アリアハンへ

あの瞬間、横島は超加速で盗賊に接近し、人質をとっていた盗賊を麻痺の力で倒して、少女を助けて母親の元に返していた

そして横島自身は気配を消して、妻子の後ろで様子を見ている

その為、オルデガ以外は横島に気が付きもしなかった

盗賊達が再び妻子を狙った為、横島は幻術を使い上空に逃げいたのだ


「あの…、どちらさまでしょうか?」

オルデガの妻子は横島に抱えられて上空に居たが、あまりの事態にイマイチ状況が理解出来なかった


「俺は一応味方だよ。 近くに居たんで助けに来たんだが… 必要無かったかもな」

横島はオルデガが盗賊を全て倒したので、二人をオルデガの元に下ろす


オルデガの親子は、無事を喜び抱き合う

「良かったな…。 もう大丈夫みたいだから、俺は行くよ」

「待ってくれ! まだ礼も言ってない……」

オルデガは横島を引き留めようと声をかけるが…

すでに横島は居ない


「あなた…、今の人はいったい…」

妻と娘は不思議そうに横島の消えた場所を見ている


「わからんが、かなりの実力だ。 気配を完全に消していた。 突然消えたりしたのは恐らくルーラの応用だろうが、私にもよくわからなかった」

オルデガは横島の瞬間移動をルーラの応用と考えたらしい


「まだ、若いのに凄いですね…」

「とっても優しそうな人だったよ」

妻と娘は横島の顔を見ていたので、その若さと実力に驚いている


「礼くらい言わせて欲しかったな」

オルデガと妻は苦笑いしている


「また会えるよ! そんな気がするもん」

少女は笑顔で両親を見上げる


「お前がそう言うならまた会えるだろうな…。 その時には礼を言わねば」

オルデガは娘を抱き上げて妻と街道の方に歩き出す


オルデガの娘には小さな頃から不思議な力があった

両親は何度かその力を見ている


彼女の名はアリス


後に勇者となる少女である




一方、シャオは馬車の中で横島の帰りを待っている

「ただいま」


突然横島が現れ帰って来た

「おかえりー! 襲われてた人は大丈夫だった?」

シャオは横島の元に駆け寄る


「ああ、みんな無事だよ。 かなり強い戦士だったからな。 確かオルデガって言ってたな…」

横島は大人しく待っていたシャオの頭を撫でながら話して聞かせる


「オルデガ様ですか!?」

シャオは驚いて横島に聞く


「知ってるのか?」

「はい、オルデガ様はアリアハンで一番の戦士様です! 世界の冒険者でもトップクラスだと言う話で、冒険者のギルドを作り上げて、世界中の冒険者を纏めている人の一人です」

シャオは何も知らない横島に説明する

シャオは少し興奮したように話しており、かなりの有名人らしい


「やっぱりただ者じゃ無かったんだな… 妻子も無事だったし良かったな」


「はい! アリアハンの英雄と家族が無事で良かったです!」

シャオも嬉しいようだ


この日の出会いが横島とシャオの運命を変えることになる


しかし、今はそれを知らない


そして、横島とシャオは再びアリアハンに向けて旅を進める


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