その一

「そんなすごい奴が敵なんですね…」

ネギは改めて現実の厳しさと自分の力を理解した

「ちっ! 木乃香ちゃんのダミーがやられたよ。 あのガキに見破られた」

横島は悔しそうに話したが刹那は驚いた

「あの術を見破ったのですか? あれはよほどの術師でも見破れないはずなんですが…」

「どうも逃げたのを疑問に思ったみたいだな… 頭の回転も早いとは厄介だな」

横島はそう言うと心眼を閉じた

ネギやアスナは横島の心眼の事を聞きたかったが横島の雰囲気に聞けなかった

「横島さんの能力で敵を発見出来ないのですか?」

その時、ある程度横島の能力を知る刹那が聞いた

「今の状態では無理だな… 敵も認識妨害の魔法やら使って隠れてるからな…」

「とりあえずみんな無事で良かったんじゃない?」

横島達がみんな難しい顔で話していたら、一人話に付いていけなくなってきたアスナが話した

横島はアスナの話に笑顔になった

「まあな… 敵の力もわかったし、みんな無事だったから良かったよ。 あんな奴にいきなり襲われたらシャレにならんからな~」


「じゃあ、今日はもう大丈夫でしょうからみんな休みましょうか」

刹那も笑顔になって話した


そうして一日目の夜は終わった

横島は一人布団に入って考えていた

ネギ達にはああ言ったが、本心は違っていた
敵の目的や力を考えてもフェイトは異質すぎる…

それは霊能者としての予感でもあったが、この先油断出来ないと思っていた


敵の狙いは木乃香

もう二度と
自分の大切な人を失ったりはしない!

横島は過去を思い出し決意を新たにしながら眠りについた



次の日
朝日と共に横島は起きた…

コンコン

誰かが部屋にやってきた
横島がドアを開けると…

「おはようございます。」

来たのは丁寧な挨拶の茶々丸とエヴァだった

「おはよう。 エヴァちゃんに茶々丸ちゃん」

横島は笑顔で話しながら中に入れた

エヴァと横島がテーブルに向かい合って座り、茶々丸が二人にお茶を入れていた

「昨日はどうだったんだ? 捕まえなかったのか?」

お茶を一口飲んでエヴァが聞く
横島は厳しい顔になり話し出す

「敵は最低3人、符術使いに神鳴流剣士に正体不明の魔法使いだ… 問題は正体不明の魔法使いなんだ。 奴は多分人間じゃない、それに力は俺かエヴァちゃん以外だと戦えないだろう… 昨日は逃げてきたよ。 ネギやアスナちゃんを守りながら街中で奴とは戦えないよ」

横島の話にエヴァは驚きの表情をする
昨日の嫌がらせのようなやり方から見ても敵の戦力は予想以上だった

そして横島がそこまで話す相手がいるとは思わなかった

「お前がそれほど言う相手なのか? 学園長のじじいが敵を甘く見ていたんだな」

「ああ、白髪のガキの魔法使いなんだが、奴だけ力の桁が違う… ネギやアスナちゃんじゃあ相手にならん。 刹那ちゃんは神鳴流剣士で手一杯だしさ~ どうも符術使いが主犯みたいなんだが… そいつはたいしたこと無いんだよな~」

横島は考えながら困ったように話す

横島も人外の力をほとんど封印している状態で奴に勝てるかわからなかった


エヴァも話を聞いて考えていた

「坊やでは荷が重いな… 敵の狙いは近衛木乃香か。 たかが親書を狙うだけの戦力ではないな…」

「そうなんだよな 学園長も余計なこと企んだよな~ 普通に修学旅行をしたらよかったのに…」

エヴァは自分が楽しみにしていた修行旅行に、学園長がネギの修行と東西の魔法協会の融和など魔法使いのもめ事を一緒にしたのが気に入らなかった

そして横島も一般生徒が多数な修行旅行に魔法使いの問題を持ち込んだことが嫌だった


結果、関西呪術協会の過激派を刺激して一般生徒まで巻き込んでいる…

横島の仕事はあくまで木乃香の護衛であり、関係ない親書の問題で刺激した相手が木乃香まで狙ったので迷惑だった


「とりあえず帰ったら学園長にお仕置きしないとな~」

横島とエヴァは悪い笑みを浮かべていた…
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