アリアハンのオルテガ

それから一週間

横島は図書館に毎日通って同じ作業を繰り返していた


アリアハンの図書館は膨大な書物があり、その中から必要な本を探して読んでコピーしていくのはかなり大変な作業である


そして、アリスとシャオも何が面白いのか、毎日横島について図書館に行っていた


横島は毎日図書館でもいいのだが、まだ子供のアリスとシャオが一日いっぱい、図書館内で勉強や読書ばかりなのは少し困ったものだと考えていた


そんなある日、横島は図書館内を歩いていると一つの本が目に入る


「草花辞典…?」

横島は本を手に取り、パラパラと読み始める

中には薬草や毒消し草など実用の草花から、食用の草花まで幅広く載っている


「これはいいな!」

横島は草花辞典を借りて帰った


次の日朝食後に、オルテガの妻が横島に今日の予定を聞いて来た

「横島さん、今日も図書館ですか?」

横島達は毎日昼食の弁当を作ってもらっていた為、その確認に聞いたのだ


「いや、今日は近くの森に薬草取りに行こうかと思ってます。 俺は毎日図書館でもいんですが、アリスとシャオが毎日本ばかり読むのはちょっとまずいと思うので…」

横島は少し苦笑いを浮かべて話している


横島がオルテガの家に来て以来、シャオとアリスは毎日横島に付いて歩いていた

それはいいのだが、子供なので適度に運動はさせないといけない

ましてアリスは何かしらの運命を背負っているのだから

今のうちから体力作りは必要だと考えている


「そうですか。 ではお弁当は少し多めにしますね」

オルテガの妻は優しく微笑んで料理を始める


そうして、横島は久しぶりにシャオとアリスを連れてアリアハンの街から出る


シャオの馬達も最近運動させてないので、馬車で一緒に行くことにして



「外は気持ちいいですね~」

シャオは馬車を操りながら、笑顔で景色を眺めている

元々、森の中で暮らしていたシャオは自然が好きなようだ


(もう少し早く連れてくれば良かったな…)

横島はそんなシャオを微笑ましく見ている

ルビスの洗礼で、闇の襲来を聞いてから横島は少し焦っていた


いつ来るかわからない闇と、まだ子供のアリスを見るとどうしても不安が生まれていた


「すごーい! シャオは馬車を操れるんだね!」

アリスは器用に馬車を操るシャオを尊敬の眼差しで見る


「私の家は森の中の一軒家だから、どこ行くにも馬車は必要なの。 馬達も小さい頃から一緒に育って来たし、馬車も自然に操れるのよ」

シャオは誉められて少し照れた様子で笑っている


ドライブのようなピクニックのような雰囲気の中、横島達はアリアハン近くの森に向かう


アリアハンから2時間ほど馬車で移動した先に森が広がっている

それほど大きな森ではないし、見渡せば辺りに農家らしき人家もある

横島達はその森の入り口に馬車を止めた


馬達を少し休ませて横島達は森に入り薬草や毒消し草などを探しにいく


「危なくない?」

森に慣れてないアリスは少し怖そうに横島の手に捕まる


「周囲に敵意のある者は居ないから大丈夫だよ」

横島は笑って話しアリスを安心させる


この場所はアリアハンが近い為、比較的治安はいい

夜は多少危険になるが、昼は安全である

「薬草が結構ありますね!」

シャオは慣れた様子で、薬草などを探して森を歩く

やはりこの中で一番森に慣れてるのはシャオだろう


「これが薬草だよ!」

シャオは雑草の中にある薬草を見つけると横島とアリスに教える

「本当だ! 薬草だね。 自然に生えてる薬草って初めて見たよ~」

アリスは珍しそうにシャオの見つけた薬草を覗き込む


「毒消し草や満月草や食べれる山菜もありますね~ みんなで集めましょう」

シャオに見分けるコツを教わりながら、横島とアリスも薬草などを集めていく

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