「いい人に巡り会えましたね…　だが…彼には過去に何かあるようだ…」

詠春は横島を見る刹那を見て呟いた


刹那は驚いた顔になり詠春に話し出す

「私も詳しく知りません。 ただあれほどの力… そして優しさ… 並でないのは理解しております。」


刹那の話に詠春は微笑んだ


「彼と共に歩みたいなら、覚悟を決めることです。 木乃香も同じですが…」

詠春は苦笑いして話した…


「長……」

刹那は顔が真っ赤になった…

「私も曲がりなりにたくさんの経験をしてきました。 彼が背負うものはナギと同じ… いや、それ以上かもしれない… 君達はいずれそれを知るでしょう。 その時の為に強くなることです。　力も…　心も…」


詠春はそのまま横島達の方へ移動した


刹那はそれでも横島から離れるつもりは無かった

手に入れた温もりを離さない為に…




一方横島は木乃香に甘えられながら飲んでいた


「横島さん、木乃香と刹那君の為にいろいろとお力添えをいただき、ありがとうございます。」


詠春は横島に頭を下げた

人前で頭を下げた詠春に横島は困惑しつつ詠春に話す

「いや… 気にしないで下さい。 対したことしてませんから…」

あまり頭を下げられるのに慣れてない横島は少し困った顔をしていた

「お父様～ 横島さんのおかげでせっちゃんとも仲良くなれたし、ウチは幸せや～」

木乃香はご機嫌に詠春に甘えていた

「木乃香、少し飲みすぎですね…」


苦笑いの詠春

「詠春さんに会えて嬉しいのでしょう」

横島は木乃香と詠春を微笑ましく見ていた


「横島さん、木乃香も刹那君もこれから魔法と関わっていくなら試練が待っているでしょう… 良ければ少しでいいので見守ってやって下さい。」


それは詠春の親心だろう…

人と妖怪のハーフの刹那


東と西の間に立つ木乃香


二人とも魔法に関わる以上、楽な道では無いだろう


側で守ってやれない自分を歯がゆく思いつつ、二人が選んだ道を応援してやりたい

そんな気持ちだろう……


横島はそんな詠春の気持ちを理解した


「俺は木乃香ちゃんや刹那ちゃんに幸せなってほしい… それだけですよ」


横島は少し寂しそうな笑顔で詠春に答えた


横島が守れなかった絆や幸せがある、詠春と木乃香や刹那


それを守ってやりたい…
だがいつか自分の存在がこの人達を苦しめる日が来るかもしれない…

横島はそれが怖かった


世界の最後を看取った横島

世界を終わらせた原因が自分にもある…

そう思っていたから……


「横島さん！ そんな顔したらだめや！ 横島さんは一人じゃないんよ。 ウチもせっちゃんもエヴァちゃんも茶々丸さんもおる… 他にもたくさんおるんよ」

横島の変化に一番敏感なのはやはり木乃香だった


「ああ、みんないい子達だな… みんな幸せになれるよ。 それを邪魔する者がいれば俺が戦う…」

横島は優しい笑みで木乃香に答えた


「お前はいつもそうやって戦ってきたんだろうな… 守るために…」


ずっと黙って聞いてたエヴァが呟いた


「俺はいつも助けられてばかりだったよ…」


横島はエヴァの呟きに答えるように話した


「みんなそうですよ。 一人では生きられないのですから…」


詠春は横島に静かに話した


それからも宴会は続いていった



しばらくして横島は詠春に誘われて、ネギとカモ３人と一匹で風呂に入っていった


横島は気がつかなかった

風呂場に刹那とアスナがいるのを…


「長さんの体はすごいですね～」

ネギは詠春の体と傷を見て呟いた

「長年戦いの日々でしたからね… 私も昔は君のお父さん、サウザンドマスターと旅をしてましたからね」

詠春は懐かしそうに話した

「ええっ！ 父さんの仲間だったんですか！！」

ネギはあまりの事実にショックを受けていた


「私と彼は腐れ縁の友人ですからね」


詠春の話にネギは驚いていた


「ネギ… 詠春さんにたくさん話を聞くといい。 お前は勘違いしてるからな。 英雄って呼ばれるのがどんな意味を持つのかをな……」


横島の話に詠春は複雑な表情をする

詠春は知っているから…

英雄の実像を…