横島はアリスに悲しそうに見つめられて困った表情になる

（さっきと同じパターンじゃないか…。 誰だ？　こんなおねだりの仕方教えたのは？）

内心苦笑いしている横島だったが…


「娘もお二人を気に入ったようですし、しばらく滞在して下さい」

オルテガの妻が最後に勧めるので、横島はそれを聞いてシャオを見る


「しばらく世話になろうか？」

「はい、私はいいですよ」

シャオは簡単に返事をした


「良かった～！　横島さん、シャオちゃん！　よろしくね」

アリスは満面の笑みで横島とシャオを見る


「「お世話になります」」

横島とシャオがオルテガ達に頭を下げて、居候することに決まる


横島はその日のうちに宿屋を引き払い、オルテガの家に荷物などを運ぶ

オルテガの家には馬小屋もある為、馬車と馬達も連れてきた

シャオはずっと一緒に暮らしてきた馬達が、身近にいるのが嬉しいようで笑顔で世話をしている


そしてその日の夜


夕食が終わると、シャオとアリスは二人でアリスの部屋に行った

わずか半日だが、仲良くなった二人は楽しそうに話している


一方横島はオルテガに誘われて、酒を飲み始めた


「アリスは小さい頃から不思議な子でした…。　初めは子供なので気にして無かったのですが、成長するに従って人が感じないモノを感じるようになりました」

オルテガは横島に昔を思い出しながら語っていく

「アリスはその不思議な力ゆえに、あまり友達がいません。 ですが、あなた方二人は気に入ったようだ。　私はアリスがシャオちゃんと一緒に笑っているのが嬉しいのです」


果実酒のような酒を飲みながらオルテガは嬉しそうに話している


「それはお互い様ですよ。　親を亡くしたばかりのシャオに友達が出来たのは俺も嬉しいですよ」

横島は親では無いが、シャオの笑顔が増えるのは本当に嬉しかった


横島とオルテガはそんな話をしながら酒を飲んでいく


「オルテガさんは、冒険者ギルドを纏めてると聞きましたが、良ければ俺も登録して少し仕事がしたいんですが…」

横島は後日行ってみようと考えていた冒険者ギルドに関して相談してみることにした


「私はただ、アリアハンのギルドを管理しているだけです。　今世界中の国々は交流がありません。　私は冒険者を通して、世界中の人々が力を合わせる世界にしたいんですよ」

オルテガは夢を語るように笑って話している


（やはり、かなりの人物だな…）

横島はオルテガの夢に感心していた


「横島殿なら、是非お願いしたいですよ。　明日私と本部に来て下さい」

オルテガは横島に頼むように頭を下げる

「いや、こちらこそお願いします」

横島はオルテガの心を心地良く感じていた


強く優しい

そして、自分や世界をしっかり見つめている

そんな人物に出会ったのは久しぶりであった



次の日

朝起きると、シャオとアリスも行くと言い出して、４人で家を出た


横島達が到着したのは酒場であった

オルテガに連れられて中に入って行くと、たくさんの冒険者が居て、食事や酒を飲んでいる


冒険者達はオルテガを見ると、尊敬の眼差しで挨拶をしていき、オルテガも笑顔で答えて、中に入っていく


横島達はオルテガに連れられて個室に入ると、２０代後半らしき女性が飲み物を持って来た


「あら、アリスちゃんが友達と来るなんて珍しいわね～」

女性は飲み物を横島達に配り、アリスに話しかける


「うん！　とってもいい人なんだよ！」

アリスは嬉しそうに笑っている


「ルイーダ、そこの御仁を登録したいのだが、準備を頼む」

オルテガは女性に話すと女性は驚いたように横島を見る

「オルテガさんがお連れになるとはこれまた珍しいですね」

「うむ、少し世話になってな。　実力と人間性は私が保証する」

オルテガが話すとルイーダは部屋を出て準備に向かう


「本当に珍しいわね。　ここでも私以外には懐かないアリスが気に入って、オルテガさんが実力を保証するなんて…。　何者かしら？」

ルイーダは部屋を出た後呟いて歩いていく