アリアハンのオルテガ

「凄いですね~! 一発で成功です!」

アリスは驚きながらも拍手しながら喜ぶ


「横島さんは、前にも魔法使ってましたからね」

シャオは横島がシャオの家にかけた結界を魔法と思っているようだ

だが本当は、あの術は竜気を用いた神術である


「俺は少しだけオリジナル魔法を使えるんだよ」

横島はアリスとシャオに笑ってごまかした


「凄いね! オリジナル魔法なんて使える人ほとんどいないよー!!」

アリスは驚いて横島に言う


「俺は人里離れた山奥で一人生きて来たからな…。 自己流で修行をしたんだよ」

横島は内心少し冷や汗をかきながら誤魔化す


「そのメラはなんでそのままなんですか?」

シャオは首を傾げてメラを見る

横島の作ったメラは宙に浮いたままなのだ


横島は知らないが、呪文をその場に維持するのはMPのコントロールが必要であり、結構難易度の高い技である


それに普通は呪文を唱えるとすぐに撃つのが当然である

魔法を維持するのにもMPがかかるのだから…


「いや~、呪文を唱えたのはいいけど、撃つ場所無いしな~」

横島は笑いながらメラを消した


複数の力を自在に使い分ける横島は、力のコントロールが一番得意なのだ

横島の文珠がその代表で、凝縮した霊力を一定のキーワードで自在に操る

いわば、力の方向を100%コントロールする能力だ


その為、魔法のコントロールは違和感が無いようである


「次の呪文をやってみてよ~」

アリスは横島の呪文の使い方が楽しみなようだ

この世界の常識が無い横島は、微妙に魔法の使い方が違うのだから

横島は少し考え呪文を唱える

「ヒャド!」

横島は冷気の渦を目の前に作り、渦はミニ竜巻のようにその場でまわる

そして渦が収まった後に出来たのは…


氷の雪だるまだった


「ほえ?」

シャオは思わず不思議そうに目を見開く

「氷の人形だー!!」

アリスは面白そうに、氷の雪だるまを突っつく


「おー! 初めてにしてはうまくいったな~ 氷で作った雪だるまだよ」

横島は出来上がった氷だるまを見て満足げに頷く


「雪だるまって何ですか?」
 
シャオは雪だるまを知らない

アリアハン地方は冬も暖かく雪が降らないのだ


「寒い地方では、雨が寒さで固まって雪が降るんだ。 雪だるまってのは、それを丸めて固めて作るやつだよ」

横島は簡単に説明するが、雪を知らない2人は首を傾げるだかりである


「よくわかんないけどすごいね~ ヒャドで人形を作る人は初めてだよ!」

アリスは1メートルの大きさの氷だるまを眺めて感心している


「溶けちゃうのもったいないですね…」

シャオは少しずつ表面が濡れてきた氷だるまを触ったりしている


横島の作った氷だるまは、その日1日アリスの家の前を通る人々の目に留まる

珍しい氷の人形に、人々は感心したり不思議な顔をしながら見物して行く


普通の家なら庭に氷の人形が出来れば騒ぎになるが…

オルテガの家な為、人々な納得したようだ


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