深夜の襲撃から数日したある日

横島はオルテガと剣を交えていた


キン！キン！

カキン！

キン！キン！


金属がぶつかり合う音が辺りに響くが、それはまるで音楽のように規則正しい音を奏でている

実力はもちろん横島が遥かに上だが、実戦をくぐり抜けてきたオルテガの剣も素晴らしい物であった


「相変わらず綺麗な剣術だ。　見るものを魅力するような素晴らしい剣術だな」

オルテガは横島の剣を受けながら感心している


「まあ、剣術に近道は無いですからね…　俺の剣は俺の師が長い年月をかけて磨き上げてきた技。　純粋な剣術なら誰にも負けない自信があります」

横島の脳裏にはかつての小竜姫の姿が浮かぶ

昔は理解出来なかった彼女の凄さを、横島は後になって改めて感じていた

横島が受け継いだ能力の中で最もよく使う力が、小竜姫の剣術なのだ


「それで、話とは何かね？」

この日、横島はオルテガに内密に話があると言い出して、珍しく１人でギルドを訪れていた


「まずは１つ、アリスのあの力を隠そうと思います。　最近、力が目覚め初めてます。　しかしあの力を誰かに知られるのはまだ早い」

横島の話にオルテガは剣を止めた


「出来るのかね？」

オルテガは半信半疑で横島に問いかける


「ええ、可能です。　次にアリスとシャオが通う学校ですが、俺も通います。　無論姿は子供に変化さて…」

横島が話した学校とは、アリアハンの子供が１２才を過ぎると通う学校のことである


内容は勉強から剣術や体術

それに魔法など幅広く基礎的な事を教える学校である


「子供に変化とは常に可能なのか？」

オルテガもモシャスなどの姿を変える呪文は知ってはいるが、あれは長時間維持するのが難しいのも知っていた


「ええ、問題は無いです」

横島の返事にオルテガは１つの答えに気が付く


「アリスが狙われる可能性があるのか？」

オルテガは険しさと不安が混じった表情で横島に尋ねる


「はい、あの力は聖なる力。　魔の者達と敵対する力です。　遅かれ早かれ、いずれ狙われるでしょう」

横島は少し迷ったが真実を告げた

親であるオルテガがこれ以上知らないのは、今後まずい可能性があると予想したから


「横島殿の言葉が真実だと言う証はあるのかな？」

オルテガは真剣な表情で横島を見つめる


「ありません。　俺を信じてもらうしか無いです」

横島は今でも自分の過去などを、一切オルテガに話して無い

オルテガが何も聞かなかったのだ


「わかった。　学校の手続きは私がしよう。　シャオと君は私の遠い親戚としておく。　名前はどうするかね？」

オルテガは迷うことなく決断した


その理由として、前から気が付いていたのだ

些細な行動などから、横島が前からアリスとシャオを守っていたのを…


「横島で構わないですよ。　バレない自信はありますし、呼び方を変えるとアリスやシャオがうっかり間違ったりしそうですからね」

横島は少しホッとしたように返事をする


「そうか。　アリスを頼む」

オルテガはこの場でも深く聞かない

二年の月日で、横島とオルテガの信頼関係は確かな物になっていた