プロローグ

魔王アシュタロスの人間界侵攻をきっかけとした
戦いが終わって一週間が経過した


横島にとっては
まだ戦いは終わってなかった…
自分が命をかけて守りたかった
大切な人を自分が犠牲にしてしまった
そんな自分が何より許せなかった


美神除霊事務所は
あの戦いのあとまだ仕事を再開していなかった

さまざまな後始末で再開出来なかったのだ


街はもうほとんど元の通りに活気に溢れていた

横島はそんな中一人、彼女との大切な場所…
東京タワーに来ていた

何も言わずにただ夕日を眺めていた…

彼女との約束を守るように……

(また一緒に夕日を見て ヨコシマ)

その言葉が今も耳に聞こえてきそうだった


そんな横島を偶然見つけたのは

近くを魔法のほうきで飛んでいた魔鈴めぐみだった

魔鈴は
そんな横島を見かけて、あまりの悲しげな表情に声もかけれず…
ただ見つめていた

「横島さん……」

そっとつぶやいた

そのまま夕日が沈み終わり横島が居なくなるまで

魔鈴は、ほうきの上で見つめていた


それから
魔鈴の頭には横島のあの時の表情が離れなかった

魔鈴はあの戦いに参加していた為

横島とその恋人の、貢献と犠牲の真相を知る数少ない人だった

あの戦いは
横島と恋人がいなければ、絶対に人類が勝つことはありえなかった…

まさに
人類の英雄と言ってもいい二人

しかし
周りの大人は真実を封印して
一般の人には誰にも知られることはなく…

その英雄達は
一人犠牲になり
恋人を無くした一人は苦しんでいる

魔鈴はせめて、自分だけは彼の助けになりたい…
心からそう思った


1/1ページ
スキ