台所から夕食のいい匂いがしてくる頃、オルテガは帰宅した


「ただいま」

オルテガの帰りを待っていたアリスは、嬉しそうに駆け寄る

「おかえりー、お父さん」

「おかえりなさい」

アリスに続いてシャオも笑顔で迎える

横島とオルテガの２人の無事な顔を見て、アリスとシャオは嬉しいようだ


「うむ、心配かけたな」

オルテガは笑顔でアリスとシャオの頭を撫でてやる


「今日はドラゴン料理だよ！」

アリスはニコニコとオルテガをリビングに引っ張っていく


「めったに手に入らないドラゴンだからな…　私も楽しみだ」

オルテガは鎧などを脱ぎ、リラックスしていた


「そうだ、横島殿の報酬は私が預かっている。　明日ギルドに来て受け取り手続きをしてくれ。　ギルドランクも上がるだろう」

「ええ、わかりました」

オルテガの説明に横島は頷く

本来は上級冒険者しか受けれない依頼をクリアした為、かなりポイントが高いようである


しばらくするとオルテガの妻が夕食を運んで来た


「ご飯が出来ましたよ」

彼女も数日振りにみんな揃った夕食に少し嬉しいようで、優しく微笑んでいた


オルテガの妻は横島達の前に、様々なドラゴン料理を運ぶ

スープやステーキから、シチューのように煮込んだ物まであり、８種類の料理を作っていた


「せっかくだから、いろんな料理を作ってみたけど、どうかしら？」

オルテガの妻は料理の味が気になるようで、横島やシャオ達が食べるのを見ている


「いただきます」

横島達が一斉に料理を食べ始める


バク…

モグモグ…


「美味しい！」

最初に驚き声を上げたのはアリスだ

「うん、こんなに美味しいお肉初めてだよ…」

シャオは少し感動したように味わっている


「本当に美味しいな～　濃厚な味なのに臭みがまるで無い」

それは横島でも驚く初めての味

濃厚旨味が凝縮された味なのに、肉の臭みが無く後味がサッパリなのだ

横島とシャオとアリスが喜んで食べ始めたのを見て、オルテガ夫妻も食事を始める


一同は、高級なドラゴン料理をお腹いっぱい食べて楽しく幸せな夕食になっていた


その後賑やかな団らんの中、夜がふけてゆく


みんなが寝静まった頃…

横島は自室でヒャクメのコンピューターを使ってある物を調べていた


カチカチカチ…


心眼とコンピューターを器用に使い調べている物は、先日拾った力の種とその木の枝と葉である


「やはり、不思議な種だな…　元の世界の神界にある木に似てるな…」

コンピューターにあるデータには、似たような物が入っていた

「元々、この世界の神界の木か？」

横島は調べたデータをアジトに送って一息つく


「この枝は使えるな…　杖かなんか作れば、かなり強力な武器になるな」

横島は拾ってきた力の木の枝を手に持ち考え込む


長年地脈の力を溜め込んだ木の枝は、それだけで強力な魔力を秘めている

横島の知識を用いて武器を作れば、かなり珍しい武器が作れる気がした


「とりあえず、保存しておくか」

横島は木の枝と葉をアジトの倉庫に送ってその日は休むことにした