アリアハンへ

天気がよく気持ちいい風が吹く中を、馬車で出発した横島とシャオ


馬達も元気よく走っていく


「気持ちいい天気だな~」

横島は手綱を握りながら呟く


「春ですからね~」

シャオは横島の隣に座り寄りかかって景色を見ている


そんな中、馬が止まる


「なんだ?」

横島とシャオが前を見ると……

そこに現れたのはスライムだった!


スライムは4匹で馬の行く手を塞いでいる

「モンスターです!」

シャオは少し怯えて横島の服を掴む


「大丈夫だよ」

横島は優しく撫でて、シャオを落ち着かせる


(この世界はモンスターが居るのか…)

横島はこの世界に来る前にあまり調べてないので知らなかった


「ピキー!」

スライムは叫び声を上げて横島達を威嚇する


「仕方ないな~」

横島は右手に霊力を込めて弱い霊波砲を放つ


ズバッーン!!


霊波砲はスライムをなぎ払いスライムを倒した!


「凄いですね!」

シャオは感心したように驚き、馬車を降りる
そして倒したスライムを拾い集めて、布の袋に詰めて馬車に戻った

「シャオ、倒したモンスターを持って行くのか?」

横島はシャオの行動の意味がわからずに不思議そうに聞く


「知らないんですか? モンスターは街に持って行って売れるんですよ。 さっきのはスライムと言って、街で加工して接着剤とかにするんですよ」

シャオは横島が知らないのを不思議そうに見て説明をしている

どうやら、この世界では常識らしい


「いや~、俺は人里に行ったこと無いからさ。 知らなかったよ」

横島は田舎者を装って笑って誤魔化す


「じゃあ行きましょう! 今日中には次のディン村に着かなきゃダメですからね~」

シャオは元気いっぱいに話している

どうも横島がかなりの田舎者だと思ったらしく、自分が頑張らねばと思ったようだ


「じゃあ、行くか~」

横島は元気になったシャオを微笑ましく見て出発する


その後たまにモンスターが現れるが、横島に全て倒される

夕方までにスライム13匹と、スライムベス10匹、大ガラスを4匹ほど倒していた

夕方になり馬車は、綺麗な夕日に照らされながら走っている

横島は何も言わずに、ぼーっと夕日を見つめていた

馬車の中で眠っていたシャオは、いつの間にか起きてそんな横島の姿に見とれている

「横島…さん……?」

シャオは初めて見る横島の表情にやっと言葉を発している

とても悲しく寂しそうで、いつもの強い横島からは想像も出来ない表情だった


「…ん? シャオ、どうした?」

横島がシャオの方を向くと、その表情は元に戻っていた


「ううん。 何でもない… 夕日好きなの?」

シャオはあえてあの表情には触れなかった

気軽に聞いてはいけない気がしたのだ


「ああ、夕日は好きなんだ……」

横島は言葉少なく、再び夕日を見つめる

シャオは横島の隣に座り、一緒に夕日を見る


横島は夕日を名残惜しそうに最後まで見つめていた



夕日が沈んで、辺りが夜になる頃

横島達はディン村にたどり着く


「じゃあ、店が閉まる前にモンスターを売ってお金に変えましょう。 私達はお金がありませんから」

シャオに言われて、横島はモンスターの入った布袋を持って付いて行く


二人は村にある一件のお店に入る

中は食料から武器までいろんな物があり、何でも屋みたいだ


「おばさん、こんばんわ」

シャオは顔見知りらしく、店主のおばさんに笑顔で話しかける


「あら、シャオちゃんいらっしゃい。 今日はお父さん達は?」

おばさんはシャオと一緒に居る横島を見て不思議そうに聞いた

横島は黒いコートをきてる為、少し怪しいのだろう


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