その三

「頭のよくなる魔法?」

ネカネとネギが帰るのを待って帰宅した横島を待っていたのは、魔法の期待に目を輝かせるまき絵だった

どうやら相変わらず勉強がはかどってないらしい


「うん! パッと頭が良くなる魔法ってないの?」

「あるにはあるんだけど、形だけとはいえ教師だしな~ それに一回使うと癖になるぞ」

僅かに苦笑いを浮かべた横島は少し考えてみるが、流石に教師をしてる以上学校のテストで身内だけに肩入れする事は出来なかった

堅苦しい倫理感などは持ち合わせてない横島だが、学校のテストでの特別扱いは後々問題になる事が解りきっているのだから


「やっぱりダメか~」

「流石に魔法で突然頭がよくなったら疑われるからな。 まあ普通に教えるくらいなら構わんだろうが……」

残念そうなまき絵だが、横島としてはどうしようもなかった

ぶっちゃけると文珠を使えば割と簡単に頭がよく出来るのだが、それを使ってはまき絵達の為にはならない訳だし……


「まあ魔法はダメだけど勉強するなら教えてやるぞ。 テストに出そうな場所を重点的にやれば結構いけると思うしな」

結局横島も木乃香達に混じって明日菜達に勉強を教える事になるが、横島の場合はある程度テストに出そうな問題から重点的に教える事になる

麻帆良の授業レベルはだいたい理解してるし、ネギ達の資料を渡すのに前年度のテストを調べた横島ならばある程度絞り込めるのだ

ぶっちゃけ教師がそこまで絞って教えていいのか難しいところだが、横島自身はこの程度なら問題ないと考えていた

要領よく使えるモノは使うのが横島な訳だし、まあどことなく令子の影響が残ってる気もしないでもないが……

結局横島が身内に甘いのは相変わらずだった



「そういやあ、古ちゃんと楓ちゃんは? あの二人も成績ヤバイんだろ?」

「二人も誘ったんやけど、興味ないみたいなんよ」

ある程度勉強が進んだ頃、横島は同じバカレンジャーの古菲と楓がいない事に気付くが二人は勉強をする気がないらしい

細かい事は気にしない二人なだけに成績に興味がないらしいし、横島の立場なんかも考えてないようだ

最も横島自身も明日菜達の成績が悪くても立場が悪くなるとは思ってないが


「あの二人なら勉強が出来なくても、将来に困らんだろうしな。 まあもうちょっと頭使う事は覚えは方がいいけど」

古菲と楓ほどの実力があれば学力や成績など不要だろうと横島は思うが、同時に頭を使った戦い方や生き方は覚えた方がいいとも思う

武闘派なのは構わないのだが、特に頭の中まで筋肉になりそうな古菲の将来は少し心配だった



この日はそのまま横島宅での勉強で時間が過ぎてゆく

最近アジトで日にちを過ごす日が増えたために、流石にちょっと年齢が気になって来たためにテスト勉強の期間くらいは普通に過ごすつもりらしい

最も横島は一年ほど余分に年を重ねた時点で、肉体年齢を一年戻す事を考えているが……

流石に来年女子高生の木乃香達が、余計に年を取るのを黙って見過ごすつもりはないらしい

まあ肉体年齢を戻せば筋力など鍛えた肉体も半分くらいは戻ってしまうが、逆に言えば半分くらいは鍛えたモノが残る訳である

横島としては木乃香達を普通の女子高生として生活させるつもりだった


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