アリアハンのオルテガ

横島は文珠【護】でシャオとアリスの周りに結界を張る


「じゃあ、行って来る」

横島はそう話すと、その場から転移して消えた


転移した先には荒くれ者が5人ほどおり、女の子を抱えて森を逃げていく


横島は気配を消して盗賊を見つめている

静かに右手をかざすと、横島の周りにたくさんの蝶が現れた

その蝶は横島の義妹から受け継いだ卷族である

「あいつらを眠らせてくれ」

横島が優しく蝶に語りかけると、蝶達は一斉に荒くれ者に飛んでいく


「ん…!? なんだこの蝶の大群は!」

荒くれ者達は騒ぎだすが、すでに遅い


蝶の鱗粉が荒くれ者達に降り注ぎ…


すぐにみんな眠ってしまう


「ありがとう。 また頼むな」

横島は蝶達に優しく微笑むと蝶達は消えた


「さてと…」

横島は眠っている荒くれ者から女の子を保護するが、女の子も寝ている


「どっかの金持ちの子供か?」

横島が女の子に怪我が無いか調べると、怪我は無いがかなり高級な服を着ている

見方によってはドレスにも見えた


「こいつらどうするかな…」

横島は眠っている荒くれ者達を見て嫌そうに悩む

わざわざ連れて行くのも嫌だが、野放しにも出来ない


「仕方ない…」

横島はため息をついて、荒くれ者達をロープで縛る

口も塞いで騒がないようにしてから荒くれ者を起こした


「暴れたり逃げようとすれば殺すからな!」

横島は荒くれ者達に殺気を叩きつけて、一言話した

中途半端な荒くれ者達は、知らないうちに縛られた上の殺気に、すでに怯えている


「面倒なことしやがって…」

横島は荒くれ者達を睨んで、少女と荒くれ者達を連れてシャオとアリスの元に転移する


「おかえりー」

「おかえりなさい」

アリスとシャオは横島の顔を見て嬉しそうに駆け寄るが、途中で止まる


横島が連れて来たのは、動けないように縛られている荒くれ者達と、眠っている女の子だから


「その子……」

アリスは女の子を見て驚いている


「知り合いか?」

横島がアリスに聞くと頷く


「お姫様だよ…」

アリスは驚いたまま答えた


「「お姫様!?」」

横島とシャオはあまりの驚きにハモってしまう


「うん。 アリアハンの王女様。 前に一度お城に行った時見たもん」

アリスの言葉に横島は険しい表情になる


「面倒な事になったな…」

横島小さく呟いて再びため息をつく

あまり目立つのは避けたいのだ


「まあ、いいか。 後はオルテガさんに任せるか」

横島は少し考えてとりあえず帰ることにした


本当はゆっくり帰りたいのだが、お姫様が誘拐されたとあればそうは言ってられない

横島はシャオ達を連れて馬車まで転移する


そして、馬車を走らせて急いでアリアハンに戻る


アリアハンに到着した横島はそのまま冒険者ギルドに向かった


ギルドに着いて中に入ると、たくさんの冒険者が酒を飲んでいる


「おや、横島じゃないか? どうしたんだい難しい顔をして」

横島がギルド内部に入るとルイーダが歩み寄って来た


「ちょっと面倒な連中を捕まえた。 オルテガさんはいるか?」

横島が小声で話すとルイーダは表情が変わる

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