その一

「君達もネギ先生達と一緒に今日は泊まっていくといいでしょう… 今から山を降りると日が暮れてしまいますから、歓迎の宴を用意しましょう」


詠春はそう話してその日は本山に泊まることにした


横島達は別室に案内され、詠春と話をしようとしていた


「横島さん、エヴァさん、茶々丸君。 それと刹那君… この度はすいませんでした。」

詠春は横島達に頭を下げた

木乃香は父親と会えて嬉しそうだが、刹那は緊張していた


「詠春さん、頭を上げて下さい。」


横島はすぐに頭を下げた詠春に驚いた


「私も東の長も木乃香がこれほど狙われるとは思わなかったもので…」

詠春は苦しい表情で話した

親としては娘がこれほど狙われるのは、さぞ辛いのだろう


「正直、敵の実力がハンパじゃありません。 神鳴流が一人に、白髪のガキがいますが… 特に白髪のガキが、明らかに強すぎます。」


横島も険しい表情で詠春に敵の戦力と、この数日の戦いを説明した

詠春は苦しい表情を変えずに聞いていた…

そんな中エヴァが詠春に問いかける
「白髪のガキの正体はわからないのか?」


「すいません。 こちらの人間ではないのは確かなのですが… 早急に調べさせます。」


「詠春さん、奴ならここの結界も入り込めるでしょう。 一応用心をお願いします。」


横島は詠春に警告をする

夜は今夜が最後だから、敵がまた来る可能性がある


「はい、わかりました。 でも横島君は強いみたいですね… それに、なぜか彼に似てる気がします。」

詠春はふと懐かしそうに横島を見つめた…

横島と横島を慕うように側にいる刹那やエヴァ達

そして嬉しそうな自分の娘

なぜか人を惹きつける魅力があった、かつての英雄と姿がダブった

そして横島の優しく、力強い目を見るとなぜか安心出来た



横島が意味を理解出来ずに、首を傾げていたら…

エヴァが説明した


「ナギの馬鹿者にだよ… 奴も常識の通じない男だったからな…」


エヴァが面白くなさそうに話すと詠春が笑っていた

「ネギの親父か? 俺はそんな立派な人間じゃないぞ?」

横島は不思議そうに話した
ナギの本当姿を知るのは詠春とエヴァだけだ

その二人は立派な人間と言う言葉に苦笑いしか出なかった


しばらく話をしていたが、宴の用意が出来たのでそちらに行った

横島達やネギ達がみんなでどんちゃん騒ぎをしていた


横島は木乃香とエヴァに挟まれて、比較的静かに食べてお酒を飲んでいた


エヴァの正体も詠春以外はバレていないため
エヴァも機嫌よくお酒を飲んでいた


「どうでもいいが… 中学生に酒飲ませていいのか?」


酔っ払ってどんちゃん騒ぎをしている、朝倉やハルナやのどか…


アスナや夕映や木乃香達はお酒と知らずに飲んでほんのり酔っていた


「横島さ~ん お酒とちゃうよ~」

木乃香は横島に抱きついて話してきた

「木乃香ちゃん、大丈夫か? やっぱり酔ってるぞ?」


横島は困ったように話すが…

「酔ってないかないよ~」

木乃香は完全に酔って甘えモードに入っていた

そんな中詠春がやってきて、木乃香の隣の刹那に話しかける


「刹那君、この2年間このかの護衛をありがとうございます 私の個人的な頼みに応え、よく頑張ってくれました。 苦労をかけましたね。」

詠春は優しい笑みで刹那に話した


刹那は緊張してかしこまっていた

「お嬢様の護衛は、元より私の望みなればもったいない 言葉です。」

かしこまる刹那に詠春は笑顔を崩さずに話し続けた

「今回も本当に助かりました。 私とお義父さんの予想が甘かったようです。」

「いえ、私は特に… 横島さん達のおかげです。」

刹那はエヴァの名前を出さなかった

エヴァの正体を知る刹那はこの場でその名前を出すはずはなかった

詠春もそれを理解して頷いた


「刹那君は明るくなりましたね… 木乃香とも仲良くしているようで、本当に良かった」

詠春はずっと刹那のことを心配していた

人間と妖怪のハーフである彼女は、生まれてからずっと幸せな人生では無かった…


それが原因で木乃香とも距離を置き、一人で危うい兆しがあった

詠春も学園長も刹那を心配して見守っていたのだ


「それも、横島さんのおかげです。 横島さんが居なければ私は…」

刹那は横島を一瞬見つめ微笑んだ

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