アリアハンのオルテガ

「オルテガさんはお城から呼び出しがあって出かけてるよ。」

ルイーダは小声で横島に話す


「やっぱりか… お姫様の誘拐か?」

横島も小声で話すと、ルイーダの表情がまた変わる


「なんであんたが知ってるんだい!? 箝口令が敷かれて誰も知らないはずなのに…」

ルイーダは思わず大声を出してしまい、その瞬間酒場が静まり返って、みんなルイーダを見る


「いやだわ… そんなこと聞かないでよ~」

ルイーダは言い寄られて断る風に誤魔化して、奥の部屋に横島を引っ張っていく


「何があったんだい? 上級冒険者はみんなお姫様の捜索に向かってるよ!」

誰もいない部屋でルイーダは真剣な表情で横島に聞いた


「今日アリアハン近くの森で、ごろつき共に誘拐されたらしい女の子を保護した。 アリスの話ではお姫様だって言うから、ごろつき共とお姫様を連れて来たんだ」

横島の言葉にルイーダは目を見開いた


「お姫様は今どこだい!?」

「外の馬車の中で寝てる。 アリスとシャオが見てるから大丈夫だ」

ルイーダは横島の話を聞くと、血相を変えて外に走り出した

横島が慌ててるルイーダに続き馬車に行くと、ルイーダはお姫様を確認してホッとしている


ルイーダは眠っているお姫様を抱きかかえて、奥の部屋に連れて行く

一緒に捕まえたごろつき共は、ギルドに居た冒険者達により縛られたままギルド地下にある牢屋に入れられた


奥の部屋でお姫様はまだ眠っている


横島達はオルテガの部屋で、ルイーダを待っていた

「皆さん知らないみたいですね」

シャオは街の人々や、ギルド内部の人を見てみんな知らないのだと理解した


「まあな、お姫様が誘拐されたなんて言えないよ」

横島は苦笑いして話している


そんな時、ルイーダが部屋に入って来る

「あんたお手柄だよ! お姫様を無傷で保護するなんて!」

ルイーダは少し興奮気味だ


「薬草捕りに行ったら偶然見つけたんですよ。 あんまり目立つの苦手なんで、俺が保護したのは秘密にして下さい。 手柄や報酬はオルテガさんにあげますので…」

横島は少し困ったようにルイーダに話した


「へっ!? 本気かい? 犯人も捕まえたし、かなりの褒美が出るよ!?」

ルイーダは信じられないような目で横島を見つめる


「あんまり目立つのとか堅苦しいの苦手なんで… オルテガさんにお願いして下さい」

横島は苦笑いして頭を下げる


「まあ…、とりあえずオルテガさんに伝えるわ。 それであんた達はもう帰るのかい?」

ルイーダは不思議そうに横島を見るが、とりあえずオルテガに判断を委ねるようだ


「ええ、薬草とかの選別しなきゃだめですしね」

「わかったわ。 とりあえずオルテガさんに連絡をして判断してもらうわ」

ルイーダはそう話してオルテガに連絡をしに部屋を出た


「俺達は帰るか」

横島はアリスとシャオを連れて家に帰っていく


「なんでご褒美もらわないのですか?」

シャオは先ほどは口を出さなかったが、横島とアリスと3人になったので疑問を聞いていた


「うーん、目立つっていいことばかりじゃないんだよ。 厄介事に巻き込まれやすくなるしな…」

横島は少し複雑な表情で語っている

シャオとアリスはそんな横島を少し不思議そうに見ていた
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