その一

「ここにウチらが来ていいの?」

木乃香が少し複雑な表情で話した

「ああ… いいんだよ。 木乃香ちゃんには前に少し話したんだったね ここはさ… 俺の彼女との思い出の場所なんだ…」


横島は沈み始めた夕日を見ながら静かに話し出した

ここで自分が恋人と一緒に夕日を見たこと…

思い出のこの場所で彼女は瀕死の横島に命を与えて亡くなったこと…

刹那と木乃香は泣いていた

横島のその愛おしそうな悲しそうな表情で今でも恋人を愛してるのを理解して…

そして横島とその彼女の悲しみを思って…

横島は柔らかい笑顔になって二人の頭をゆっくり撫でた


「ごめんな… 悲しい話をして悪かったな~ ただ少し誰かに聞いて欲しかったんだ」


木乃香と刹那は泣きながらも横島をそっと抱き締めた

「木乃香ちゃん? 刹那ちゃん?」

横島が二人の行動に驚き目を見開いた

「横島さん… 横島さんは一人やないよ… ウチとせっちゃんは何があっても横島さんの味方やよ」

「そうです。 私達はこの世界で横島さんの一番の味方ですよ。」
木乃香と刹那は胸が苦しかった
そして横島が愛おしかった


一方横島は
二人の優しい温もりと心が本当に嬉しかった
そして横島にとっても二人は掛け替えのない存在だった

ただ人とはかけ離れた自分では、彼女達を幸せには出来ない

いずれ彼女達を愛して守ってくれる人が現れるまで自分が守ってやればいい…
そう思った


いつの間にか夕日は沈み街は夜景になっていた

(ルシオラ… また逢いに来るよ)

横島は心の中で彼女に話しかけて立ち上がった


「さて二人とも帰ろうか?」

横島の笑顔の問いかけに二人が笑顔になり返事した

「「はい」」


木乃香と刹那は横島の腕を組んだ
その瞬間に横島の家に帰った


「すごい… 空間転移も出来るんですね… 空間転移は高等魔法ですよ…」

刹那はいきなり転移して驚いていた

「えっ!? ここは横島さんの家やね… ビックリしたー さすが横島さんやな~」

木乃香はいきなり景色が変わり、目を白黒させたが刹那の話を聞いて感心していた

「この世界の魔法とは違うけどな、転移は出来るよ。 俺のワガママで遅くなったから転移したんだよ 今日はありがとうな、本当に楽しかったよ」

横島は二人を寮まで送って行った

「今日はありがとうなー 明日はアスナの誕生日やから、横島さんの家でパーティーさせてえな ウチが朝から料理作りに行くえ。」

「今日は楽しかったです。 私も明日手伝いに行きます」

木乃香と刹那は笑顔で横島に話してその日は別れた



次の日は横島の家でアスナの誕生日パーティーを開いた

横島達やネギが用意したプレゼントをアスナに渡したりしてバカ騒ぎした


3ーAの生徒の半数がやってきて大変になったらしい…


横島は自分の家なのに木乃香が中心になって料理をしたため、冷やかされたりした。
それを
エヴァと茶々丸が少し不機嫌そうに見ていたのは気のせいではないだろう


そんなことがあって数日して
いよいよ修学旅行になった


横島が集合場所の駅に着くとすでに気の早い生徒達が来ていた

「おはよう。 ネギにみんな! 来るの早いな~」


横島は枕を持つ夕映やのどか、他にも待ちきれない様子のまきえや古などと話していた


しばらくして集合時間になると、生徒達がみんな集まってきた

「横島さん、おはようー 朝ご飯食べた? お弁当作ったから良かったら食べへん?」

眠そうな横島に木乃香とアスナと刹那がやってきて、木乃香が横島に弁当を渡した

「おっ朝ご飯まだなんだよ いつもありがとうな~ 新幹線に乗ったら食べるよ」

横島は美味しそうな弁当に目を輝かせて機嫌がよくなった

そんな横島とニコニコと嬉しそうな木乃香を見て朝倉がやってきて呟いた


「なんだかんだ言ってあの二人仲いいね~」

それを聞いてエヴァと茶々丸が横島に話しかけて邪魔に入る

「横島さん、おはようございます。 良かったらお茶をどうぞ」

茶々丸はポットからお茶を出して横島に渡した

「横島! 楽しみだな、京都だぞ~」

「茶々丸ちゃんありがとうな、 エヴァちゃんもおはよう。」

横島は茶々丸のお茶を飲みながら茶々丸とエヴァと話した
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