IF・弓かおり
「横島、てめえ。なんであんな美人と一緒なんだよ!
「羨ましいですのー」
オキヌと魔理を待っていたのは、雪之丞とタイガーとピートだった。
明らかに人数が合わないが、オキヌ自身は合コンというよりは友人である魔理とピートたちと一緒に食事でもしようというだけだったのだろう。
そこに突然横島が美人と一緒に現れれば、雪之丞たちが騒いで当然だった。
「アタシ、ピートさんがいい」
「どうぞ、お好きに」
一方女性陣ピートにテンションがあがる魔理と対照的に、かおりは不機嫌そうな様子である。
別に誰が悪いという訳ではないが、面白くないのは確かだろう。
実はこの世界では横島が六道女学院のクラス対抗戦に行っていないので、かおりと魔理は和解どころか仲が悪いままだった。
オキヌとは時が過ぎるに従って関係は変わり良好になっていたが。
「弓さんと知り合いだなんて知りませんでしたよ」
「いや、そのなんというかな。偶然知り合ってな」
そのまま食事が始まるが、史実と違うのはピートが魔理と一対一になり、横島がおキヌとかおりに挟まれる形になったことか。
史実ではピートが挟まれていたが、かおり自身はここでピートのアプローチするほど浮気性ではなかったらしい。
若いのだが三百年の幽霊としての経験から、若干感性がずれていて女性週刊誌を愛読するおキヌは横島にかおりのことをあれこれと聞いていくが、横島はどこまでどう話すべきかと戸惑う。
「そもそも、てめえなんで隠してやがったんだ?」
「俺が美人と一緒だと、お前ら邪魔するか馬鹿にするだろうが!」
そこに完全にあぶれた雪之丞が不機嫌そうに横島に絡むが、自分すら信じていない横島が他人を信じるはずもなく、初対面の印象からマシな関係として会っていたかおりとの関係を誰にも邪魔されたくなかっただけである。
一方のかおりは雪之丞のことは眼中になく、むしろ我が物顔で横島に根掘り葉掘り聞くおキヌに苛立っていた。
世話好きというかお節介なのは百も承知ながら、まるで彼女のように親しい距離にいるのは単純に面白くない。無論、かおりも横島と付き合っているわけではないが。
「なあ、不公平だと思わねえか?」
結局横島はかおりのご機嫌を取りつつ、おキヌの相手をしていくが、こうなると雪之丞とタイガーは面白くない。
元々横島は来ないと聞いていたので、女を真っ先に惹きつけるピートを潰そうとニンニクを隠し持っていた雪之丞が、料理にそれを混ぜるとピートが苦しみ出してしまう。
そこで史実と同じく犯人に気付いたピートが『雪……』と口にすると、勘違いした魔理が窓から見える景色の雪を取ろうと外に出てしまった。
そこに謎の怪物が現れると雪之丞が続いてしまい、何のかんのと外に出た者たちが異界に掘り出されていた。
ただし史実と同じくおキヌと、何故かタイガーは巻き込まれなかったが。
「まったく災難ですわ」
「弓さん、これ着てください」
異界に放り出されたメンバーは横島、かおり、魔理、雪之丞の四人だった。
本来と違い、横島と共に魔理と雪之丞を助けるように巻き込まれて異界に放り出されたかおりは、相変わらず不機嫌であった。
ただ寒そうな様子のかおりに横島は上着を差し出していて、かおりはそれを当然のように受け取ると無言で着込む。
「てめえ、さっきから文句ばっかりだな! 横島、お前が甘やかすからだ!!」
「アナタには関係ありませんわ!」
「なんだと!!」
不機嫌そうなかおりに我慢の限界が来たのか、雪之丞はとうとう爆発するようにかおりに怒鳴るが、そこでかおりもまた負けずに言い返すとふたりは険悪なまま口喧嘩を始めてしまう。
「雪之丞もそう怒るなって。弓さんもすいませんね」
「お前はプライドがねえのか!」
「あのな、弓さんこう見えて優しいんだぞ。約束の時間の五分前には必ず来るし、弁当とか作って来てくれるし」
魔理とかおりの関係がよくないことで横島は一人で雪之丞とかおりをなだめると、雪之丞は矛先を横島に向けるが……。
「弁当? 弓が?」
「そうっすよ。手の込んで美味い弁当を……」
「横島さん! 余計なことは言わないでください!!」
かおりが横島に弁当を作ってあげていたと暴露すると、雪之丞と魔理はピタッと止まり信じられないと言いたげな顔をした。
そんな二人にかおりは顔を真っ赤にして横島に口止めをするが、どう見ても事実だろうとわかる反応である。
ペコペコと謝る横島と不機嫌そうな二人だが、それでも二人の距離は近い。軽蔑するとか離れる感じはなく、気心を許せる感じだろうか。
「なあ、あの人ってあんな感じの人なのか?」
「いや、お高く止まって男なんて見下しているような奴だったよ」
いちゃつく目前にも見える二人に雪之丞は思わず魔理に確認するが、魔理は雪之丞の想像通りだと告げて呆然としている。
もしかして、この二人……。
