次の日

学校が終わった横島は屋上で、久しぶりに一人で夕日を眺めていた


最近横島の周りは賑やかになっていたが…

かつての仲間や恋人を忘れた時は無かった…


自分はそんな人達のおかげで生きてるのだから…

そして、仲間や恋人が再び生まれ変わるその日まで、横島は待っているのだろう……


そんな時、ドタバタと屋上にやってきた人がいた


その人は横島に気が付かないで、一人落ち込んで泣いていた


「よっ！ まき絵ちゃんどうしたんだ？」

横島は笑顔でまき絵に話しかけた

「横島先生！ どうして此処に！？」


まき絵は横島に声をかけられて驚いていた

「俺が先に此処に居たんだよ。 少し夕日を見てたんだ…」

横島は優しい笑顔でまき絵に話した

まき絵は横島の笑顔に少しずつ話し始めた


「私は新体操部なんだけど… さっき聞いちゃったの。 先生が私の演技は子供っぽいって… 小学生の演技みたいだって…　そう言ってたの…」


まき絵は涙ぐみながら話した

かなりショックだったらしく、いつもの元気が無かった


「う～ん… まき絵ちゃんは新体操が好きなんだろ？ 俺は新体操は知らないが、前に少し見た感じだと、才能はありそうだし頑張ってると思うけどな…」

横島は少し考えながら話した


「うん、頑張ってるよ。　でも…私に足りないモノってなんなんだろう…」

まき絵は落ち込んで考えていた


「まき絵ちゃん… 大切なのは心なんだと思うよ… 人間最後に力になるのは、大切な人への想いなんだ。 まき絵ちゃんも好きな人や大切な友達のこと想いながら演技してみたらどうだ？」


横島は少し考えて、優しく微笑んで話した


横島自身、ここまで生きてこれたのは、仲間や恋人の想いの結果なのだから…


まき絵は横島の言葉と表情に見入っていた…

それはまき絵が知る横島では無かった


何故かはわからないが、悲しみや愛しさがこみ上げてくる


そんな表情だった…


「横島先生…… 大切なのは心……」

まき絵は横島を見つめたまま呟いた


「ああ、好きな人に見せたいとか… 好きな人の為に演技してみなよ。 そうすれば、きっと今までと違う演技が出来るさ」


そう話すといつもの横島の笑顔に戻っていた


「横島先生… ありがとう！ 少しわかったかもしれない。 来週日曜日に新体操の選抜のテストあるの… その前に先生に見て欲しいな…」

まき絵は少し顔を赤らめて話した

「俺で良ければいつでもいいよ。 楽しみにしてるな」


横島は笑顔でまき絵の話に承諾した

「ありがとう！ 私、頑張ってみるね！」

まき絵はいつもの笑顔に戻って帰っていった


「まき絵ちゃんも若いな～ 彼女なら大丈夫だろ…」

横島は走り去る、まき絵を見ながら呟いた



その日の夜

まき絵は完全に元気に戻っていた


夕方職員室で、まき絵が子どもっぽいと言われて、泣いていたのを知っている亜子は驚いていた


「まき絵すっかり元気になったけど… 何かあった？」

亜子は不思議そうにまき絵に聞いた

「うん♪ ちょっとね～ 私、ネギ君が好きだったけど… 横島先生もいいかも… 結構カッコイイし優しいから…」


まき絵は顔を赤らめてうっとりしていた……

「えっ！？ なにがあったの？」

亜子は驚いて聞くが…

「うふふ… 秘密だよ～」


まき絵の答えに亜子は不思議そうに見ていた…