その一

それから横島は朝食を食べて、ホテルのロビーでくつろいでいた

「横島さん~ 今日一緒に奈良まわらへん?」

横島に話しかけてきたのは笑顔の木乃香だった

「ああ、特に予定ないしいいよ」

横島の言葉に木乃香は嬉しそうに微笑んだ
木乃香の隣には刹那もいて、横島に近づきこっそり話しかけた

「横島さん、今日は奴らは来るでしょうか?」

「多分今日は来ないと思うよ。 昨日のダミーがあったからね。 今日は様子見と情報収集だろうな… 木乃香ちゃんの周りには蝶の卷族を数匹配置するからまあ大丈夫だろう」

横島も小声で刹那に話した

横島が使う卷族は、今は亡き横島にとって妹のような存在の魔族の少女の卷族だった…


刹那は横島が卷族を使えるのに驚いたが、同時に一瞬悲しいような愛おしいような瞳をしているのに気がついた

自分は彼の過去も心の傷も何も知らない

せめて隣で一緒に戦える存在になりたい…

刹那自身一人で生きる孤独や辛さをよく知っていたからそう思った

刹那は気を取り直して今日の対応を横島に聞いた

「横島さんは卷族も使えるんですね。 私も式神を配置しましょうか?」

横島は少し考えて

「うーん その方がいいな 油断出来る相手じゃないからな、お願いするよ 俺は蝶と蜂の卷族を使えるよ。 護衛と敵の監視なら蝶の方がいいからね」


横島と刹那が小声で話してるのを聞いていた木乃香は、少し寂しそうな顔をした

二人が自分を守る為に頑張ってるのはわかっているが、自分が守られてるだけなのは嫌だった…


横島達がそんな感じで話している中
ネギは生徒に囲まれて今日の行動を誘われていた

そんな中普段おとなしいのどかがネギを誘って、ネギもそれを受けていた


「ネギは相変わらずモテモテだな~ やっぱりイケメンは得だよな~」

苦笑いしながら横島は呟いた
昔ほどイケメンに抵抗感は無いが、それでもあそこまでモテモテだと昔の自分を思い出して悲しくなっていく横島だった

周りにいた木乃香と刹那は横島も十分モテているのに…、と普段の横島を思い出して考えた

((なぜ横島さんは自分に向けられる好意にだけ鈍感なの?))

二人は顔を見合わせて首を傾げて思わず笑ってしまった

二人が笑ってるのを見て意味を理解出来ない横島

「二人ともどうしたんだ?」

「なんでもあらへんよー なっせっちゃん」

「はい、そうですよ! 今日は1日楽しみましょうね」

木乃香も刹那も笑顔で横島に話した

横島も二人の笑顔を見ていると自然と微笑んでいた


そうして
横島は木乃香、刹那、夕映、ハルナ、のどか、エヴァ、茶々丸、ネギ、アスナのメンバーで奈良公園に行った


公園に入ると
のどか、夕映、ハルナは3人でこそこそ話していた

「よくやったー! 見直したよ あんたにあんな勇気があったなんて!!」

「見直したです」

ハルナがのどかに突っ込みながら話して夕映も感心していた

のどかは顔を赤らめた

「えへへ… ありがとー ネギ先生と奈良回れるなんて幸せー もう今年は思い残すことないかも…」

笑顔で本当に幸せそうなのどかにハルナがまた突っ込む

「バカァ この程度で満足してどうすんのよっ! ここから先が押し所でしょっ 告るのよ、のどか 今日ネギ先生に想いを告白するのよ」

ハルナは適当なことを話してのどかに告白するように迫る…

少し呆れつつ止めない夕映


彼女達がそんな話をしている頃横島達はシカにエサをあげていた


「今日も天気よくて良かっな~」

横島が周りの木乃香、刹那、エヴァ、茶々丸、ネギ、アスナに笑顔で話した

「そうやね~ 外でお弁当でも食べたいなー」

「はい、そうですね。 お嬢様」

「日本文化は素晴らしいな~」

木乃香、刹那が仲良く横島の手を引っ張って
エヴァと茶々丸は公園内を楽しそうに見ながら続いていく

ネギはシカに囲まれて戯れて、アスナが苦笑いしながらネギを助けたりしていた

そんな中
ハルナが突然走ってきて、有無を言わさずアスナを引っ張って行く

「アスナ! アスナ! 一緒に大仏みよーよ」


横島達の方には夕映がきていた

「みなさん、のどかの為に協力してください!」

頭に?を浮かべている横島達を夕映は急いで連れ出した

その場には不思議そうな顔をしたネギが一人残された



そうして
横島達は夕映とハルナに連れられて公園内の茶店に来ていた

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