その一

横島達はゆっくり夜空の散歩をしていた…

空は晴れており、月明かりと街の明かりで綺麗だった

「綺麗やな~」

「本当ですね…」

二人は横島に抱かれながらの空の散歩で幸せでとろけそうな笑顔だった


そんな二人の笑顔に横島も笑顔になる

「京都の夜の散歩はなかなかいいな。」

横島は京都の名所を二人に飛んで回って見せた

「二人共京都出身でもさすがに夜の空の散歩は無いだろ?」

「そうやな~ ウチはあんまり人の多い場所には行ったことないからな~」


「そうなのか?」

木乃香の話に不思議そうに横島が話す

「お嬢様の実家は山奥ですし、立場上あまり出歩く機会は無かったので…」

「そうか…」

刹那の話に横島は少し考えて二人を山へ連れて行った


そこは綺麗な小川のある森だった

横島達はそこに降り立った

「今から良いもの見せてやるよ」

横島は二人に笑顔で語りかけた

「えっ! 何を見せてくれるん?」

二人は不思議そうに横島を見た

横島は静かに微笑んでいた


ふ…

横島の周りで淡い光が点滅している…

その光は増えていき、木乃香と刹那の周りにも集まってきた……

暗い森の中でたくさんの光が幻想的でとても綺麗だった

「これは……」

「ホタル……」

二人はあまりの美しさに言葉も出なかった


そして
ホタルと共にいる横島の幸せそうな姿から目が離せなかった……


「これも横島さんの力なんですか…?」

しばらく二人は横島を見つめていた

そしてやっとでた言葉がそれだった


「ああ…、俺の恋人だった女は人間じゃなかったんだ。 ホタルの化身だったんだ…… このホタルは彼女の卷属さ」


横島はそのホタルの光に包まれて幸せだった

まるで彼女に抱かれているようで…


一緒に居たのはほんの数日だった

でも横島にとっては永遠より大切な時間……


出会えた幸せ
失ってしまった後悔
もう会えない悲しさ


いろんな想いが浮かんできた


そして
無意識にふとつぶやいた

「ルシオラ……」



その呟きは木乃香と刹那に聞こえた



3人はしばらくその幻想的な空間に包まれていた


「さあ、帰ろうか」

横島はいつもの笑顔になり、二人に話した

「「はい!」」


3人はまた空を飛んで帰った


横島の部屋に帰ってきた頃はホテルは静かだった

横島は抱きかかえていた二人を離した

「横島さん…」

木乃香は横島に話しかけた

「どうした?」

横島が木乃香の方を見ると…

木乃香が横島の頭に手を回していた

横島が何か言う前に……


横島に木乃香の顔が近づいていった…


突然の出来事に反応出来ない横島



二人の唇が一つになった……


その瞬間横島と木乃香が光に包まれた



あまりの出来事に横島は完全に固まっていた

その時とても綺麗な笑顔をした木乃香が横島から離れて

刹那が横島の前に来た


「横島さん…」


今後は刹那が横島に近づき

そっと唇を合わせる……


今度は二人が光に包まれた…


刹那は顔を真っ赤にしながらも幸せそうに微笑んでいた

木乃香と刹那はお互いに笑顔で微笑んで一緒に横島に抱きついた




その瞬間

木乃香と刹那の目の前は真っ暗になった


突然の事に固まる木乃香と刹那

二人の前には知らない女の人達が現れた…


「はじめまして… 私達はヨコシマの魂に眠る者よ。」

真ん中にいた女性が二人に話しかけてきた

その女性は綺麗な黒髪のショートボブな髪のスレンダーな美人だった


「ヨコシマをお願いね… 私達はもう彼を抱きしめてあげることは出来ないの…」


その女性は悲しそうに木乃香と刹那に話した

「あなた達ならヨコシマを託せるわ。 彼は私達と同化することで強くなったわ。 でもだめなの… 優しすぎる彼には支えてあげる人が必要なの…」


木乃香と刹那は静かに聞いていた

突然の状況だったが、二人にはこの状況を疑うことは無かった

それは普段横島を包む暖かい感じが目の前の女性から感じたからかもしれない…

「大丈夫や! 横島さんはウチとせっちゃんが支えるから!」

「はい! 皆さんの気持ち少しはわかります。 私達は横島さんと生きること決めました」


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