ファーストコンタクト

「俺が出てこいって言ったの聞こえなかったか?」

横島は少女が居た木のもっと先を見ながら言った


ガサガサ…

するとその場所から20人以上のむさ苦しい男達が現れる

「大人しくさっきのガキと金目の物を置いて消えろ! そうすれば命は助けてやる!」

男達の集団の奥から一人の男が現れて、横島を睨みつけながら言う


「盗賊か?」

横島は男達を見るとダルそうな表情になっていた


「この辺りは俺達の縄張りだ! こんな場所で野宿とは、お前も馬鹿だな!」

盗賊の頭らしき男は横島を馬鹿にするように笑っている


「もういい… メシの邪魔だ。 去れ」

横島は呆れたように盗賊達を睨む


「どうやら死にたいらしいな! ヤレ!!」

横島の態度に、盗賊達は怒りを露わにして横島に襲いかかっていく!


「どこの世界にも居るんだよな~」

横島はため息をついて、神剣を出す

それはかつて、横島の師あった小竜姫の神剣である

剣を出すと横島は消えた…


いや、盗賊達にはそう見え無かったのだ


「野郎! タダ者じゃねえ!」

盗賊の頭は叫んで、辺りを見回す


バシッ!

バシッ!

バシッ!


盗賊達には何が起こったか検討もつかない


横島は剣を構えると真っ先に盗賊の頭の前に移動して、峰打ちで叩き伏せたのだ

周りの盗賊も半数は横島が一瞬で叩き伏せており、盗賊達が横島を見た時にはすでに勝負は決まっていた


「さて… 死にたいのは後何人だ?」

横島は盗賊達を睨む


「逃げろー!」

「頭がやられた!」

残りの盗賊達は慌てて好き勝手に逃げ出して行った


「まったく…」

横島は疲れた表情でため息をつく


その後、横島は倒した盗賊達を、ぐるぐる巻きに縛り付けて木に吊した


横島は全てが片付くと、先ほど眠らせた少女を起こす


「もう大丈夫だ」

横島は少女を優しく抱きしめて、話しかけた


少女は、まだ帯びて辺りを見回していたが、木に吊された盗賊達を見て安心したように泣き出した


「うぇ~ん!!」

少女は緊張の糸が切れたのか、横島にしがみついて泣き続けた

横島は泣き続ける少女の頭を優しく撫でて落ち着かせる


しばらく少女の鳴き声が辺りに響いていた…

少女は泣きつかれた頃、横島から離れて頭を下げる

「助けてくれてありがとう…」

少女はまだ辛そうな表情だが、それでも頑張って笑顔を作ってお礼を言う


「気にするなって、それより何がどうなってるんだ?」

横島は少し照れたように笑って、少女に事情を聞く


少女はそれから、辛そうに語り出した


自分は近くの森に両親と住んでいたが、ある日突然盗賊が現れて両親が殺された事…

自分は盗賊に捕らわれて、襲われそうになって逃げ出した事…


横島はそこまで聞いて、胸が苦しくなり少女を抱きしめた


「もういい。 大変だったな…」

横島はこれ以上少女に何も言わたくなかった


「とりあえず、腹減ったろ? メシにするか」

横島はそう話すと、もう一つ皿を用意して少女にカレー渡す


少女は初めて見るカレーに、キョトンとした顔になり皿と横島を交互に見つめた


「遠慮しないで食え」

横島は自分の皿を持つとカレーを食べ始める


少女はしばらく横島を見ていたが、何日もロクに食べておらず、お腹が空いていたため一口食べた

「……美味しい。 初めての味だ…」

少女は目を見開き驚いて食べ始める

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