ある日
横島は街をブラブラしていた
街の一角の階段に座りふと思った

（たまには笛でも吹いてみるかな…）

横島はこの世界に来て使う機会の無かったネクロマンサーの笛を吹いてみることにした

それはかつて横島がずっと一緒に仕事をした元幽霊の巫女が愛用した笛だった


横島が一瞬笛を念じるとネクロマンサーの笛が現れた

横島はそっと笛に口をつけ吹き始めた

ピュルルリリリ～～
ピュリリリリ～～


その悲しく澄んだ音色は周囲に溶けるように響き渡った。

横島の周りにはいつの間にかのら猫が集まって聞いていた……

横島は今は亡き仲間や人々を想い吹いていた……

横島が笛を口から離すと、のら猫が動いた

後ろではアンドロイドらしき少女が立っていた

「悲しい音色でしたね…　お邪魔しましたか？ すいませんでした」

少女は横島を見て話した、そして猫達に餌をあげ始めた

「いや、ちょうど終わったとこだよ。 君名前は？ のら猫に餌あげてるんだ… 優しいね」

横島は少女を見て優しく微笑んで話した

「絡繰茶々丸です。私はガノノイドですので優しいとか感情は無いです。」

茶々丸は静かに話した

「茶々丸ちゃんは優しいよ。 猫に餌あげてる姿を見ればわかるよ それにさっきの笛の音色が悲しいとわかるのは感情があるからだよ」

横島は優しく微笑んで茶々丸を見ながら話した

茶々丸は優しいと言われて混乱していた。

先ほどの笛も確かに悲しく寂しい音色だった。
分析ではなく、なぜかそう感じた。
故障している訳ではないのに…

そして見る者を魅了するような笑顔が印象に残った

どう話していいのかわからない感じの茶々丸に横島はが言った

「難しく考える必要はないよ。 茶々丸ちゃんは生きてるんだから、いずれわかるさ」

「はい… ありがとうございます」

横島は立ち上がった

「俺は横島忠夫、この先の森の手前に最近引っ越してきたんだ、よろしくな。 今度遊びに来てな」

そう話して去っていった

「横島忠夫……」

茶々丸は自分を生きてると話した、横島のことが記憶に深く残った



数日後
横島は昼食後に刹那と剣の稽古をしていた
この日は木乃香と夕映がテラスに座って見ていた


キン！キン！キン！
パシ！パシ！パシ！

横島と刹那の素早い剣は、木乃香と夕映は見るのがやっとだった…

「横島さんもせっちゃんもすごいな～ 見るがやっとや」

「そうですね、一般の常識では判断出来ないレベルです。」

木乃香と夕映は関心半分驚き半分で話していたら
横島と刹那が休憩の為、木乃香達の所に戻ってきた

「私と横島さんのレベル自体も大人と子供ほどもありますよ？」

刹那が木乃香達の話に加わっていった

「そうなんですか？ 残念ですが私にはわからないです」

「うちにもわからんな～ せっちゃんも十分強う見えるけどな」

夕映は少し残念そうで木乃香は純粋に誉めていた

「いえ、私はまだまだです。 横島さんの強ささえわかりませんから…」

戦う者として相手の強さをわからないのは悔しいことだった。
刹那はそんな雲の上のレベルに憧れつつ悔しくもあった

そんな中、横島が笑いながら刹那に話す

「刹那ちゃん本当に強いよ。 俺が力を持ち始めたのは高校生の頃からだからな～ 刹那ちゃんの年でそれだけ強いのはすごいよ。 それに俺の力は仲間から受け継いだ力だからな… また特別なんだよ」

最後の言葉を話す時の横島の顔に少し悲しみが見えた

木乃香も刹那も夕映も、横島がその力を得るのに想像も出来ないほど苦労したのだろうと思った…

ふと刹那は自分のクラスの人間を思い出して話した

「しかし、私達のクラスには私と同等か上の実力者が何人かいますよ？」


「そうなん？」

「そんなに強い人がたくさんいるのですか？」

木乃香と夕映も数人は心当たりがあるがよくわからなかった

「ええ、龍宮さんや、長瀬さんや、古さんや、エヴァンジェリンさんや、超さんとかですかね」

刹那の説明に木乃香と夕映は驚き考えていたが、横島の顔は少し引きつっていた。

「魔法使いが経営する学園だからな～ なんとなくわかるが、それでも一つのクラスにそんなに集まるのは普通じゃないぞ。　洒落にならんな～」