アリアハンのオルテガ

横島は辺りにモンスターや盗賊が居ないか気をつけながら歩いたが、モンスターなどが現れることは無かった


森は人家が近いとはいえ危険な箇所もあったが、シャオはそんな場所を避けながら進んでいる


「シャオ、アリス、そろそろご飯にしようか?」

森の木々に太陽の光が真上から降り注ぎだした頃、横島はお昼にすることにした


「うん! お腹空いた!」

アリスがさっそく駆け寄り、横島が持つ荷物から敷物を取り出して敷く

「そうですね ご飯を食べて、休憩しましょう」

シャオは手に持っていた薬草などが入った袋を置いて敷物に座る

横島は荷物からおしぼりを2人に渡して弁当をひろげた

「さあ、昼飯にしよう」

「「「いただきます」」」


横島もシャオもアリスも、久しぶりに歩き回ってお腹がペコペコだった

弁当は大きい弁当箱2つにおかずが入っており、パンと冷たいスープもある


「美味しいね!」

アリスはパクパクと食べて微笑みが絶えない


「外でご飯は美味しいですね~ 最近図書館ばかりでしたから」

シャオも自然の中でご飯が楽しいようだ


「にしても、かなり採れたな。 アリアハンの人はあまり薬草とか採らないのかな?」

横島達が2時間ほどで採った薬草などは手持ち袋に2つになっていた

ちょっとした村なら道具屋が開けるくらいの量である


「うーん、私は初めてだよ!」

アリスは首を傾げて考えるが、他の人はわからないらしい


「森は危険ですからね… 私も知らない森は1人では入れません。 森はモンスターや盗賊の住処が多いですから」

シャオは少し寂しそうに話している


森はシャオの生まれ育って来た場所

たくさんの思い出もある

楽しいことや辛いこと…

その複雑な思いがシャオの頭を駆け巡っている


「今度シャオの家に行ってみたいなっ!」

アリスのそんな何気ない一言がシャオを笑顔にする

「うん! 今度一緒に行こうね!」

横島はそんな2人を見て、微笑ましく感じていた


ピクニックのように楽しい昼食の後、横島達はしばらくその場で休憩をしていた


森の空気は美味しく、暖かい光と涼しい風にシャオとアリスはウトウトと眠り始める

シャオとアリスは横島の膝を枕にして、気持ち良さそうに眠ってしまう


横島はそんな2人を暖かく見守りながら、そっと心眼を開く

少し先に人の気配を感じたので心眼の遠視で確認を始めた


「ごろつき共か…」

その先に居たのは、アリアハンの街にいる荒くれ者達だった


「ん…? あのごろつき共が抱えてるのは女の子か?」

荒くれ者の1人は気絶した少女らしき女の子を抱えている


「ちっ! 誘拐かよ」

横島は卑怯な荒くれ者に顔をしかめる


「シャオ、アリス、起きてくれ」

横島は寝てる2人には悪いが起こした


「うーん…」

「どうしたんですか?」


2人は眠い目を擦りながら、起き出した


「ちょっとバカ者が女の子を誘拐してるみたいなんでな… 助けに行って来る」

横島は2人の頭を撫でて優しく話した


「大丈夫?」

アリスは少し心配そうだ

「ああ、すぐ戻るからここに居てくれ」

横島の言葉に2人は頷く

アリスは多少心配そうだが、シャオは横島と旅をしている時、横島の強さを知っているので比較的冷静だ


15/20ページ
スキ