌのことに言及すると、胸の奥がざわざわと乱れる。
「ああいう家庭的で優しい女性が男性は理想なのでしょう?」
言わなきゃいいのにと理解しつつ、余計なことを口にするとかおりは自身の胸の奥が更に乱れる。
聞きたくない。嬉しそうに優しそうにおキヌのことを語る横島など見たくない。
そう思うが、口に出してしまうのが彼女の性分なんだろう。
「どうなんでしょうね」
横島はかおりをちらちと見ると言葉を濁した。
一般論で言えばいいのか、それとも本音を言えばいいのかと頭の中でせめぎ合い、曖昧な答えを口にしてしまった。
「私なんか可愛げのない女なんでしょうね」
求めていた答えとは違う。それがショックで自身で更に心の傷を広げてしまうのを実感したかおりは、嫌な女だなと後悔してしまい、余計にテンションが落ちていく。