初仕事

次の日、横島はアリスとシャオを連れて冒険者ギルドに来ていた


先日のドラゴン退治の後処理の為である


「報酬は3000ゴールドだ。 どうする? 現金で欲しければ用意するが… 使わないなら、ギルドで預かることも出来る」

オルテガは、横島に書類を渡して署名を求めて、報酬の話をする


「預かって下さい。 お金あんまり使わないんで…」

横島は現在オルテガの家に世話になっている

食事や寝泊まりは全て、オルテガの好意により無料で受けている

横島は予想より長く世話になりそうな為、せめて食費は渡そうと話したが、オルテガは受け取らず仕事を手伝うことで決着していた


「そうか、ではそうするとしよう。 ギルドカードを貸してくれ。 今回の仕事と、お金を預かったことを記録する」

オルテガは横島のカードを本にして、今回の依頼の成果などを記録する

それと同時に横島のギルドランクは、Eランクに一つ昇格した

通常、ギルドランクは一定回数の依頼を成功させなければ昇格しないが…

今回の依頼がランクに比べてあまりにレベルが高かった為、僅か一回目で昇格していた


「これで終了だ。 お金は必要な時なルイーダに言えばいい」

横島は冒険の書を受け取り、今回の記録した部分を見る

依頼内容や難易度など、比較的細かく書かれており

同時に預り金も3000ゴールドと記されている


「ありがとうございます。 これで終了ですか?」

横島は冒険の書をカードに戻して、オルテガに問いかける


「後、退治したドラゴンなのだが… 一匹ずつ分けて、残りの一匹はお城に献上したいのだが…」

オルテガは横島に相談するように、話し出した

正確に分けるなら、一匹半は横島の取り分なのだ


「いいっすよ。 俺はそんなに必要無いんで…」

「そうか、ありがとう。 アリアハンではドラゴンは非常に珍しい。 王家でもめったに手に入らないのでな… ぜひ王様にと思ったのだ」

横島が軽い調子で承諾すると、オルテガはホッとしたように笑う


「力の種はどうしますか?」

横島は魔法の袋から力の種を出してオルテガに渡そうとしたが…


「それは、横島殿とアリスとシャオにやろう」

オルテガは種をアリスとシャオに渡す


「ありがとう!」

アリスは嬉しそうに受け取る


「これが力の種ですか~ 本物を見れるとは思わなかったです…」

シャオは珍しそうに力の種を見る


「じゃあ、帰るか?」

横島は用事が終わったのを確認して、2人を連れてギルドを出た


自宅に戻ると横島は、ドラゴンをアジトに送る

魔法の袋の中にどれだけ入るかわからないし、アジトに送って食料庫に保存した方が安心なのだ


一方、アリスとシャオは、貰った力の種をとっておくことにしたようだ

2人共、もったいなくて食べれないとのこと


横島は力の種を少し調べてから、どうするか決めることにした


こうして、予想外の報酬を得て横島の初仕事は終わった

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