横島とシャオが家を出てから今日で１５日目


横島とシャオはアリアハンの近くまで来ていた


この辺は畑や家が広がる風景で、道にもたくさんの人が歩いている

横島は馬車をゆっくり走らせながら、進んでいた


「この辺まで来ると、盗賊もモンスターも居ないな…」

横島は景色を見ながらあくびをする


「この辺りはアリアハン郊外ですから、盗賊やモンスターが出ればすぐに兵士が来ますよ」

シャオは瓶に入った水を飲みながら説明する


「アリアハンに着いたら何か目的はあるのですか？」

シャオは良く考えてみれば横島の旅の目的も知らないし、アリアハンに何の用で来たのかも知らないのだ


「とりあえず、本をたくさん読みたいかな。 俺常識知らないし…」

横島は苦笑いして話すが、実際は少し違う

この世界の構成種族や神魔の関係など、調べたいことがあるのだ

シャオの為に当面はこの世界に居るつもりだが、一応やることは先にやる予定だ


「そうですか～ アリアハンには大きな図書館があります」

「図書館があるのか～ そりゃ都合がいいな」


それからしばらく進むと大きな門と壁があり、兵士が数人見張りをしていた


「やっと着きました～！　あそこの門をくぐれば、アリアハン市街地です」

シャオは嬉しそうに笑っている

半月の長旅は少し疲れたのだろう


「街を壁で覆い尽くしてるのか？ すごいな…」

横島は驚きながら、門をくぐりアリアハンに入る

兵士は一応入る人を見てはいるが、特に調べたりはしてないようだ


アリアハンはアリアハン王の収める王都である

人口は１０万人以上で、アリアハン地方最大の都市だ


「横島さん、しばらくアリアハンに居るなら、馬達を牧場に預けませんか？ その方が馬達もゆっくり出来ますし」

シャオは何度か来たことがあるらしく、慣れた様子で話している


「うん、そうだな。 ２～３週間はいるつもりだからそうするか」

馬を預けることにした横島達はアリアハン市街地の外れにある牧場を訪れた


そこは、旅人や商人の馬を預ける専用の牧場らしく、多くの馬がいる

「いらっしゃいませ。 お預かりするのは、馬２頭と馬車一台ですね？」

「はい、とりあえず２週間お願いします」

シャオは慣れた様子で牧場主と会話していく


「１日１ゴールドで、１４ゴールドになります。 後お客様の滞在先が決まりましたら連絡下さい」

シャオはお金を払い馬達と馬車を預けた


横島はシャオの着替えなど入ったカバンを持ち、街を歩いていく


横島の荷物は全て意識下に収納出来る

ヒャクメのカバンや小竜姫の神剣などと一緒で


「とりあえず宿屋を探して、横島さんはその黒いコートは脱いで下さい」

シャオは楽しそうに横島を引っ張りながら歩く


「なんでだ？」

横島は何故コートを脱げばいいのか理解出来ない


「その姿は街では目立ちます…。 どっちかと言えば盗賊みたいなんです…」

シャオは言いにくそうに横島を見て話す

横島は黒いコートを着て、フードで顔も隠していた

長いコートで、足元以外は真っ黒に見えている


一応横島は、この世界に来る前に異界のアジトで、この世界の服装を調べてからこの服を選んだのだが…

どうやらシャオには不評らしい


確かに、街に居る人々は普通の布の服が多い

旅人や冒険者は鎧などを着るが、さすがに黒いコートを着てるのは居ない


「そっか… じゃあ、今日は宿屋を探してゆっくり休んで、観光や調べ物は明日からにするか」

「はい！」

横島とシャオは街を歩いていく


途中、中心地に向かう乗り合い馬車に乗って宿屋を目指して行く