ファーストコンタクト

横島は少女が食べ始めたのを見てホッとしていた

辛い体験をして全てに怯えていた少女が、それでも生きる為の一歩を踏み出したのだから…


「う~ ちょっと辛いです…」

横島は自分が食べる用に作ったカレーな為、少女には少し辛かったようである


「大丈夫か? 別な食べ物用意しようか?」

横島はすでに食べ終えており少し心配そうに少女を見たが、少女は静かに首を横に振る

「大丈夫です」

それでも少し辛さで涙目な為、横島は水を少女に渡して飲ませた


少女は水をもらってからは食べやすくなったようで、美味しそうにゆっくり食べていく…


それから横島は、少女が疲れきっているのを心配して、早めに眠ることにする


寝袋をもう一つ出して、二人で並んでテントで眠ることにしたが、初めてみるテントや寝袋に少女は興味深げに見ていた



そして翌朝…

横島は日の出と共に起きだした


「う~ん! 気持ちいい朝だな…」

横島は体を伸ばして空を見上げる


そしてすぐに顔を洗って、朝食の準備を始めた

二人分な為、少し食料をアジトから出して簡単な朝食を作る


朝食が出来て少女を起こそうと思っていると、少女がもぞもぞと起きだしてきた

「おはようございます~」

「おはよう。 よく寝れたか?」

横島は少女に優しく聞くと、少女は頷いた


「そう言えば名前はなんだ? まだ聞いてなかったな~」

名前も知らなかったことに、横島は少し苦笑いする


「私はシャオです」

「俺は横島だ。 よろしくな! さあ、ご飯食べよう」

自己紹介も済んで二人は、昨日と同じように向かい合って朝食にした


パンとベーコンエッグとスープの簡単な物だったが、少女は少し遠慮している

「どうかしたか?」

横島は遠慮している少女に優しく話しかけた


「私はお金がありません… こんな豪華な食事は頂けません…」

少女は少し複雑そうな表情で言う

だがお腹が空いてるらしく、目の前の朝食をチラチラ見ていた


「アハハッ! 金なんか取らないって。 もちろん貸しも無いしな。 子供が遠慮するな! 冷める前に食え」

横島は少女の考えを悟ったらしく、笑って自分の朝食を食べ始める


横島はシャオが朝食を食べ終えると、ヒャクメのカバンを出して中に荷物を閉まっていった

「凄いですね… 何でも入ります」

シャオは不思議そうに見ている


「秘密のカバンだからな」

横島はニヤリと笑ってごまかす

説明しても理解は難しいだろうし、シャオが秘密を守れるかは微妙なのだ


「よし、出発だ! シャオの家に行こうか」

横島は黒のコートを羽織るとシャオを見て話した


「私の家は誰も居ません…」

目の前で両親を殺されたシャオは、目に涙を溜めて泣くのを我慢している


「両親の遺体を弔ってやらないとだめだろ?」

横島はシャオの頭を優しく撫でて話した


シャオはハッとした表情をして横島を見上げる


それから横島は、シャオの案内で家に向かって歩いていく

「あの人達はあのままで良かったのですか?」

シャオは少し不安そうに横島に聞いた

あの人達とは、昨日横島が木に吊した盗賊達だ


「この辺りに役人は居ないし、あんな奴らを連れて歩くのは嫌だからな…」

横島は少し顔をひきつらせていた


「確かに嫌です…」

シャオもあんな危ない人達を家に連れて行くのは嫌だったので納得した


横島達がシャオの家に着いたのは昼頃

家は丸太で作られたログハウスのような家で、両親の遺体は家の中に横たわっていた


シャオは冷たくなった両親を見て静かに泣いている

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