その一

次の日
前日の戦いが嘘のような静かな朝だった…

横島は本山に帰ってすぐに石化した人々を助けて力を封印して休んだ


横島は二時間ほど寝て夜明けの頃起きていた

まだ屋敷の中は静かでみんな寝ているようだった

横島は部屋を出て庭を歩いていく…


「横島さん!?」

突然声をかけてきたのは刹那だった

刹那は旅支度をしていた

「考えることは同じか…」

横島は思わず苦笑いしていた

「横島さん… 居なくならないって約束しましたよね…」

刹那は悲しそうに言った

刹那が気にしていたのは、横島が木乃香の前から消えることだった

「刹那ちゃんも同じだろ? 木乃香ちゃんは受け入れてくれたんだし居なくなる必要ないよ」

横島は困ったように話していた

「一応一族の掟ですから… あの姿を見られた以上しかたないのです… 横島さんは何故居なくなるのですか?」

刹那は寂しそうに話した

「俺は… 存在そのものが危険なんだ… 異世界から来た異端者だからな… それに俺の力は危険すぎるんだ。 昨日の戦いも力の一部を解放したに過ぎない。 俺の力は必ずまた新たな争いを生む… スクナのように……」


横島は疲れたような寂しいような眼をしていた…

「あれでも一部ですか… でも横島さんなら負けないで戦っていけるのでは?」

刹那は驚いたが更なる質問を横島にした

「俺はいい。 俺の力は大切な仲間との絆だからな… だが… 周りの人間を巻き込む訳にはいかない…」

横島は遠い眼をして呟いた

「でも… それを決めるのは周りの人が自分で決めるのでは…?」

刹那は戸惑いながらも反論する

横島の言うことも理解出来た

だが止めなければならないと思った


「お互い出ていこうとしてるのに、お互いを止めている。 変な状況だな…」

横島は思わず笑ってしまった

人から見たらさぞ不思議な光景だろうと思って…

刹那も横島につられて笑ってしまった

「横島さん… どうしても出ていくなら私もついて行きます」

刹那は横島に詰め寄った

横島はその話には困った

それでは意味が無いからだ

「ほ~ 二人で朝から駆け落ちの相談か……」

横島と刹那が驚き声のする方を見ると……


エヴァ、茶々丸、チャチャゼロ、木乃香、夕映、ネギ、明日菜が隠れて横島と刹那を見ていた

「みんな」

「皆さん何故!」

横島と刹那は驚きの声をあげる

「せっちゃんと横島さんの様子が変やから、茶々丸さんに見張ってもらったんよ…」

木乃香は悲しそうに言った

「はい、お二人が外に出たので皆さんを集めました」

「馬鹿者の考えなどお見通しだ」

茶々丸とエヴァは少し怒ったような視線を向けた

「横島さんと刹那さんが居なくなる必要ないじゃないですか! 正しいことをしたのに!」

ネギは必死に訴える

横島と刹那は苦笑いして、エヴァも呆れるような視線をネギに向けた

「ネギ… 誰が正しいとか間違いだと決めるんだ…? 俺は知らないが、天ヶ崎千草にもそれなりの理由があったはずだ。 俺は正しくても間違いでも関係ない、木乃香ちゃんを取り戻しただけなんだ」

横島は困ったようにネギに説明するがイマイチ理解出来ないようだった…


「結論を急がなくてもしばらく様子を見てはどうでしょう…」

夕映が二人を止める

みんなの止める視線が横島と刹那に突き刺さる

「俺が残れば、今度は俺のせいでみんなを戦いに巻き込むぞ? エヴァちゃん以外は戦いの真実を知らない。」

横島は静かに木乃香達を説得する


「横島… このひょっこ達はどうするのだ? お前が居ても居なくても必ずまた戦いに向かうぞ? お前を追いかけて…」

エヴァは静かに横島に言った

横島もそれには困った顔になる

「本当は俺の記憶を消して行くつもりだったんだがな…」


横島の呟きに刹那を始め皆が驚き、抗議の視線を送る


「横島さん… それはひどいよ… ウチらから思い出まで奪うなんて…」

木乃香は悲しそうに言った

横島は周りの抗議の視線と木乃香の悲しそうな顔に困ってオロオロし出した

「横島… 諦めろ。 勝手に消えたら私も含めてこいつらはお前を探しに行くからな…」

エヴァは横島にトドメの言葉を話した

「刹那さんもよ! 勝手に居なくなったら絶対探し出すからね!」

明日菜が刹那に詰め寄った

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