番外編・ネギまIN横島~R~(仮)
《とある家族とハニワさん》
「ただいま~。」
久しぶりに聞く娘の声に私は元気そうで何よりだと安堵する。
中学生ながら埼玉の麻帆良市にある麻帆良学園に通う為に寮生活を送る娘が帰ってくるのは年に数えるほどしかない。
「おとうさん、ただいま。 はい、お土産だよ。」
見る度に大人になっていく娘に寂しさと嬉しさが入り雑じった複雑な心境になるも、こうして笑顔を見せてくれることが何よりの親孝行だ。
「ちょっと聞いてよ。 お父さんったらこの前事故を起こすところだったらしいのよ。 しかもそれから変になっちゃって……。」
「へっ変って、頭でも打ったの!? 病院は!?」
親馬鹿かもしれないが妻に似て綺麗な娘は私の自慢の娘であり、娘は私よりも妻と仲がいい。
少し羨ましいと思いながら久しぶりに帰った娘の近況を聞いていると妻が先日私が体験した不思議な出来事を娘に語り出す。
それは一週間ほど前の仕事から帰宅する時のことだった。
あの日私は残業が長引き、時計の針はすでに夜の十時を過ぎた頃に自家用車で家路を急いでいた。
それほど交通量が多くない道をいつものように車を走らせていたのだが、対向車の大型トラックが少しフラフラしながらこちらに走って来たのだ。
危ないなと思いながら少し車のスピードを落とし歩道側に寄りながら走っていたのだが、大型トラックが急に車の向きを変えてこちらに突っ込んでくる。
ヤバイとすぐに急ブレーキを踏むがこちらは軽自動車で相手は大型トラックなのだから、私はその瞬間死を覚悟し思わず目を瞑った。
「それでそれで!」
「気が付いたらトラックも自分も無事だったんだって。 まあそこまではいいのよ。 この人そこで何を見たって言ったと思う? ハニワよ。 ハ・ニ・ワ。」
その瞬間何が起きたのか私はもちろんのことトラックのドライバーも今でも分からないだろう。
タイヤのブレーキ痕は確かに正面衝突のコースだったが、まるで相手の車がすり抜けたようにトラックは対向車線である私の後ろで止まっていた。
何が起きたのかと慌てて車を降り確認すると小さな人形のようなハニワが私の車と私を確認するように見ると、何処かホッとしたような表情を見せた後に消えたのだ。
「……ハニワ? もしかしてこんくらいでちょっとコミカルな動きとかしそうなハニワ?」
「そうよ。 そんなこと言うもんだからって……。 なんだもう知ってたの? 全く夜に居眠り運転して幻覚見たこと娘にまで話して。」
未だに妻は私の体験を居眠りして見た幻覚だと笑っていて運転する時は気を付けてと小言のように言われる。
だが娘は私の見たハニワの話を聞いた瞬間に不思議な反応をした。
何か訳ありとでも言いたげな表情で一瞬だけ見せると、まるで同じものを見たことがあるかのように私が見たハニワと同じような具体的な姿を口したのだ。
妻はそんな娘に私が先に電話でもして話したと思ったようで半分呆れながら今夜の夕食の支度に戻る。
「居眠りなんかしてなかったんだがな。」
「うん、私は信じるよ。 きっとハニワさんが助けてくれたんだと思う。」
「そうか。 ありがとうな。」
幽霊や宇宙人なんかの話を信じるタイプではない娘が、素直に私の話を信じると真顔で言ったことに私は内心で驚いてしまう。
「世の中には不思議なことがいっぱいなんだよ。 お父さん。 いつか何処かでハニワさんに会ったらお礼しようね。」
「ああ、そうしようか。」
あの出来事は何だったのか私は喉の奥に刺さった小骨のように気になり頭から離れなかったのだが、娘の言葉を聞くとなんとなくそうなのかなと思えるような気がした。
それは妻が言うように居眠りで見た幻覚なのか、はたまた娘の言うように本当に世の中には不思議なことがいっぱいなのかは私には確認のしようがない。
だが娘が私を信じてくれると言うならば私も娘の言葉を信じたいと思う。
「縁があったらいつか会えるのかもな。」
「そうだね。 お父さんならいつか会える気がするよ。」
いつかと言う同じ言葉にも関わらず何か確信がありげな娘の言葉に少し疑問は残るが、娘の言う通り世の中には不思議なことがいっぱいならば確かにいつか会える気もする。
そしていつの間にか少し大人の顔をするようになった娘に、私は娘の結婚式までは頑張らねばならないと寂しさを感じつつも決意を決めていた。
