その一

結局横島と刹那は出ていくことが出来なかった



しばらくして横島達は朝ご飯を食べて旅館に一旦帰ることにした


が…

その前に横島は牢屋に向かっていた

牢屋には小太郎と千草が捕まっていた


横島は千草の前で止まった

「なんやあんさん、ウチを笑いに来たんか?」

千草は横島に嫌そうな顔で言った


「天ヶ崎千草… お前が何を考え戦ったから知らない… だが次に俺の仲間に手を出したら… 死ぬより辛い地獄を見せてやろう」


横島は千草に強力な殺気をぶつけ、地獄の幻術を見せた


「ひぃぃぃぃぃ~」


千草の悲鳴が牢屋に響き渡った


千草はすぐに気絶したようだ


「兄さんが横島か~ 俺も戦ってみたかったな~」

牢屋から出ていこうとした横島に小太郎が話しかけた

「俺は戦うのが好きじゃないんだよ。 お前はもう少しいろいろ勉強しな…」


横島は常識の無い小太郎に疲れたようにそう言った




それから横島達はホテルに帰った

みんな疲れているようでゆっくり寝ていたようだった


横島は部屋で外を見てボーっとしていた


いろいろ考えていた

スクナのこと

木乃香のこと

そして…白髪のガキのこと

二度と会わなければいいが…

と横島は願っていた

そんな時部屋に木乃香がやってきた

「横島さん、お父様がネギ君のお父さんの家に行くから来て欲しいって言ってたえ」

木乃香は笑顔で横島に話しかけた

「そうか… じゃあ行こうか?」

二人は出かける用意をしてロビーに行くと、ネギ、明日菜、エヴァ達だけでなく

のどか、夕映、ハルナ、朝倉までいた


「随分大人数だな~ ネギ」

横島は苦笑いしていた

実際このメンバーで魔法を知らないのはハルナだけなのだ

それを考えると頭が痛くなる横島だった…


(秘密も何もあったもんじゃないな)


困ったように心で呟いた


「なんか皆さんに知られてしまって…」

申し訳なさそうにネギが話すが、あまり反省はしてないようだった


一行は軽く付近を観光して、詠春との待ち合わせ場所に行った


「皆さん休めましたか?」

少し疲れた様子の一行に詠春が話した

「みんな若いっすからね~ 元気ですよ」

疲れたように少し老け込んだセリフを横島は言った

「横島さんも十分若いえ~」

木乃香はニコニコと横島を励ます


一行は木々に覆われた三階建ての家に入った

中は本がたくさんあり、綺麗に掃除もされていた


夕映やのどかやハルナは本に目を輝かせていた

「彼が最後に訪れた時のまま保存してあります」

詠春がネギに説明して

夕映達は本を見に行ったり、それぞれ家の中を見ていた


「長、あの白髪のガキは正体がわかりましたか?」

横島は詠春、ネギ、エヴァ、茶々丸、木乃香、刹那が居る場所で話しかけた

「今わかっているのは彼の名前、フェイト・アーウェルンクスであること… 1ヶ月前にイスタンブールの魔法協会から日本へ研修として派遣されたことしか…」


横島とエヴァと詠春は難しい顔で考え込んでいた

「どうせ偽造だろう」

エヴァはつまらなそうに言った

「あの~ 長、小太郎君は…」

ネギは気になっていたことを聞いた

「それほど重くならないでしょうが処罰があります。 天ヶ崎千草も私達にお任せ下さい。」


詠春はそして一枚の写真をネギ達に見せた

「この写真は?」

「サウザンドマスターの戦友達です」

ネギの問いかけに詠春が答えた

明日菜達は写真を見て、若い詠春やネギの父に驚き騒いでいた

「私はかつての大戦でまだ少年だったナギと共に戦った戦友でした… そして20年前に平和が戻った時 彼は既に数々の活躍から英雄… サウザンドマスターと呼ばれていたのです」

詠春は写真をているネギ達にゆっくり話して聞かせた


英雄…


その言葉にネギは真剣に憧れをもって聞いていた


だが横島は…

複雑そうな表情をしていた


仲間…


英雄…


横島は昔を思い出していた

魔神大戦とその後の時を…


横島も神魔や一部の真実を知る人間から、英雄と呼ばれていたのだから…

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