そう思った時に、四人の前に謎のサンタが現れた。
「羨ましいですのー」
オキヌと魔理を待っていたのは、雪之丞とタイガーとピートだった。
明らかに人数が合わないが、オキヌ自身は合コンというよりは友人である魔理とピートたちと一緒に食事でもしようというだけだったのだろう。
そこに突然横島が美人と一緒に現れれば、雪之丞たちが騒いで当然だった。
「アタシ、ピートさんがいい」
「どうぞ、お好きに」
一方女性陣ピートにテンションがあがる魔理と対照的に、かおりは不機嫌そうな様子である。
別に誰が悪いという訳ではないが、面白くないのは確かだろう。
実はこの世界では横島が六道女学院のクラス対抗戦に行っていないので、かおりと魔理は和解どころか仲が悪いままだった。
オキヌとは時が過ぎるに従って関係は変わり良好になっていたが。
「弓さんと知り合いだなんて知りませんでしたよ」
「いや、そのなんというかな。偶然知り合ってな」
そのまま食事が始まるが、史実と違うのはピートが魔理と一対一になり、横島がおキヌとかおりに挟まれる形になったことか。
史実ではピートが挟まれていたが、かおり自身はここでピートのアプローチするほど浮気性ではなかったらしい。
若いのだが三百年の幽霊としての経験から、若干感性がずれていて女性週刊誌を愛読するおキヌは横島にかおりのことをあれこれと聞いていくが、横島はどこまでどう話すべきかと戸惑う。
「そもそも、てめえなんで隠してやがったんだ?」
「俺が美人と一緒だと、お前ら邪魔するか馬鹿にするだろうが!」
そこに完全にあぶれた雪之丞が不機嫌そうに横島に絡むが、自分すら信じていない横島が他人を信じるはずもなく、初対面の印象からマシな関係として会っていたかおりとの関係を誰にも邪魔されたくなかっただけである。
一方のかおりは雪之丞のことは眼中になく、むしろ我が物顔で横島に根掘り葉掘り聞くおキヌに苛立っていた。
世話好きというかお節介なのは百も承知ながら、まるで彼女のように親しい距離にいるのは単純に面白くない。無論、かおりも横島と付き合っているわけではないが。
「なあ、不公平だと思わねえか?」
結局横島はかおりのご機嫌を取りつつ、おキヌの相手をしていくが、こうなると雪之丞とタイガーは面白くない。
元々横島は来ないと聞いていたので、女を真っ先に惹きつけるピートを潰そうとニンニクを隠し持っていた雪之丞が、料理にそれを混ぜるとピートが苦しみ出してしまう。
そこで史実と同じく犯人に気付いたピートが『雪……』と口にすると、勘違いした魔理が窓から見える景色の雪を取ろうと外に出てしまった。
そこに謎の怪物が現れると雪之丞が続いてしまい、何のかんのと外に出た者たちが異界に掘り出されていた。
ただし史実と同じくおキヌと、何故かタイガーは巻き込まれなかったが。
「まったく災難ですわ」
「弓さん、これ着てください」
異界に放り出されたメンバーは横島、かおり、魔理、雪之丞の四人だった。
本来と違い、横島と共に魔理と雪之丞を助けるように巻き込まれて異界に放り出されたかおりは、相変わらず不機嫌であった。
ただ寒そうな様子のかおりに横島は上着を差し出していて、かおりはそれを当然のように受け取ると無言で着込む。
「てめえ、さっきから文句ばっかりだな! 横島、お前が甘やかすからだ!!」
「アナタには関係ありませんわ!」
「なんだと!!」
不機嫌そうなかおりに我慢の限界が来たのか、雪之丞はとうとう爆発するようにかおりに怒鳴るが、そこでかおりもまた負けずに言い返すとふたりは険悪なまま口喧嘩を始めてしまう。
「雪之丞もそう怒るなって。弓さんもすいませんね」
「お前はプライドがねえのか!」
「あのな、弓さんこう見えて優しいんだぞ。約束の時間の五分前には必ず来るし、弁当とか作って来てくれるし」
魔理とかおりの関係がよくないことで横島は一人で雪之丞とかおりをなだめると、雪之丞は矛先を横島に向けるが……。
「弁当? 弓が?」
「そうっすよ。手の込んで美味い弁当を……」
「横島さん! 余計なことは言わないでください!!」
かおりが横島に弁当を作ってあげていたと暴露すると、雪之丞と魔理はピタッと止まり信じられないと言いたげな顔をした。
そんな二人にかおりは顔を真っ赤にして横島に口止めをするが、どう見ても事実だろうとわかる反応である。
ペコペコと謝る横島と不機嫌そうな二人だが、それでも二人の距離は近い。軽蔑するとか離れる感じはなく、気心を許せる感じだろうか。
「なあ、あの人ってあんな感じの人なのか?」
「いや、お高く止まって男なんて見下しているような奴だったよ」
いちゃつく目前にも見える二人に雪之丞は思わず魔理に確認するが、魔理は雪之丞の想像通りだと告げて呆然としている。
もしかして、この二人……。
そう思った時に、四人の前に謎のサンタが現れた。