動き出す日常

次の日

横島はシャオとアリスを連れてアリアハン郊外の草原に来ていた


「さて、アリスにはこれをあげよう」

横島は細い銀製の腕輪をアリスに渡す


「これは?」

もらった腕輪を不思議そうに眺めるアリス


「それは封印具だ。 力を封じる力を持つアイテムだ。 アリスの不思議な力を隠す為のものだ」

横島は不思議そうなアリスと隣のシャオに説明を始める

「その力は悪いものじゃない。 でも珍しい力は争いを呼ぶ。 隠した方がいい」

横島は二人に不安を与えないように笑顔で優しく話している


「うん、わかった」

アリスは少し不安そうな表情を見せたが、言われた通り腕輪を装備した


「何にも変わりませんね?」

シャオは興味深げにアリスを観察する


「普段は何も変わらないよ。 人が感じるレベルじゃないからな。 まあ、用心の為だよ」

横島は笑って二人の頭を撫でてやる


シャオとアリスは子供扱いに少し不満そうに頬を膨らませるが、すぐに嬉しそうに笑ってしまう

横島の優しさと手の温もりが心地いいのだ


「次に、これは絶対秘密だけど… 2人がもうすぐ通う学校には俺も行くからな」

横島はニヤリと笑って変化する


ボン!!

白い煙と共に横島の姿が変わった

その姿は横島が12才の頃の子供に戻っている


「「へっ……? えーーー!!」」

辺りにシャオとアリスの驚きの声が響く


「ちっ…ちっちゃくなっちゃった!?」

アリスは目を見開き、不思議そうに横島の体を突っつく


「モシャスですか?」

シャオも信じられないような表情で横島を観察するが、彼女は好奇心で目を輝かせている


「久しぶりだけど、上手くいったな。 これはモシャスじゃない。 俺のオリジナルの術だ。 この姿で2人と一緒に学校に通うからよろしくな!」

純粋に驚くアリスと、どんな術か知りたそうなシャオ

そんな2人に横島は楽しそうに説明する

2人が驚いた姿を見て満足らしい


「一緒に学校に行くの?」

同年代の小さな横島を見て、アリスの顔は微妙に赤い


「ああ、でも秘密にな。 オルテガさん夫婦意外知らないからさ」

横島の言葉にアリスとシャオはコックリと頷く


「横島さんの術を覚えれば、私達も大人になれるかな?」

シャオは横島の変化の術を覚えたいようだ


「うーん、この術は特殊だからさ。 2人にはまだ無理だな」

横島は苦笑いしてシャオを見る

シャオはその好奇心と知識は素晴らしい物があった

いずれ誤魔化せなくなるレベルに達するまで、そう長い時間はかからないだろうと予想している


「うーん… 残念」

シャオは少し残念そうに横島を見るが

やはり同い年くらいの横島が嬉しいのか、すぐに笑顔になる


「焦らないことだよ。 さて、今日は剣術の稽古だ」

横島はシャオとアリスに銅の剣を渡して剣術の指南を始めた

基礎中の基礎だが無駄が無い

小竜姫の知識に基づいた剣術を2人は前から修行をしている


そうしてシャオとアリスは、剣術の稽古を中心に修行をしていく

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