動き出す日常

横島とシャオがアリアハンに住んでから、2年が過ぎていた


2人は、今もオルテガの家に住んでいる

横島は初仕事の後も、オルテガの依頼のみ仕事をしていた


基本的にお金に執着の無い横島

お金を使うのは、シャオとアリスと一緒に外食や買い物に行く程度な為、必要以上稼ぐ気は無かった


横島はこの2年、目立つのを避けて仕事をこなしていくが

オルテガが横島に依頼するのは、難易度の高い仕事などが多い

その為、横島の評判は静かに広がっていく


冒険者ギルドでも顔見知りは増えて、いつの間にか

『賢者ヨコシマ』


の名はアリアハンで有名になっていた



次にシャオだが

この2年で、子供っぽかった容姿が少しずつ大人に近づいており

少女と大人の中間のような容姿である

可愛い系の顔や長い黒髪は変わらないが、女性らしさはグンと増していた


そんなシャオがこの2年で最も成長したのは頭脳である

知識を覚えることや理解力は、同い年くらいの子供を遥かに凌駕していた



次にアリスだが

彼女もこの2年で心身共にかなり成長していた

元々美人系な為、成長と共に子供っぽさが抜けると、シャオよりも幾分大人びた容姿になっている


そのアリスは、シャオとは違い特別得意なことは無いが

全てにおいて高い才能と、将来性を感じるようになった



そんなシャオとアリスはこの2年間、基本的に横島と行動を共にしている

横島は、2人に勉強や運動や遊びなどを幅広く体験させて、偏りの無いように自然に教育をして来た



そんな平和な日常のある日の深夜

世界は闇夜に紛れて動き出す


時刻は午前2時…

新月のその日は、月明かりも無く暗い闇夜が広がっていた


静かに眠っていた横島は突然起き上がる


(来る!)

その瞬間、横島はその場から消える



「いいか! オルテガとその家族は皆殺しだ! 必ず殺せとの命令だ!」

オルテガの家の50メートル手間で、7人の怪しげな集団が小声で話している


先ほど命令したのは、2年前ドラゴンを使いオルテガを調べたミニデーモンであった

他には全身鎧のキラーアーマーが4体に、デスストーカーが2体いる


「………」

モンスター達は無言でミニデーモンの命令に頷き、オルテガの家に迫る


ザシュッ!!

ザシュッ!!


突然デスストーカーの2体が斬り裂かれた

1体は頭から真っ二つに斬り裂かれ

1体は胴を真っ二つに斬り裂かれた


「誰だ!!」

ミニデーモンは暗闇を警戒して叫ぶ

キラーアーマーはデスストーカーが斬り裂かれると同時に、辺りを警戒して見回している


新月の闇夜は本当に暗く、時間的に街の灯りも無い

モンスターは闇夜は凶暴になるが、さすがにこれだけ暗いと敵が見えないようだ


スパッ!

スパッ! スパッ!


キラーアーマーの鎧が簡単に切断されていく

ミニデーモンやキラーアーマーは、未だに敵の姿すら見えない


闇夜を好むモンスターであるはずの彼らが、逆に闇夜に恐怖を覚えていく


「なっ……なんなんだ…… いったい何が起こってる!?」

ミニデーモンは闇に恐怖を抱きながら、後ずさりする


スパッ!

スパッ!


とうとうキラーアーマーは粉々になってしまう

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