「ただいま~。」
久しぶりに聞く娘の声に私は元気そうで何よりだと安堵する。
中学生ながら埼玉の麻帆良市にある麻帆良学園に通う為に寮生活を送る娘が帰ってくるのは年に数えるほどしかない。
「おとうさん、ただいま。 はい、お土産だよ。」
見る度に大人になっていく娘に寂しさと嬉しさが入り雑じった複雑な心境になるも、こうして笑顔を見せてくれることが何よりの親孝行だ。
「ちょっと聞いてよ。 お父さんったらこの前事故を起こすところだったらしいのよ。 しかもそれから変になっちゃって……。」
「へっ変って、頭でも打ったの!? 病院は!?」
親馬鹿かもしれないが妻に似て綺麗な娘は私の自慢の娘であり、娘は私よりも妻と仲がいい。
少し羨ましいと思いながら久しぶりに帰った娘の近況を聞いていると妻が先日私が体験した不思議な出来事を娘に語り出す。
それは一週間ほど前の仕事から帰宅する時のことだった。
あの日私は残業が長引き、時計の針はすでに夜の十時を過ぎた頃に自家用車で家路を急いでいた。
それほど交通量が多くない道をいつものように車を走らせていたのだが、対向車の大型トラックが少しフラフラしながらこちらに走って来たのだ。
危ないなと思いながら少し車のスピードを落とし歩道側に寄りながら走っていたのだが、大型トラックが急に車の向きを変えてこちらに突っ込んでくる。
ヤバイとすぐに急ブレーキを踏むがこちらは軽自動車で相手は大型トラックなのだから、私はその瞬間死を覚悟し思わず目を瞑った。
「それでそれで!」
「気が付いたらトラックも自分も無事だったんだって。 まあそこまではいいのよ。 この人そこで何を見たって言ったと思う? ハニワよ。 ハ・ニ・ワ。」
その瞬間何が起きたのか私はもちろんのことトラックのドライバーも今でも分からないだろう。
タイヤのブレーキ痕は確かに正面衝突のコースだったが、まるで相手の車がすり抜けたようにトラックは対向車線である私の後ろで止まっていた。
何が起きたのかと慌てて車を降り確認すると小さな人形のようなハニワが私の車と私を確認するように見ると、何処かホッとしたような表情を見せた後に消えたのだ。
「……ハニワ? もしかしてこんくらいでちょっとコミカルな動きとかしそうなハニワ?」
「そうよ。 そんなこと言うもんだからって……。 なんだもう知ってたの? 全く夜に居眠り運転して幻覚見たこと娘にまで話して。」
未だに妻は私の体験を居眠りして見た幻覚だと笑っていて運転する時は気を付けてと小言のように言われる。
だが娘は私の見たハニワの話を聞いた瞬間に不思議な反応をした。
何か訳ありとでも言いたげな表情で一瞬だけ見せると、まるで同じものを見たことがあるかのように私が見たハニワと同じような具体的な姿を口したのだ。
妻はそんな娘に私が先に電話でもして話したと思ったようで半分呆れながら今夜の夕食の支度に戻る。
「居眠りなんかしてなかったんだがな。」
「うん、私は信じるよ。 きっとハニワさんが助けてくれたんだと思う。」
「そうか。 ありがとうな。」
幽霊や宇宙人なんかの話を信じるタイプではない娘が、素直に私の話を信じると真顔で言ったことに私は内心で驚いてしまう。
「世の中には不思議なことがいっぱいなんだよ。 お父さん。 いつか何処かでハニワさんに会ったらお礼しようね。」
「ああ、そうしようか。」
あの出来事は何だったのか私は喉の奥に刺さった小骨のように気になり頭から離れなかったのだが、娘の言葉を聞くとなんとなくそうなのかなと思えるような気がした。
それは妻が言うように居眠りで見た幻覚なのか、はたまた娘の言うように本当に世の中には不思議なことがいっぱいなのかは私には確認のしようがない。
だが娘が私を信じてくれると言うならば私も娘の言葉を信じたいと思う。
「縁があったらいつか会えるのかもな。」
「そうだね。 お父さんならいつか会える気がするよ。」
いつかと言う同じ言葉にも関わらず何か確信がありげな娘の言葉に少し疑問は残るが、娘の言う通り世の中には不思議なことがいっぱいならば確かにいつか会える気もする。
そしていつの間にか少し大人の顔をするようになった娘に、私は娘の結婚式までは頑張らねばならないと寂しさを感じつつも決意を決めていた。