初仕事

ドラゴン討伐に向かう前日

横島は通信鬼で土偶羅と連絡を取っていた

横島が居ない間のアリスとシャオを見守ってもらう為である

土偶羅は横島の依頼により、2人の周囲1キロを重点的に見守り危険な存在が近づけば横島に連絡を入れることになった


次の日の朝

オルテガは防具と剣を装備して出発の準備を終えていた


「おはようございます」

横島はオルテガと違い軽装である

シャオと旅をしていた時の青い旅人の服と黒いコートだ


「横島殿は防具は付けなくていいのか?」

オルテガはさすがに未知のドラゴン相手に旅人の服はいささか不安なようだ


「俺は大丈夫ですよ。 スピード重視なんで」

横島はオルテガの不安を悟り苦笑いして答える

本当は横島に防具は必要無いだけだ

霊力などの力を少し上げて防御にまわせば、並みの防具以上の防御力になる

逆に人間の防具は動きにくいだけだった


「気をつけて下さいね…」

相手がドラゴンな為、シャオはさすがに不安そうだ

「ああ、心配するな。 俺の力はシャオが一番知ってるだろ?」

横島が笑ってシャオを撫でてやると、シャオはたまらず不安そうに横島に抱きつく

「早く帰って来て下さいね」

シャオは涙をこらえなから小さく呟く

両親を失ったシャオにとって横島は心の支えだった


「大丈夫だよ。 ドラゴンの肉を持って帰って来るからな。 楽しみにしてろよ」

横島は優しくシャオを撫でている


「お父さん、気をつけてね…」

アリスは珍しく少し不安そうである


「心配するな。 無理をする訳ではない。 危なくなれば、一度戻るしな」

オルテガはアリスに優しく話す


シャオとアリスが落ち着いたら横島とオルテガは出発する


オルテガのルーラで、山の麓の村まで一気に向かう


「ルーラ!」

横島とオルテガがルーラで飛んで行くのを、2人は静かに見ている


「アリス、大丈夫だよね?」

シャオは不安そうにアリスを見た

「うん… 大丈夫だと思う」

アリスは2人が帰ってくるのは、確かな気がした

しかし、別に嫌な予感を感じていた



一方、横島とオルテガは麓の村に着くと、すぐに山に向かう

元々、道など無い山を横島とオルテガは器用に駆けていく

横島は飛べるので問題無いが、オルテガは飛べない

それでも、獣道を2人は軽々と駆けていく


「やはり妙だな… 生き物の気配がまるでない。 動物やモンスターがまるで居ない」

横島は走りながら辺りを心眼で遠視している


「うむ… こんな険しい山には動物やモンスターは少ないのだが…、それにしても異常だ。 やはりドラゴンか」

オルテガも横島と同じことを感じたらしく、気を引き締める


(問題は何故ドラゴンが突然現れたかたな…)

横島は油断することなく辺りを警戒しながら進む

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